米本陳述書(1)  

 これから4回にわたって、後藤さんの監禁事件に関して、私が警察署に提出した陳述書を掲載します。

米本陳述書(1)

巣鴨警察署長殿(注1
      ―― 陳述書 ―― 2008年3月5日
        ルポライター米本和広
        〒336-0022 さいたま市南区白幡6-15-1-103
 電話 048(837)2892

 後藤徹さんの拉致監禁事件について、以下に陳述いたします。

一、私の職業はルポライターです。様々な分野を取材の対象としてきましたが、後藤徹さんの事件になぜ関心を抱いているのかに関連することに限って、私のこれまでの仕事の経歴について書いておきます。少々長くなってしまうのは、私の立場を鮮明にしたいからです。

 私は宗教法人「幸福の科学」の取材をきっかけに、疑似宗教団体を含め新興宗教、十数年前からの流行の言葉を使えば、いわゆる「カルト」集団について関心を抱き、執筆してきました。
 これまで批判的に記事として取り上げたのは「幸福の科学」「コスモメイト」(現パワフルメイト)「法の華三法行」「顕正会」「浄土真宗親鸞会」「エホバの証人」「統一教会」「ライフスペース」「ヤマギシ会」の各団体です。執筆した媒体は主に月刊誌です。(注2)

 幸福の科学は『大川隆法百問百答』(宝島社)、ヤマギシ会は『洗脳の楽園』(洋泉社)、雑誌記事をまとめたものとして『教祖逮捕』(宝島社)を単行本として出版しました。また、カルト二世の現状については『カルトの子』(文藝春秋社)でまとめて執筆いたしました。(注3)



二、カルト批判記事を数年間にわたって書き続けていると、信者の家族からたくさんの質問や相談がきます。その中でも最も多かったのは「どうしたら信者を脱会させることができるのか」というものでした。そこで、私の問題意識はカルト批判からカルトからの脱会方法に変わっていきました。

 その取材の過程で、統一教会の信者に対する脱会方法として、信者を拉致し、監禁下で説得していることを知りました。

カルトからの脱会活動は人権尊重、正義の実現として行なわれているものだと思い込んでいた私にとっては大きな衝撃でした。これについては別冊宝島『救いの正体』で書きました(ルポは『教祖逮捕』に所収)。

三、これを契機に、この世で誰にも知られていない、水面下で行なわれている拉致監禁説得のことをスクープしたいと考えました。

 取材対象者は価値中立的な元信者でなければなりません。
 拉致監禁説得から脱出して統一教会に戻った現役信者、また拉致監禁説得によって脱会し反統一教会派に変わった元信者に話を聞いても、たぶんにバイアスがかかったものである可能性があったからです。
拉致監禁説得によって脱会したが、拉致監禁説得そのものも批判する元信者である」ことを取材対象の条件としました。


 取材対象者を探すのはきわめて困難でしたが、ようやく3人の女性と出会うことになりました。
 彼女たちの証言をもとにまとめたのが、2004年11月号発刊の月刊『現代』の「書かれざる『宗教監禁』の恐怖と悲劇」というルポですので、提出します。

 3人の女性の証言等によって、拉致監禁という手法が信者の心身にPTSD(心的外傷後ストレス障害)など重大な障害を与えること、仮に脱会に成功したとしても、家族関係は益々悪化する傾向にあることがわかりました。

そして、統一教会系の出版社、光言社から出版されている、拉致監禁の体験を綴った『脱会屋の全て』(鳥海豊著)と『人さらいからの脱出』(小出浩久著)は真実を語ったもの、つまり、拉致監禁のひどさを告発してきた統一教会の訴えは真実であることが確認できたわけです。(注4)

 現在、ルポを単行本として出版するために取材と平行して執筆を続けています。
単行本にするには、さらにいくつかの新しい情報を盛り込むことが必要であるため、統一教会には新たな拉致監禁が発生した場合には連絡して欲しいと頼みました。
拉致監禁に関する情報にオーバーな表現、あるいは意図的な情報操作はないと確信できたからです。

