あと１０年をポジティブに生きる記録

ルポライター米本和広blog

統一教会考（４４）

「悪徳の勧め－徳野発言を議論しよう！」 に、たくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。
　後日、この記事を目にした方は、どうかコメント欄にも目を通してください。

逮捕の準備は整った

　さて、私の感想です。（文中、一部敬称を略した）
　徳野発言を目にして真っ先に思ったのは、これで警視庁公安部による「徳野逮捕の準備は整った」ということでした。

　渋谷の新世事件で、警視庁公安部は新世の社長らを逮捕する（２００９年２月）とともに、統一教会・南東京教区の本部事務所の家宅捜索を行いました（同年６月）。
　狙いは、統一教会の指示によって新世が印鑑販売をしていた、また売上金の一部が教会に上納されていた－ことの証拠をつかみ、統一教会の責任者を逮捕することにありました。
　しかし、本丸に迫ることはできなかった。パソコンのデータが消去されていたからです。

＜印鑑販売会社「新世」（東京都渋谷区）の社長らが逮捕された特定商取引法違反事件で、警視庁公安部が統一教会南東京教区の本部事務所から押収したパソコン数台は、データが消去されていたことが２０日、捜査関係者への取材で分かった＞（共同通信 2009年06月20日）

　その結果、新世社長だけの起訴となってしまった。

　ところが、先月１１月１日の会議で、徳野氏は全国の責任者に献金集めの檄を飛ばしました。「特定の商品を販売しろ」とは発言していませんが、「長野方式」を推奨し、「長野を超えろ」と語っています。
　長野方式とは、教会員に自主的に献金させるようなやり方ではありません。インチキ霊能者、インチキ家系鑑定士、何らかの宗教グッズが絡んでいます。かなり巧妙な方法でお金を取っていたとしても、場面場面で何らかの「特定商取引法」に違反する行為（経済犯罪）が行なわれていると強く推認されます。

 
私に相談した人はこの壺を１２０万円（夫婦壺２つで２４０万円）で買わされた。むろん、壺を返し、お金は全額返していただいた。

　それに、長野の教会には前科があります。特定商取引法違反で婦人部長ら５人の教会員（確か全員が女性）が逮捕されています。この事件と「長野方式」との間には、形式的な違いはあっても、連続線で結ばれています。少なくとも、内容には通底するものがある。

　新世事件で、徳野氏は引責辞任しました。
　そのときの記者会見での発言は「統一教会の緊急記者会見について（１）」「統一教会の緊急記者会見について（２）」「統一教会の緊急記者会見について（３）」「統一教会の緊急記者会見について（４）」に記録されていますが、「新世と統一教会との関係」については、
①宗教法人統一教会では経済活動は一切やっていない。
②一部の教会員が勝手にやったことだ
－の２点です。

　新世事件後も全国各地で同種の逮捕事件が起きましたが、そのときにもこの２点を踏襲し、教団広報は「一部の教会員が勝手に」とアナウンスしていました。
　ところが、今回は宗教法人の代表である徳野氏自らが全国の責任者に献金集めを鼓舞したわけです。前出の①と②はもはや通用しません。
 

これで頭がとれる！

　話を、警視庁公安部のことに進めます。
　同部は、先に述べた通り、新世事件を摘発するとともに、全国の公安警察に指示を出しました。その結果が大阪、和歌山、大分、沖縄などの統一教会系企業の経営者、社員の逮捕です。合計すれば、約４０人の教会員が逮捕されている。
　ちなみに、公安は他の部署と違って、警察庁ではなく警視庁の公安部が全国の警察を指導するようになっています。

　そのあとに、警視庁公安部がやったのは、宇佐美さんをストーカー犯として逮捕したことです。２０１１年２月。新世事件摘発から２年後のことです。ブログカテゴリー「ストーカー事件の真相」（３４本の記事）で明らかにしたように、この事件を手がけたのは、新世事件のときと同じ刑事でした。

