世界平和統一家庭連合の著作権侵害を理由とした火の粉記事弾圧についての見解
- 一筆一論
- | トラックバック(0)
- | コメント(11)
一筆一論(22)
<重要なお知らせ-「家庭連合に精神障害者が多い訳とは?」が非公開に!> でアナウンスした通り、「家庭連合に精神障害者が多い訳」で、「家庭教育ニュースNo17(7月26日)」を全文引用したことが著作権侵害にあたるとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が火の粉が利用している「fc2」に抗議し、同社がそれを認めたため、非公開とされてしまった。
(「fc2」は家庭連合の訴えを精査したわけではなく、とりあえず、非公開にするといったスタンスだ)
前回の記事のコメント欄で「報告」と題して感想を綴ったが、改めて、「世界平和統一家庭連合の著作権侵害を理由とした火の粉記事弾圧についての見解」(タイトルが長く、仰々しいね)を述べておく。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が最初に火の粉記事の削除を求めてきたのは、徳野英治会長のことを揶揄した記事であった。
【当該関連記事】「徳野さん、献金を使わずに、直接抗議してきたらどうですか?」 。井口氏のことも書いているが、徳野さんに関するところだけを精読していただきたい。
「私の名誉を毀損しているがゆえに記事を削除せよ」。このときの要求の当否は別にして、訴えは至極真っ当なものだった。
ただし、代理人を通さずとも、直接、私に削除要求すべきと思った。広報局長の鴨野さんは個人メールでこれまでたびたび記事あるいは投稿文の削除を求め、私はそのつど誠実に対応してきたつもりなのだから。
名誉毀損を理由とした記事の削除要求・修正要求は、権利の乱用を別にすれば、当然の権利(基本的人権)であると考えている。
ところが、今回の火の粉ブログサービス会社への著作権侵害を理由とした記事非公開要求は、基本的人権に基づいたものなのだろうか。
私は、火の粉ブログの記事を非公開にするために、著作権法をあえて持ち出したのではないかと疑っている。
著作権侵害について、相談した弁護士さんの回答を中心に述べておく。その前に-。
-非公開となった記事の主な構成-
◆ある信者から「家庭教育ニュースNo17(7月26日発行)」の記事が送られてきたので、全文引用した。ちなみに出典はここですね。https://www.tenpu.me/download/eb75c4633cdee71488bf4cce30ced60d
◆私のランダムな感想と注釈。(ニュースの一部を批判/以前に取材した精神科医(食口)のコメントを紹介/私のこれまで取材をもとにした批評)
弁護士さんへの質問と回答である。回答をわかりやすくするために補足をつけた。
【質問】 統一教会の訴えは、著作権者である自分たちに了解を得ることなく、内部向け文書の全文を転載した。それは著作権侵害にあたる-ということだと思いますが、この解釈でよろしいでしょうか。
【回答】 ご指摘のとおりです。削除依頼事由によりますと「当法人が職員向けにイントラネット上で掲載している文書を何らかの方法で入手した上、無許可で全文転載したものですが、米本氏が上記記事を書くに際し、前記案内文の全文を掲載する必要は全くなかったはずであり、同掲載行為は明らかに当法人の著作権を侵害しています。」とされております。
これは、全文掲載は、著作権法32条の「引用」の範囲を超える行為であって、家庭連合が有する著作権を侵害する行為であるとの主張です。
【補足】 著作権法32条:
1 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
(簡単に言えば、著作物を引用して批評しても、それだけでは著作権侵害にあたりませんよ)
【補足2】 様々な裁判事例から32条の法解釈は深化し、『詳解 著作権法 第4版』作花文雄著によれば、著作権侵害をしないためには「必然性、最小限度」を用件としてあげている。
非公開となった記事のメイン(「主」)は「私のランダムな感想と注釈」であり、家庭教育ニュースの全文(「従」)を引用するのは、「必然性、最小限度」ではないという指弾される隙をつくってしまったわけだ。勉強になった。
ただ、言い訳めくが、歴史・経済・政治などでの様々な論争を読んでいると、論文の一部だけを全体の文脈から切り離して引用した上で、論者を批判するといったことがしばしば行なわれてきた。このため、私はできるだけ多く引用したほうが誠実だと考えてきた。この考えは変えないつもりだが、相手が統一教会の場合だと法的に配慮せざるを得ない。困ったもんですね。
