『我らの不快な隣人』の書評?翻訳家徳川家広(月刊プレイボーイ) 

書評・感想(2)

『月刊プレイボーイ』 2008年11月号

拉致監禁し、拷問する親達の愛は、一体どれだけまともなのか 文:徳川家広氏(翻訳家)


 もう、10年近く前に、新潟県で見知らぬ男の家に9年間監禁され続けてきた少女が発見され、警察に保護されるという事があった。何ともショッキングな事件で、当然ながら大騒ぎとなっている。
 だが、今年の2月に、それも都内で、12年5ヶ月も監禁されて衰弱しきった成年が発見されたことを、読者はご存知だろうか?

青年を監禁していたのは彼の家族だった。家族は、青年に統一教会に対する進行を放棄させようとして、荻窪のマンションに彼を閉じ込め、彼が逃げ出さないように見張り、信仰を放棄させるための「説得」を続けるべく、共同生活をしていたのだ。

 統一教会といえば、霊感商法であり、合同結婚式ということになる。
右翼団体「勝共連合」のスポンサーでもある。そんな宗教に子供が入信したら、確かに親は心底困るだろう。

 だが、子供の困った信仰心を捨てさせるのに、拉致監禁の上で拷問としか思えないような「説得」を続けるという親たちの愛は、一体どれだけまともなのか。
 それこそが、今回取り上げる『我らの不快な隣人』のテーマである。

 著者は、オウム真理教など、近年のカルト関係で読ませるルポを何冊も書いてきた米本和広だ。
 本書も丹念で情熱のこもった取材ぶりで、文句なしの力作といえよう。
 子供が統一教会信者になった事に慌てた親は、脱洗脳のエキスパートを自称する人たち(主にプロテスタントの牧師)の指示に従い、その協力を得て、集団で我が子を襲って連れ去り、マンションの一室に閉じ込めてしまう。そして、子供を罵倒し、恫喝し、時には暴力をふるってなんとか信仰を捨てさせようとする。

 信者達は家族の非道な扱いから受けた衝撃で心を病むようになり、強烈なアトピー症状を出すものもいれば、自殺してしまう者もいる。

 問題の根っこにあるのは、脱洗脳エキスパートたちが、依頼してきた家族や、彼らが救うべき若者の幸せよりも、自分や自分の教団の利害を第一に考えて行動しているとしか思えない点のようだ。
 みんな生臭く、しかも目的をはき違えているのである。
 それに、我が子の言う事に、全然耳を貸さない親たち。
 結果として、統一教会に入信してしまうほどに混乱している若者達が、ひたすら苦しむことになる。

 日本社会の実に嫌な、だが誰にでも覚えのあるであろう一面が浮き彫りになった、貴重な一冊だ。


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コメント

報道記事

米本さんのブログファンです。最近、拉致問題で盛り上がってますが、実は、かなり昔にもマスコミ報道されてたんですね。 友人から新聞記事を見せられてビックリしました。朝日新聞1984年5月14日付け…信仰切れず鎖が切れた…の大見出しで、娘を20日間監禁したが・親の説得拒み逃げる・物理的強制法的に問題、との小見出しが踊ってます! 記事の一部「親にクサリ監禁を示唆した“救済家“が、信仰をやめるようせまるが、娘は拒む。一生監禁、精神病院への強制入院、といった話も出たという」「異質な信仰のとりこになった者をクサリといった強制的なやり方で、切り離すことが出来るか」 「心の世界に対するあるべき姿として言語道断のやり方。人間の魂や人格にたいするじゅうりん」 統一教会にはかなり批判的な朝日新聞の記事とは信じ難いが、監禁時に使用したクサリの写真も掲載された大きなルポです。 頭脳明晰な米本さんによる、この記事の分析を期待してます。

Re: 報道記事

 朝男さん、投稿ありがとうございました。
 申し訳ないのですが、その朝日新聞記事のコピーがあれば、ファックスで送っていただけませんでしょうか。いずれ全文をブログで紹介したいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

新聞記事FAX

米本さん : faxの番号分かれば、本日 送信 しますが。 朝男

Re: 新聞記事FAX

> 米本さん : faxの番号分かれば、本日 送信 しますが。

ファックス番号はこのブログの右上に書いてあります。
 念のため、記しておきます。048(837)2809です。

報道記事

朝日新聞1984年5月14日付けの記事で自分も(信仰切れず鎖が切れた)を後で知り図書館でその新聞読んだことがあります。朝男さんのことを聞いてその記事の事おもいだしました。山小屋のような所に監禁されて、足に鎖を巻きつけられベッドの足に南京錠で逃げられないように縛られトイレは簡易トイレおまけに監視付で逃げられず。借りた爪きりで1日かけて南京錠を切り夜間皆が寝静まったのを見はかり脱出したとの記事でした。丁度そのころ私は統一教会にいましたが、その話は退会してしばらくしてから知りました。最近でも荒川教会所属の女性信者の人が連絡が取れず拉致監禁されたようとの(拉致監禁をなくす会)のホームページにかいてありました。残念なことです後藤さんの渡米をあざ笑うかのようで....

