『我らの不快な隣人』の書評?「本郷人」 

書評・感想(5)

『本郷人』2008年8月号 


私たちの「重い真実」に光を当てる1冊 

●元反対派が拉致監禁問題を糾弾

 昨年5月頃のある日、日本在住のCARPの後輩から私に、国際電話がかかってきました。なんでも、「米本和広さんというルポライターが、日本の反対牧師の拉致監禁に関する本を書こうとしている。韓国の統一教会の取材を希望しているのだけれど、本部にとりついでほしい」とのことでした。
 すぐに、家庭局国際部長の武藤さんに連絡をしましたが、「この名前、どこかで聞いたことあるなあ」と思ってインターネットで検索して思い出しました。『洗脳の楽園』『カルトの子』などの著作がある、日本では「反統一教会ルポライター」として有名な、「あの米本和広」だったのです!

先頭に立って統一教会に反対してきたジャーナリストが、今度は、統一教会員が被害を受けている人権問題に関する本を書くのだということを知り、私は初めてことの重大さを認識できました。
 かくして取材は行われ、韓国では、米本さんの独自の人脈で、過去に拉致監禁の被害にあっていながらも、韓国で幸福に生活している姉妹たちと、それから本部を代表して、武藤さんに直接、インタビューがなされました。

 あれから、1年。とうとう本が出版され、その名も、『我らの不快な隣人?統一教会から「救出」されたある女性信者の悲劇?』(情報センター出版局)が、私たちの手元にも届きました。
 本は一見、おどろおどろしい雰囲気の装丁で、やはり「反統一教会派」の書籍か、と思わせるものです。ところが、その中身は、米本さんの人間としての良心と正義感に貫かれた、まさに、統一教会信徒に対する「現代の魔女狩り」を糾弾するものでした。

●忘れられた現実照らす「重い」本

 正直にいって、この本は、拉致監禁の赤裸々な実態を扱っており、とても深刻で、「重い」本であるといえます。実際に拉致監禁の被害を受けた人には、過去のトラウマのフラッシュバック現象を起こさせるという意味で、読むことに注意が必要な本だともいえるでしょう。

 反対派のキリスト教牧師たちによって、私たち統一教会員に対する、肉親の愛を利用した「拉致監禁」という強制改宗手段が、過去から現在に至るまで、実に、4000件以上に及ぶ数で頻繁に行われてきたということ。今この時にも、あらゆる自由を奪われて、外部から遮断されたまま監禁された教会員が、数多くいるということ。
 何よりも、長期にわたる監禁生活の悲惨な現実。つい最近においては、なんと、12年5ヵ月という長期にわたって監禁され、最後には監禁場所から文字通り放り出された、という方までいます。
 そういった恐るべき犯罪行為を、心から「善」だと信じて、神の名の下に行う信仰者たちが存在するという事実は、背筋を凍らせます。

 最も大きな問題は、肉親としては「家族の絆を取り戻そう」としたはずの行為が、本人の心に取り返しの付かない大きな傷を負わせてしまい、親子関係に、むしろ決定的な断絶が生じてしまうという実態でしょう。
 そして、個人の人生にとって、その後遺症は修復不可能なものとなり、社会生活自体を、まともに送ることができなくなっている元信者たちが数多くいるのです。それらの人たちは、世間からも、統一教会からも存在を忘れられ、皆、孤独な痛みの人生を送ることを余儀なくされています。

 特に、「韓国に嫁いだら行方不明になる」と信じ込まされた親たちが、韓日の日本婦人たちを狙い、すでに韓国に渡って幸福な家庭を築いているにもかかわらず、帰省の際に拉致監禁して、強制改宗するということが、何件も起こっています。その結果、韓国人の夫や家族においても、突如として一方的に家庭を奪われ、人生を破壊されてしまうのです。

●「是々非々」に私たちが学ぶ時

 反統一教会派という立場にあった米本さんは、この本を書くことで、「寝返った」、「裏切り者」という、反対派からのひどい罵声とバッシングを浴びています。それでありながらも、そのような、社会の中で存在すらも忘れられている被害者たちにスポットを当てて、「統一教会に対する拉致監禁の非」を、堂々と世間に訴えてくださっているのです。

