蔓延するカルト脳
後藤徹監禁事件の資料(22)-法廷での火の粉を払う(1)
12月17日までに火の粉をはらわなきゃあ。3日置きのブログ更新を自分に課すことにします。いずれも長文ですが、おつきあいを!


宍道湖の夕陽と鰐淵寺の紅葉。月日が経つのは早いものです。
疲れの正体
12月17日が近づいている。12年間の監禁を問う後藤裁判の判決日である。
裁判ブログの「最終弁論傍聴記ー被告たちは皆元気がなかった?」(9月25日付)によれば,
「傍聴席から見た原告、被告側の様子は・・・特に被告側の人達がなぜか元気がない、お疲れのように見えました。被告側の人達がなぜか、自信なさげに見えたのは私だけでしょうか?」
とても興味深い記述だった。
泣いても笑っても最後の最終弁論(結審の日)。開かれたのは夜ではない。それなのに「被告たちが疲れていた」ように見えたというのだ。
考えられるのはただ一つだけ。法廷に登場したのが前と同じ裁判長だったから・・・。
裁判官の任期は約2年。後藤裁判の裁判長は東京地裁の判事になってからすでに3年を超えつつあった。当然、秋の人事で異動になってもおかしくなかった。
私が唯一危惧したのは、この裁判長の人事だった。
裁判長の訴訟指揮はことのほか被告側に厳しかった。証人尋問で、被告側の代理人が異議申し立てをしても、それを無視して「(原告代理人は尋問を)続けてください」。そのたびに代理人たちは苦い顔になった。
その裁判長が人事異動とならなかったのである。
裁判官が変われば敗訴
被告側の落胆は察してあまりある。
どういうことか。事情を説明しておく。
これまで、統一教会をめぐる裁判では、裁判長が変わったことによって、当然統一教会側の勝訴と思われていたのに敗訴した例が数多くあった。
たとえば、ぼくが傍聴した、監禁体験者の今利理絵さんが黒鳥・清水牧師を訴えた裁判の場合-。
黒鳥氏が事件を「親子が向き合うように話し合いをしただけです」と証言台で述べていたことに対し、向かって右の若き裁判官が黒鳥側から提出された「黒鳥先生に感謝している」という脱会者たちの陳述書(主に脱会までの経緯)をもとに、
「親子が向き合って話し合う。なるほど。でも、その場所がどうしていつもいつもきまってマンションなのでしょうか」
と糺した。素朴で鋭い質問であった。
黒鳥氏はしどろもどろ。
私はこれで今利さんが勝ったと思ったが、裁判長が変わり、敗訴した。
こうした事例がたくさんあったために、統一教会のとある法務担当は<裁判官の人事には陰謀があるのではないか>と、疑ったほどだ。
逆に言えば、反統一教会側は裁判官の異動があったために勝訴した裁判がいくつかあった、ということだ。このため、最終弁論のときに同じ裁判長が登場したから、被告側は疲れた表情を見せた。
少し補足説明をしておく。
日本の裁判は弁論主義を採用しているが、民事裁判の場合、書面主義である。傍聴された方は、せっかく都合をつけて裁判所に駆けつけたのに、書面を読みあげることなく裁判官に手渡して終わり-というシーンを見て、がっかりされた経験があるだろう。あれが書面主義である。
裁判官の異動がなければ、法廷で得た心証も書面にプラスされるのだが、新しく赴任した裁判官は法廷を体験していないため引き継がれた書面だけをもとに判決文を書く。
書面には黒鳥氏がしどろもどろだったことや、同じ被告の清水氏が単純な質問なのに答えることができず、汗をぬぐいながら「ちょっと頭が混乱して」と話したことは書かれていない。後藤裁判でも被告の後藤兄弟姉妹が返答につまったり、答えるのに時間がかかったりしたことなどは書かれていない。さらにいえば、実際の証言が証言録に正しく反映されていないことは少なくない。 後藤裁判の場合もそうだった。
<注>ある裁判では、原告がひそかに録音テープを持参し、証言録の間違いを指摘し、勝訴したこともあった。
なぜ、法廷に録音機を持ち込んではならない規則になっているのか。その理由はわからない。書記官とて人の子。決定的な証拠となる証言録を間違って記載することだってあり得るというのに。
近藤医師への異様なレッテル
さて、当初のテーマ-判決日までに法廷に出された「火の粉」を払っておく-に、筆を進める。
被告宮村峻氏は陳述書で、代理人山口広弁護士はそれをもとにした準備書面で、私のことを「統一教会のおかかえ(的)ジャーナリスト」と主張した。