拉致監禁という、基本的人権を蹂躙するという犯罪行為、信教の自由蹂躙、法律違反(重罪)を、『親』という立場があれば許されるものなのでしょうか?


親であれば、たとえば、自分が嫌いな企業に、息子が就職したから、12年間拉致監禁して、やめさせるというのが許される!というのが、現在の日本の現状であり、日本の警察の状態であるわけです。



>米本様
子供の困った信仰心を捨てさせるのに、拉致監禁の上で拷問としか思えないような「説得」を続けるという親たちの愛は、一体どれだけまともなのか。


すばらしい視点だと思います!
応援しています!!


祝10万件!

おめでとうございます!
努力のたまものですね。応援しています。

Re: 祝10万件!

クマさん、いつも応援コメントありがとうございます。うれしかった。

このブログを開設したのは今年の1月31日。そのときには1万件いけばいい、でも、ひょ、ひょっとすれば、ブログにすべてを書き尽くした段階で10万件いけば、無上の喜びになる。そう、心の片隅で秘かに欲望を抱いていたことを思い出します。
 どうしてそのように思ったか。あとはひとりごとのようなものです。

 それは、そもそもルポにしても本にしても、世間から忘れられた統一教会の(最近、一連の経済事件で少しばかり記憶が蘇った人もいると思うけど)、その信者さんが拉致監禁されているというのがテーマです。勝手に外延的に広がりを持つテーマだとは思っていますが、客観的にみれば実にマイナーなテーマです。
 実際、最低読むだろうと思っていた統一教会信者はまったく読んでいない(情けなや)。出版社には本の在庫がたくさんある(クソっ)。
 というわけで、ルポや本に対する批判への反論を書こうと思って始めたブログですから、ほとんど相手にされないブログだと思っていたのです。

 そんなわけで、1万件いけば御の字、10万件なんて夢の夢と思っていた次第です。それが反統一教会びとにも「人気ブログ」なんて書かれてしまって・・・。
 うれしいのだけど、複雑な気分なのです。
 アクセス件数に比例(y=XxX分の1)して、本が売れる(中古本でもいい)といいのですが。

 てなルサンチマンはやめにして、なにはともあれ、「祝」をいただいことに感謝しております。

(追記)実は「その他」リンクに張ってある「清水病院から被害をなくす会」のアクセス件数と、途中から勝負できるようになりつつありました。そして、ついに・・・・。このサイトでも、「20代医師」への反論を書いています。読んでみてください。あと1回ぐらいは論争します。

「なくす会」が他にもあった

「清水病院から被害をなくす会」HPを訪ね、大まかですが記事を拝見しました。
余りにも酷いことですね。
恥ずかしながら、米本さんのブログからこの事実を知りました。
“ルポライター米本和宏”はこの世の諸悪を暴き根絶するために東奔西走なさっているのだなあ、と知ることができました。
私は統一教会員ですが、自分にとって、世間の常識と非常識(裏の世界)を知るよい勉強材料とさせて頂いています。
それゆえ、非常に示唆に富んだ記事・投稿を感謝して拝見しております。
ひとこと、お礼を述べたく出てまいりました。
これからもよろしくお願い申し上げます。

誤字失礼しました

お名前、「和宏」ではありませんよね。
すみません、失礼いたしました。

どのように修正すればいいのですか?
「編集」を押しても、編集画面にならないのですが…

次は100万

米本さんブログ10万越えたら雪だるま式に更に10倍化で100万となるよう期待してます!著作もベストセラーとなりますように。 …米本さんの著作への書評を書かれた徳川家広さんは、世が世なら19代将軍様とは驚愕! 家康将軍も拉致問題の行く末を見守っておられることでしょう! …米本さん:昨日、お約束どうり朝日新聞の当該記事をfaxしましたが届きましたか? お役に立てば幸いです。

kjhmさんへ。ぼくもよくわからないのです。ごめなんさい。表題にテストと打って、適当な文字を入力して、試してみてください。タイトルにテストとあれば、管理人のほうで削除しますので。

朝男さんへ。ファックス届きました。ありがとうございました。記事の執筆者が高木正幸さんとあって、納得しました。評価の高い記者でしたので。
「高木正幸」で検索してみてください。たくさん出てきますよ。

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