 米本さんの本書におけるスタンスは、あくまでも「是々非々」(※正しいことを正しいといい、間違ったことを間違ったということ)です。だから、統一教会の問題点に関する指摘もきちんと書かれており、世間の誰が見ても、決して客観性を欠いた文章とはなっていません。

 この本を読んで、私たちに反対する人たちを批判することは簡単ですが、私は、それ以上に、この本が持つあらゆる「重さ」、胸の痛みをきちんと受け止めることこそが、私たちに願われていることだろうと思います。
 信仰というものを持たない立場でありながら、「真実」に対して、真摯な姿勢を貫いている一個のジャーナリズムに、後天時代の時代的重要性と合わせて、私たち自身が、真の信仰者としての原点に返ることを促がされているようでならないのです。

 今まさに、私たち自身が、社会の「不快な隣人」から「快い隣人」に変わるという、具体的で真摯な努力が願われている、ということでしょう。

(注) (1)『本郷人』は「世界平和統一家庭連合」(韓国・統一教会)国際局が発刊する、韓国在住の日本人を中心に国際結婚した女性向け機関誌(日本語版の発行部数は約5000部)。

(2)拉致監禁後に韓国に渡り、その後、拉致監禁が怖くて日本に里帰りすることができない日本婦人は、200人前後(夫と子どもを含めると1000人)はいると見られる。強制説得を行ってきた日本基督教団、福音系の各教会・教派に所属するすべての牧師が、共同で「間接的にであれ、拉致監禁には絶対に加担しない」と声明発表しなければ、親子は文字通り永久の別れとなってしまう。

 しかし、共同声明など夢のまた夢の話。実際、動きは逆行し、ある牧師集団は日本に里帰りしたところを狙おうとしているのだから、永久の別れは現実味を帯びているのだ。鬼籍に入る年齢の親もいる。親が亡くなったという知らせを聞いても、拉致監禁の口実ではないかと疑い、葬儀に駆けつけることもできない。罪深き聖職者たちだと思う。



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コメント

>過去から現在に至るまで、実に、4000件以上に及ぶ数で頻繁に行われてきたということ

4千人というのは・・・多くないですか?
協会側が言う事なのでどこまで本当のことなのか・・・と思いますが。

抹茶さんへ

 本を読まれた上で疑問を投げかけられたのだと思いますが、それでもやはり、おかしいと思われましたか。

 岡村さんは「4000人以上」といい、ぼくは裁判資料を読んだ上で、さもありなんと書いたと思いますが・・・。

 それでも?

う。。。

ごめんなさい。

まだ読んでないです。

読みます(汗

抹茶さんへ

 冷や汗なんてかかなくていいですよ。
 人は疑問点が生まれると、どうしても早く疑問を解きたいと考えるもんです。

 159頁から163頁に書いてあります。そこを先に読まれたら、どうでしょうか。
 あとで、火の粉=紀藤弁護士を振り払いますが、そのときにも取り上げたいと考えている、重要な部分です。

私の姉は、統一協会側に長いこと監禁されてました。
そしてその間、統一協会以外の世界に対し
様々な恐怖を植え付けられてきました。
家族や友人を恐がり、自分を見失ったまま亡くなりました。

意気揚々と拉致監禁キャンペーンとかやってますけど
家族からしたら、信者を放出しないためのキャンペーンにしか
思えません。

キミドリさんへ

 初めての投稿ありがとうございました。胸が痛みました。

 『現代』のルポ(このブログの「資料」に収録)や拙著で紹介したように、「保護(拉致監禁)説得」によって、10年以上にわたって社会復帰ができなくなるような重篤な“副作用”が生じています。
 1989年に保護説得され脱会した元女性信者の方は、いまだに伏せた状態が続いています。お子さんが2人いるのに、料理すらすることができないでいます。(拙著の127~135頁)
 彼女のことはいつも気にかかり、どう支援してあげればいいのかと考えると、ついため息をついてしまいます。

 これが、拉致監禁に反対する私の原点であり、エネルギーになっています。

 ユートピアコレクションさんが、http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-39.html#comment2015のコメント欄で、次のように書いています。