【質問】 著作物のことです。統一教会の現役教会員から内部文書(といってもプライバシィを侵害するようなものではない)が送られてきます。こうした文書も著作物と考えればいいでしょうか。
【回答】 著作物とは、「思想や感情を創作的に表現したもの」と著作権法上定義されております。今回、掲載されているような「家庭教育ニュース」も、単なる事実やデータのみを記載したものではありませんから、レベルはともかくとして、思想や感情が創作的に表現されたものということができ、著作物には該当するものと考えます。
【補足】著作権法2条:
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
「思想や感情が創作的に表現されたもの」。訴えが起こされた場合、法的に判断するのは判事であり、1+1が2であるような絶対的・客観的な基準があるわけではない。
「●月▲日にPTA総会があります」といったお知らせや、「●月▲日までの献金路程に30数やるように」といった統一教会の公文は、「思想や感情が創作的に表現されたもの」とは言えず、著作物とは言えない。
ただし、事実、データだけでなく、「アイデアや考え方」(思想)、「喜怒哀楽や美醜、好き嫌い」(感情)の記述が含まれていれば、著作物ということになるが、それを引用したからといって、前述したように、ただちに著作権侵害とはならない。
【質問】 権利侵害から免れるためには、どうすればいいでしょうか。以前に著作物の半分以上を引用した場合には侵害となり、半分以内だと侵害とならないと聞いていましたが、今でも転載する文章の量・割合が関係するのでしょうか。例えば100行の文章があったとして、そこの10行ほど引用した場合なら、権利侵害とはならないとか。
【回答】 著作権法32条1項の「引用」の要件が充足されれば、著作権者の承諾がなくても利用することが可能です。
問題は、著作権法32条1項の「引用」がどのような場合に認められるか、ですが、最高裁では、大きく1)明瞭区別性、2)主従関係の2つをあげています。
明瞭区別性とは、引用する側と引用される側が明瞭に区別されていること、
主従関係とは、引用する側が主、引用される側が従の関係にあること
-という要件です。
今回のご相談は、2)の主従関係がどのような場合に認められるのか、という問題です。
この点については、東京高裁昭和60年10月17日判決は、
「主従関係は、両著作物の関係を、引用の目的、両著作物のそれぞれの性質、内容及び分量並びに被引用著作物の採録の方法、態様などの諸点に亘って確定した事実関係に基づき、かつ、当該著作物が想定する読者の一般的な観念に照らし、引用著作物が全体の中で主体性を保持し、被引用著作物が引用著作物の内容を補足説明し、あるいはその例照、参考資料を提供するなど引用著作物に対し付従的な性質を有しているにすぎないかどうかによって判断すべき」
としており、引用の分量も判断の要素の一つとしてはいますが、それだけにはとどまりません。
したがって、引用箇所が半分以上であれば侵害、半分以下であれば侵害とならない、という具合に単純化することは難しいものと思います。
ただ言えることは、不必要に長く引用した場合、主従関係が認められず著作権侵害との指摘を受ける可能性が高まるということだと思います。
【補足1】 ブログ村に登録されているブログは「明瞭区別性」が欠けているものが圧倒的に多い。
「引用して利用する著作物と引用されて利用される著作物を明瞭に区別して識別できるようにしておく必要がある。たとえば、他人の論文等を引用するケースでは引用部分を『』(カギ括弧)でくくったり、段落を分ける等の方法が一般に用いられている」(『知的財産法実務シリーズ-新版著作権法』三好豊)
明瞭に区別しているのは、手前味噌になるが、火の粉ブログである。鞍馬天狗さんの「火に油を注げ」もそうだった。愚直に「引用はじめ」「引用終わり」だ。日本語表記にない「----」「・・・・・」など線で識別しようとしているブログもあるが、これらの線は日本語として何か決まりがあるわけではないため、わかりにくい。
それよりなにより、出典を明示せず、どこまでが自分の文章で、どこが他者から引用した文章かわからないものが圧倒的に多く(統一、元統一に限らない)、唖然とする。小中高で作文は習ったはずなのに!