単行本のための取材を始めてからいくつかの情報を教えてもらいましたが、その一つの情報が今回の後藤徹さんの事件だったというわけです。

 前置きが大変長くなりました。陳述書の本題に入ります。


(注1)告訴状(後藤陳述書、私の陳述書も)は当初、後藤さんが入院していた一心病院近くの巣鴨警察署に提出されたが、その後、監禁現場がある荻窪警察署に出すように指導された。告訴を受理し、捜査、 宮村峻氏らを書類送検したのは荻窪警察署である。

(注2)コスモメイトの現在の名前はパワフルメイトではなく、ワールドメイトである。訂正しておきます。
ちなみに、私は名誉棄損等で「幸福の科学」「ワールドメイト」「ライフスペース」「ヤマギシ会」から訴えられた。いずれも訴えは棄却された(つまり勝訴)。「幸福の科学」の訴額はなんと一億円。訴状を受け取って目が点になったことを覚えている。
 各団体の紹介としてウィキペディアの記事をリンクしたが、記事内容は必ずしも正確なものではない。ウィキペディアは誰もが書き込むことができるため、書き手の立場によって内容が変わってくるからだ。

(注3)『洗脳の楽園』の版権は洋泉社から情報センター出版に移り、新装版が出版されている。「幸福の科学」が訴えたのは『大川隆法百問百答』の記述だった。

(注4)鳥海氏と小出氏に監禁下で脱会を迫ったのは、いずれも宮村氏であった。

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コメント

期待しています

ここに至るまでの経過がとてもよくわかりました。これからを期待しています。

紫陽花さんへ

 いつも暖かな眼差しで励ましの投稿、ありがとうごさいます。おそらく、統一教会とは関係のない一般の方では。それだけによりいっそう励みになっています。
 ブログへの提案があれば、遠慮なく書いてください。大いに参考にします。
 そろそろ紫陽花の季節です。

カルトとその罪悪

日本はカルト天国です。
その犯罪は非常に危険な状況を個人に もたらします。
集団ストーカー被害は非被害者だけの問題では有りません。
放置する事は日本の未来を危うい存在に変えます。
多くの犯罪の温床となるカルトの駆逐を!

> 日本はカルト天国です

まあ新興宗教が諸外国に比べて多いのは事実だろう。

理由としては、日本はいわゆる「無宗教」であることがある。
欧米ではキリスト教、中東ではイスラム教など、世界の国々の多くは日本人の想像を絶するほど、宗教が「信仰」という形で生活圏に入ってきている。

一方日本においては、神社参拝等も観光目的であったり、あるいは「信仰」とはいえないレベル(初詣などをする程度)である。
よって、伝道されて「信仰」を持つようになることは人生において初めてであり、それが根付くと敬虔な信者になる。

話を戻して諸外国では、すでに「信仰」という形で宗教を意識しているため、他の宗教の信仰を持つことは「今まで信じ続けたものを捨てて(棄教して)、新しく信仰を持つ」ということである。
「信仰」を持つものなら分かるだろうが、これはきわめて困難な選択であるのだ。

したがって諸外国では新興宗教はあまり発展せず、無宗教である日本では発展するという結果になるのである。

 これから4回にわたって、後藤さんの監禁事件に関して、私が警察署に提出した陳述書を掲載します。

米本陳述書(1)

巣鴨警察署長殿(注1)
      ―― 陳述書 ―― 2008年3月5日
        ルポライター米本和広
        〒336-0022 さいたま市南区白幡6-15-1-103
 電話 048(837)2892

 後藤徹さんの拉致監禁事件について、以下に陳述いたします。

一、私の職業はルポライターです。様々な分野を取材の対象としてきましたが、後藤徹さんの事件になぜ関心を抱いているのかに関連することに限って、私のこれまでの仕事の経歴について書いておきます。少々長くなってしまうのは、私の立場を鮮明にしたいからです。

 私は宗教法人「幸福の科学」の取材をきっかけに、疑似宗教団体を含め新興宗教、十数年前からの流行の言葉を使えば、いわゆる「カルト」集団について関心を抱き、執筆してきました。
 これまで批判的に記事として取り上げたのは「幸福の科学」「コスモメイト」(現パワフルメイト)「法の華三法行」「顕正会」「浄土真宗親鸞会」「エホバの証人」「統一教会」「ライフスペース」「ヤマギシ会」の各団体です。執筆した媒体は主に月刊誌です。(注2)