<初めて聞いた拉致監禁、読めば読むほどムチャクチャな話で、多分、私の感覚が一番”普通”に近いと思います>

 私の知人で、立場は反カルトだと思います。そうした人でも「拉致監禁はムチャクチャな話」と感じられるわけです。一般の人も、水面下のひどい実態を知れば、同じような感想を持つと思います。

 統一教会への批判は大いにやればいいと心底思っていますし、脱会説得を行うことも大賛成です。

 しかしながら、信者を拉致監禁し、監禁下で脱会説得を行うのは、「ムチャクチャな話」なのです。

 現在の統一教会員は約6万人(私の推計、根拠は拙著に)。これまでの入信者は累計56万人ですから、約50万人が組織から離れています。これほど退会率が多い宗教団体は寡聞にして知りません。

 退会した50万人のうち、強制説得によるものが4000人以上。それ以外は家族が熱心に脱会説得したケースを含め、いずれも自主脱会あるいは自然退会です。
 意外と思われるかもしれませんが、統一教会は「信者を放出させない」ようなことはしていません。献金がもうできなくなったような信者は、辞めようが辞めまいが、放置されるというのが現実です。

 まだ調査中ですが、今のところ、強制説得という脱会手法があるがゆえに、信者の脱会が阻害されていると考えています。

 強制説得が現存する。そのため、信者であることを家族に明かさない。あるいは実家に戻ることを躊躇う。なぜなら、怖いから。その結果、家族は子どもへの脱会説得の機会を失うという図式です。

 カテゴリー「保護説得と親子関係」にある「監禁した親、監禁された子」の親子対談を読んでいただければと思います。

単なる犯罪ですよ。

>私の知人で、立場は反カルトだと思います。そうした人でも「拉致監禁はムチャクチャな話」と感じられるわけです。一般の人も、水面下のひどい実態を知れば、同じような感想を持つと思います.

要するに拉致監禁って犯罪でしょう。(監禁幇助罪とか教唆罪はあるんでしょうか?)しかも4000人ともなれば決して少数とは言えない。
牧師さんの場合、統一協会は同業者。シェア争いの面もあるでしょうから多少の狼藉は想定内かも知れませんが、弁護士とか大学教授まで絡むとなれば一大スキャンダルじゃないですか。

有田芳生候補は落選確定!
  • [2010/05/09 06:42]
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特定商品取引法?

紀藤弁護士のブログで見たんですが「霊感商法で逮捕」って特定商品取引法違反なんですね。ほとんどの人はそんな法律があることも知らないんじゃないでしょうか。しかも判決は執行猶予が付いてるとはいえ実刑、重罰です。
どうも「先祖の霊が悪さをしてるので供養しなければならない、それにはこの印鑑を買うしかない」と言って高額の商品を売ったことがけしからんということらしい。ただ変なのは「詐欺罪」じゃないんですよ(私はつい今まで詐欺罪だとばっかり思ってた)、つまり統一協会側の騙そうとする意思は立証できなかったということでしょう? そうなると何が悪いんですか? 
そもそも騙した(あるいは恐喝した)ということでなければ、民間人同士の取引を権力が取りしまる合理性があるんでしょうか。錯誤があったとしてクーリングオフを強化すれば十分なんじゃないですか。

弁護士救済法だと問題視されている利息制限法、これももしかしてその類のものなんでしょうか?
なんか変な話多いですねぇ。

http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/cat390642/index.html

  • [2010/05/09 15:53]
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魔女狩り

魔女狩り旋風の最中でも勇気ある抵抗者はいたようです。
コルネリウス・ルース、オランダ生まれの神父。「妖術の真と偽」よって逮捕監禁、自説撤回を命ぜられた。その内容は
1)魔女の空輸は幻想であり虚構である。
2)魔女のあり得ない行為の自白は拷問によって強要されたもの。
3)魔女との契約などあり得ない
4)魔女と人間の性交はあり得ない。

さらにその一片では
「犯しもしない罪を自白させられ、残忍な屠殺によって罪無き人々の命が奪われ、新しい錬金術が人血から金銀を造る」と記している。

「魔女狩り」森島恒雄著、岩波新書。
  • [2010/05/14 09:22]
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