なお、出典・出所の明示は著作権法48条で定められている。
【補足2】 「主従関係」という用語を理解するのに時間がかかった。この用語から具体的に浮かぶのは組織論(会社関係、封建社会の人間関係)だったから。
頭が硬かった。こういうことだろう。
私が金子みすゞの詩をそのままブログに載せる。それだけなら著作権侵害だ。論評として「いい詩だなあ」と書く。陳腐な感想ゆえ、主と従の関係からすれば当然アウトである。そうでなければ、売れっ子作家の詩を、最後に「いい詩である」と挿入することによって、著作権使用料を払わずに出版できることになってしまう

量の問題だけではない。詩が100行、論評が1行だとしても、1行の論評に珠玉の言葉があれば、著作権侵害となるかどうか・・・。念頭にあるのは、珠玉の一行論評したのは村上春樹という想定である。裁判官はどう判断するだろうか。
こうしたことを想像することによって、「主と従」の関係(質・量)が私にも理解できるようになりましたとさ

【質問】 ごく一部の表現文章を引用しながら、文章を要約した場合でも、侵害となるでしょうか。
【回答】 いわゆる「要約引用」が認められるのかという問題ですね。この点については条文上明記されていないことから、認めない見解も強い一方、認める裁判例もあります。
ただ、本件のように、クレームをつけてくる相手の場合、勝手に文章を改変された、として同一性保持権に基づく著作権侵害を主張してくる可能性もありますから、原文そのままで、必要最小限の引用をする、という方法が無難ではないかと思います。
【補足】同一性保持権:
同一性保持権(どういつせいほじけん)は、著作者人格権の一種であり、著作物及びその題号につき著作者(著作権者ではないことに注意)の意に反して変更、切除その他の改変を禁止することができる権利のことをいう。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8C%E4%B8%80%E6%80%A7%E4%BF%9D%E6%8C%81%E6%A8%A9
(2)火の粉ブログはときに、これまで世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の公文(公文に類する文章)を引用し、記事を書いてきた。引用文章が著作物かどうか、引用の仕方が適正かどうか、これから鋭意検討し、問題があれば速やかに処理していくつもりである。
(3)この記事をアップしたことは、統一教会の日本本部(広報局のメールアドレス)にはメールで流した。
※次回は、非公開となった記事を著作権侵害とならないような引用の仕方で、復刻する。
著作権侵害のことが少し理解できたという方は↓

にほんブログ村 をクリック!
管理人さん、一夜漬け勉強、ご苦労さんという方は慰めの拍手を!
- 関連記事
-
- 高偏差値妄想バカ集団 (2017/04/22)
- 食口考-遊び心がない-平静に思考できない人たち (2017/04/09)
- 食口に求められるのは「自分の頭で考える」という単純なこと! (2017/02/21)
- 肉体的堕落と精神的堕落。考えたことがありますか。 (2016/12/07)
- 世界平和統一家庭連合の著作権侵害を理由とした火の粉記事弾圧についての見解 (2016/08/30)
- 文鮮明と麻原彰晃 (2016/05/30)
- 西川勝は矜持を無くしたのか?それとも耄碌したのか? (2016/05/28)
- 「頭がいい・悪い」について考える。 (2016/03/16)
- 「御言葉」重視派への根本的な疑問 (2015/12/20)
- [2016/08/30 10:09]
- 一筆一論 |
- トラックバック(0) |
- コメント(11)
- TOP ▲
コメント
本部への通知文
(引用はじめ)
世界平和統一家庭連合
徳野会長殿
鴨野広報局長殿
近藤法務局長殿
米本和広
(1)ブログ記事「家庭連合に精神障害者が多い訳」が貴団体のクレーム(著作権侵害)によって、非公開となりました。
(2)これについて、「世界平和統一家庭連合の著作権侵害を理由とした火の粉記事弾圧についての見解」をまとめました。
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-758.html#more
精読してください。
(3)末尾の「重要な告知」でこう記している。
「火の粉ブログはときに、これまで世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の公文(公文に類する文章)を引用し、記事を書いてきた。
引用文章が著作物かどうか、引用の仕方が適正かどうか、これから鋭意検討し、問題があれば速やかに処理していくつもりである」
修正できていない記事があれば、いきなりブログのサービス会社に記事の削除要求するのではなく、私に「この記事は著作権侵害だ」と。連絡していただきたい。
(引用終わり)
お疲れ様でした。
今後のご活躍を心より祈念いたします。
仁義にもとる行為
いったい、どういう不利益を被ると思ったのか?信者数が減って、献金額も減ると思ったのか?