 
写真のテロップはフジテレビが挿入したもの。裏付け取材もしないマスコミの無責任さの典型である。


　宇佐美さんのストーカー事件は、明らかな冤罪事件でした。過去の記事を読んでもらえば、冤罪の全体像が理解できるはずです。
　この事件は捜査内部でいう「筋の悪い事件」でしたが、警視庁公安は“被害女性”に、山口広弁護士を代理人として告訴状を書かせ、いきなり宇佐美さんを逮捕するという前代未聞の乱暴なやり方を取りました。

　このことから言えるのは、警視庁公安部の一部の捜査グループが統一教会を叩くために虎視眈々と、教会員の違法行為に目を光らせているということです。
　公安関係の専門誌に『月刊 治安フォーラム』があります。ここで、統一教会のことを専門に書いている覆面捜査官がいます。彼らが統一教会を叩く専門部隊だと、私は推測しています。

　話を戻せば、徳野発言をスクープしたブログ「目安箱」を読んで、警視庁公安部が狂喜雀躍したのは当然のことでしょう。
　これで、末端教会員の経済犯罪を統一教会本体に結びつけることができる。頭がとれる！
　むろん、全国霊感商法対策弁護士連絡会（全国弁連）に所属する山口広弁護士らも小躍りしたでしょう。
　山口弁護士らは、後藤裁判で守勢に立たされています。来年１月２８日の判決で敗訴すれば、復讐戦モードに入るでしょうね。
　
　あとは、末端の新米教会員、教会員予備軍の訴えを待つだけです。
　

感謝献金と強制献金

　もちろん、統一教会もバカではない。新世事件を契機にコンプライアンスの勉強をした。いい意味でですよ。しかし、同時に法の網から逃れる対策の勉強もした。

　といっても、そこは統一さんですから、やり方を変えることはできません。
　徳野発言を引用します。
「悔しいと思ったら長野を超えないといけない。文句を言いたければ長野を超えればいいんです。
　なんで長野にお母様が行ったんだ。
　あそこは明かしてやっていないんじゃないか。（ハハハハ）
　そう言うような讒訴があることも私分かっていますよ」

　正体を明かさずに伝道することへのクレームを「讒訴」（ざんそ）とするセンスにはただただ驚くばかりですが、この発言から類推できるのは、長野方式とはまず正体を隠して近づくということです。何のことはない。新世事件の前のやり方です。ターゲットはお金がありそうな婦人。寡婦ならもう最高。

　悩みがあれば、インチキ家系鑑定士やインチキ霊能者につなげ、深みにはめていく。その婦人に何らかの「いいこと」があれば（むろん、「それはいい知らせよ」と気分を高揚させるトークも使う）、感謝献金を勧める。献金した証に何らかの宗教グッズを渡す。これであれば、商取引とはなりません。

　しかし、ＴＤ（Thanks Donation、感謝の寄付）に勝利せよは、一回こっきりではありません。
　一般宗教社会なら、悩みがある人が観音様をひたすら拝み、それで「いいこと」があれば、観音様を祀っている寺院などに感謝献金をする。これで終わりです。
　ところが、統一教会のＴＤ（Ｋ）はエンドレスです。
　韓国の教会幹部から「金を持って来い」の指示がエンドレスにくるからです。

　その結果、最初は感謝の寄付であっても、畏怖困惑のトークを使った「強要の献金」に変わってきます。
　以前、ブログに書いた事例を再度書けば、ある開業医の婦人は自分の財布から１億円、また次に１億円、さらに１億円。ここで財布は空になった。それにもかかわらず、新しく赴任してきたおバカな指導教会員がさらに献金を迫った。その結果、婦人は借金して１億円献金した。それが夫にバレた。家族の説得にあって（確か故川崎経子氏も絡んでいたと記憶する）、献金返還請求となった。

　ＴＤ（感謝献金）に勝利せよ、長野方式に学べ、長野を超えろ－という路線を続けていけば、必然的に強要の献金となり、いつしか疑問が芽生えるものです。寡婦の場合なら、子どもたちが疑問を抱く。 

　先にも述べたように、純粋に、いいことがあって感謝の献金をする。その感謝献金の証として壺を渡す。というのであれば、商取引とはなりませんが、ＴＤ勝利を焦るために、順序が逆になることがしばしばあります。いいことがあるためにはこの壺を買え。
　実際、教会の対策メンバーが私にこうぼやいたことがあります。
「壺は感謝献金のお礼に渡すように指導しているんですが、現場ではついつい順序を間違えるんですよねえ」
　