 幸福の科学は『大川隆法百問百答』(宝島社)、ヤマギシ会は『洗脳の楽園』(洋泉社)、雑誌記事をまとめたものとして『教祖逮捕』(宝島社)を単行本として出版しました。また、カルト二世の現状については『カルトの子』(文藝春秋社)でまとめて執筆いたしました。(注3)



二、カルト批判記事を数年間にわたって書き続けていると、信者の家族からたくさんの質問や相談がきます。その中でも最も多かったのは「どうしたら信者を脱会させることができるのか」というものでした。そこで、私の問題意識はカルト批判からカルトからの脱会方法に変わっていきました。

 その取材の過程で、統一教会の信者に対する脱会方法として、信者を拉致し、監禁下で説得していることを知りました。

カルトからの脱会活動は人権尊重、正義の実現として行なわれているものだと思い込んでいた私にとっては大きな衝撃でした。これについては別冊宝島『救いの正体』で書きました(ルポは『教祖逮捕』に所収)。

三、これを契機に、この世で誰にも知られていない、水面下で行なわれている拉致監禁説得のことをスクープしたいと考えました。

 取材対象者は価値中立的な元信者でなければなりません。
 拉致監禁説得から脱出して統一教会に戻った現役信者、また拉致監禁説得によって脱会し反統一教会派に変わった元信者に話を聞いても、たぶんにバイアスがかかったものである可能性があったからです。
「拉致監禁説得によって脱会したが、拉致監禁説得そのものも批判する元信者である」ことを取材対象の条件としました。


 取材対象者を探すのはきわめて困難でしたが、ようやく3人の女性と出会うことになりました。
 彼女たちの証言をもとにまとめたのが、2004年11月号発刊の月刊『現代』の「書かれざる『宗教監禁』の恐怖と悲劇」というルポですので、提出します。

 3人の女性の証言等によって、拉致監禁という手法が信者の心身にPTSD(心的外傷後ストレス障害)など重大な障害を与えること、仮に脱会に成功したとしても、家族関係は益々悪化する傾向にあることがわかりました。

そして、統一教会系の出版社、光言社から出版されている、拉致監禁の体験を綴った『脱会屋の全て』(鳥海豊著)と『人さらいからの脱出』(小出浩久著)は真実を語ったもの、つまり、拉致監禁のひどさを告発してきた統一教会の訴えは真実であることが確認できたわけです。(注4)

 現在、ルポを単行本として出版するために取材と平行して執筆を続けています。
単行本にするには、さらにいくつかの新しい情報を盛り込むことが必要であるため、統一教会には新たな拉致監禁が発生した場合には連絡して欲しいと頼みました。
拉致監禁に関する情報にオーバーな表現、あるいは意図的な情報操作はないと確信できたからです。

単行本のための取材を始めてからいくつかの情報を教えてもらいましたが、その一つの情報が今回の後藤徹さんの事件だったというわけです。

 前置きが大変長くなりました。陳述書の本題に入ります。


(注1)告訴状(後藤陳述書、私の陳述書も)は当初、後藤さんが入院していた一心病院近くの巣鴨警察署に提出されたが、その後、監禁現場がある荻窪警察署に出すように指導された。告訴を受理し、捜査、 宮村峻氏らを書類送検したのは荻窪警察署である。

(注2)コスモメイトの現在の名前はパワフルメイトではなく、ワールドメイトである。訂正しておきます。
ちなみに、私は名誉棄損等で「幸福の科学」「ワールドメイト」「ライフスペース」「ヤマギシ会」から訴えられた。いずれも訴えは棄却された(つまり勝訴)。「幸福の科学」の訴額はなんと一億円。訴状を受け取って目が点になったことを覚えている。
 各団体の紹介としてウィキペディアの記事をリンクしたが、記事内容は必ずしも正確なものではない。ウィキペディアは誰もが書き込むことができるため、書き手の立場によって内容が変わってくるからだ。

(注3)『洗脳の楽園』の版権は洋泉社から情報センター出版に移り、新装版が出版されている。「幸福の科学」が訴えたのは『大川隆法百問百答』の記述だった。

(注4)鳥海氏と小出氏に監禁下で脱会を迫ったのは、いずれも宮村氏であった。

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