ふと思って、「精神障害者家族のつどい」等で検索すると、市や区でも開催されており、公開されてました。
>当法人が職員向けにイントラネット上で掲載している文書を何らかの方法で入手
イントラネット上の文書、すなわち、法人職員が法人著作物を提供したのだから、法人が公開許諾したとも言えるんじゃないか?と思いますが、
こういうことには一切触れない、自分たちのことは全て棚に上げて相手を非難(言論弾圧)する。これで、神様とか平和とかを言う組織ではないことが証明されました。
ちなみに、記事のURLは最初はアクセスできてましたが、今はアクセス不可になってます。出典元には参加者たちを背後から撮った写真も文書に貼られてましたが、参加者にはこれを告知してたのか?それとも、無断で貼った?
Re:仁義にもとる行為
本当ですね。驚きました。今回の記事(&本部への通知文)を読んで、誰かが慌てて、アクセス不可にしたのでしょう。
家庭教育ニュース17は、社会的に問題となるような記述はありませんでした。
よって、アクセス不可にした理由がわかりません。
>出典元には参加者たちを背後から撮った写真も文書に貼られてました
背後からの写真であれば、参加した人が特定されることはないし、肖像権の侵害となるわけではありません。
したがって、「慌てて」というより「パニックって」といったほうが正しいでしょうね。
「https://www.tenpu.me/download/eb75c4633cdee71488bf4cce30ced60d」
このアドレスは家庭連合がfc2に参考資料として送ったものです。それなのに、アクセス不可にするなんて!
信じられない話です。
これだけに限らないのですが、組織の何かがおかしくなりつつある(誤作動)ような印象を強く受けています。
著作権
管理人のみ閲覧できます
有害プロパガンダ
UCは高齢出産についての解決と議論をすべき
著作権侵害という些細な問題を出して、米本さんの記事自体を削除要請し、公に見えなくする。または、本質からズレた話に誘導する、という手口は根本的な問題の解決となりません。
実際、私の知っている限り、東京の独身の青年男女の多い地区では、未だに伝道対象者を数名導くまでは、女性は33歳になるまで祝福を受けられないという「暗黙のルール」がまかり通っています。
数年前、研修会でお会いしたチームマザーをやっている未祝福女性Aさんは「20歳で復帰されて12年経ちました」と言っていました。
その言葉に絶句した次第です。
日本の食口の高齢出産についての議論と解決を前向きに考えて欲しいものです。
ヤンさんへ
祝福は33歳まで受けられない、という方針があったことはないと思います。
かつてあったのは女性が33歳になるまで家庭を出発させないという方針です。これも20年以上前に無くなりました。
最近の方がなかなか祝福を受けられないのは単に相手がいない、つまり男がいないからだと思います。
ヤンさんのおっしゃる「暗黙のルール」が今現在の青年男女の多い地区にあるのだとすれば、本当に恐ろしいことだと思います。ちなみに私の妻が私と祝福を受けた時は20代後半でした。
誤解ならどれだけいいかと思いますが
私の知る限り、1992年8月24日、ご父母様がメシヤ宣布をされてからそれまでの祝福を受ける基準が劇的に変わりました。
私の地区は1988年の6500双の祝福基準は男性は①信仰歴3年以上②23歳以上③献身者でなくてもいいということでした。実際は男性が少ないためか、22歳以上の人も推薦はしていました。
これが上記のメシヤ宣布以降、3万双は「受けたい」と言えば、受けられるようになり、実際、入会してわずか、40日しか経過していないのに受けたという人もいます。
また、前述のAさんの件で、当時本部の伝道教育部長に話をしたら「かわいそー」という声が出て、同情はするものの、それで終わったので、後日、青年支部の責任者と話をしました。
そうしたら「霊の子勝利して基盤を残して、祝福を受けるならまだしも何を言っているか。とんでもない」と怒りだしてくる始末。
上述したように3万双以降はお父様の勝利の基台の上に祝福の条件が緩和され、祝福を受けたいと言えば祝福対象になりますが、推薦するのは支部や教会の家庭部なので、基準は全国マチマチです。
残念ながら私が取り上げたAさんの所属支部では、女性の祝福を受けられる年齢を下げると、人材の流出から起こる、組織の弱体化を危惧したのでしょうか、33歳祝福推薦制度が残っているようです。
青年男性も一度、支部で導かれたら抜け出れない。つまり海外人事はもちろん祝福を受けるまでは他の支部行くこともかなわないという表現で「抜け出れない」と言っていました。
背景には上からの過度の実績追及、ノルマ達成の詰めが大きな要因かと思えます。
ヤンさん、了解しました。
恐ろしいことです。
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://yonemoto.blog63.fc2.com/tb.php/758-ff724548
- | HOME |
コメントの投稿