いきなりの逮捕と家宅捜索

　疑問が生じれば、全国弁連の先生にご相談と相成る。
　徳野発言を知った先生たちは、献金返還請求に勝利し弁護士報酬を受け取るといったこれまでの金儲け路線だけでなく、刑事告訴を勧める。場合によっては私服の公安さんも説得に入る。

　かくして、徳野逮捕が社会面トップを飾り、その後、文化庁が統一教会の宗教法人格の剥奪を決定。それがまた紙面を賑わす。当然のことながら、連載記事がスタートする。テレビはもっとすごいだろうな。

 
これは徳野さんが辞任するときの記者会見現場だが、徳野逮捕だったら、この数十倍の報道陣が駆けつけるだろう。誰が応対するのやら。

　徳野発言が外に漏れたことを知った教団中枢は、私の予測に苦笑しながら、善後策を練っていると思われますが、新世事件のときと違った情況になっていることを忘れてはならないでしょう。老婆心ながら、書いておきます。

その１・警視庁公安部は新世事件の摘発で反省をもとに教訓を得ている。
①統一教会系企業と統一教会との関係は明らかになった。これからは教会員の逮捕と同時に、教会のガサ入れをやるべきである。そうすれば証拠を隠滅されることはない。
（前のときと同じように、証拠隠滅が発覚すれば、警察は容疑を特定商取引法違反＜懲役２年＞から詐欺＜懲役１０年＞に切り換える） 
②マスコミは、こと統一教会のこととなると、「信教の自由」の侵害といったことを問題にすることはない。大胆に捜査活動をやるべし。徳野の身柄を宇佐美のときと同じようにいきなりとっても、問題視されることはない。
（告訴が出ていることを知らせず－－徳野氏宅のチャイムがなり、ドアを開けると、報道陣がずらり）
③左翼人士が多そうな全国弁連の弁護士は、俺たちに全面的に協力してくれる。

【教団職員が読むべき記事】＜顕正会「入信強要」で強制捜査、 次はどこ？＞

その２・統一教会の地域の指導者層の意識が量的にはどうか知らないが、質的には決定的に変わっている。
　

ブログ「目安箱」に投稿した教区長の言葉を再録する。好悪の感情を交えずに虚心に読んだほうがいい。私には怒りの底に哀しみが見て取れたのだが。
 
食口はＡＴＭ

　私は、現職の教区長です。
　先日の方復興局長の報告が、このサイトに上がったのを見ました。間違いなくあの時録音されたものです。
　私と同じように現在の教会のやり方に失望している牧会者がいるということを知り、勇気をもらいました。
　その勇気を讃えると共に、私も教会の改革に役に立つのであればと思いここに投稿します。
　ここにあげたものは、１１月１日全国責任者会議の時に徳野会長の話を録音した音声を書き取りしたものです。(一部)
　方復興局長の動画は削除されたので、私がUPしてもまたすぐに消されてしまうでしょう。ですからまず、このような形でオープンにしたいと思います。
　しかし、今後何の改善も見られなければ、音声ファイルをしかるべき複数の所に送付しようと考えています。

　４年前コンプライアンス発言をした本人が堂々とそれに反する発言をして、伝道と献金システムを作っていこうとしていることは事実です。
　もうこの辺で気付かないと本当に教会の未来はなくなります。
　徳野さんに聞きたい、以前の霊感商法に戻れということなのか？よくもあんな話ができるなと耳を疑った。

　また、今月の献金実績が厳しいということで11月26・27日全国地区長会議がありました。
　総会長と徳野会長に叱られたのかわからないですが、早速地区長から早く勝利せよ、と言う激しい詰がありました。
　もう限界です、今本部の人間や地区長達は、現場の食口がどれほど苦しんでいるか分からないのか！
　現場の教会と食口たちはＡＴＭ だと思っているのか！ハッキリ言っておくがもうこれ以上我慢しません。

 

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