『我らの不快な隣人』の書評?斉藤環精神科医(文藝春秋)
書評・感想(3)
『文藝春秋』2008年10月号
語られない真実 文・斉藤環精神科医
過剰なフレームアップをする一方で、メディアは重大な事実を黙殺する。
例えば現代の日本において、白昼堂々、拉致監禁が行われているということ。米本和広のひさびさの書き下ろし『我らの不快な隣人』によれば、これは紛れもない事実である。
名著『洗脳の楽園』一冊で、カルト集団・ヤマギシ会を実質的に崩壊させた米本は、その後も一貫して反カルトの著作を世に問うてきた。
本書のテーマも統一教会だが、意外にも反・統一教会ではない。本書で彼が告発するのは、統一教会信者に対して救出カウンセラーと家族が行っている、拉致監禁をも辞さない脱会活動である。それはしばしば暴力やレイプの温床となり、信者は脱会できても重いPTSDやうつ状態に至ってしまう。中には12年間も監禁されていた事例もあるという。
ゆきすぎた反カルトの風潮は、そうした事実すら口にされにくい空気をもたらしてはいないか。
(注)個人的な話になる。私はヤマギシ会の「とっこう」と呼ばれる特別講習研鑽会(脳の神経回路を変容させる洗脳セミナー)に参加したあと、斉藤環さんに診てもらったことがある。診断は「軽い解離性障害にかかっている」というものだった。
ヤマギシ会の洗脳セミナーの秘密を解くカギは、「解離性障害」にあることを教わった。
その後、『カルトの子』を文庫本にするとき、斉藤さんには解説を書いていただいた。
『我らの不快な隣人』を読まれた方は、統一教会の親子問題にも一章を割いた『カルトの子』に目を通していただければと思います。


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