私が「統一教会員を脱会させるために、信者を拉致監禁して監禁下で説得するのは良くない」と、子どもでもわかるきわめて単純な主張をしていることが、どうして「統一教会のおかかえジャーナリスト」ということになるのか。
自分らの敵を批判していても(火の粉ブログのカテゴリー「統一教会考」を参照のこと)、彼らにとっては敵に少しでも有利になるようなことをした奴は敵というわけだ。まさに白か黒かのカルト脳である。
【関連記事】「統一の御用ライターか破壊ライターか(苦笑 」
カルト脳については、「有田議員は滑稽なことにカルト脳」 で詳述したので、一読を。
カルト脳がいかんなく発揮されたのは私に対してだけではない。身辺雑記の「がん体験記」で登場していただいた慶応大学の放射線科医の近藤誠さんに対してもそうである。本で書かれるから、被害は私の比ではない。
『がん業界と反カルト業界の類似性』 で、近藤さんを批判する本が出版されたことを紹介した。タイトルは『「医療否定本」に殺されないための48の真実』。近藤さんのミリオンセラー『医者に殺されない47の心得』からのパクリで、二匹目のドジョウを狙ったのであろう。
さもしい限りだが、そのことはさておき、近藤さんは「医者に殺されないための心得」を書いているのに、それが「近藤氏は医療を否定している」ことになってしまうのだ。
しかも、一部の不勉強な週刊誌記者がそれに追随する。
「一度に3種類以上の薬を出す医者を信用するな」
傾聴に値する指摘ではないか。
血圧が少しでも高いとすぐに降圧剤を出し、老化で記憶が衰えれば認知症としてアルツハイマーの治療薬・アリセプト、気が塞いでいると抗鬱剤を処方する医者がいる。そうした今の医療を批判するのは、良心的な医者なら当然のことではないか。
それを「医療を否定している」とウルトラ飛躍する。まさに、白か黒かのカルト脳そのものだ。
精神薬ついでに思い出されるのは、精神薬の危険性を訴える団体にサイエントロジーの会員がいたら、「やや日刊カルト新聞」はカルトだ、カルトに利用されていると主張したことだ。訴えの内容ではなく、団体の構成員が問題だという。ヒステり-というしかない。
なお、厚生労働省は最近、精神薬の過剰投与について注意を促す指導を始めている。
【参照記事】プロローグ - 「やや日刊カルト新聞」の自由報道協会での記者会見。ぜひ、目を通していただきたい。
蔓延するカルト脳
私の個人的な感覚だが、カルト脳が社会に蔓延しつつあるように思える。慰安婦問題に端を発する日本、韓国の一部の世論。在日朝鮮・韓国人を罵倒するヘイトスピーチ。組織内部もそうだ。統一教会員が組織のあり方に疑問を呈すれば、郭グループだと決めつける。同グループの実態さえないというのに。
注意してもらいたいのは、物事を白か黒かの二分法で考えるのは実に簡単、思考力を要しないということだ。それに対して、是々非々は思考力を要する。少なくとも、どの部分が是でどの部分が非なのか、考えなければならない。
(応用問題) 統一教会のどの部分が是で、どの部分が非なのでしょうか。
脳のことを考えると、少々薄気味悪くなってくる。
白か黒かで物事を考える人は、前述したように思考力を使わない。「拉致監禁に反対する」⇒「統一教会のおかかえジャーナリストだ」。これだけである。「⇒」の間が重要なのだが、何もなく、ただ「⇒ ゆえに」だけ。
人は易きに流れるではないが、安易で簡単な思考方法をいったん身につけると、何でも白か黒かで考える習性が身につく。
そうした人たちの脳は思考機能が衰え、それを司る大脳新皮質の前頭葉が、使わない筋肉がそうであるように、次第に萎縮する。
身に覚えがある人は、気をつけられよ!
後藤裁判の被告代理人たちは、カルト脳というだけではない。「敵」(私)をやっつけるために、平気で嘘をつく。白か黒かではなく、白を黒と言いくるめるのだ。
次回からそのことをたっぷりと(長文)、紹介することにしたい。
【読んでもらいたい記事】「全国弁連弁護士は、拉致監禁(保護説得)に対する態度を明らかにせよ」。問題点が整理されていてとても読みやすいですよ。
興味深い記事だと思われた方は↓

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- [2013/11/27 15:09]
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コメント
蔓延するカルト脳
教会員の多くが思考能力が無いことは確か。
摂理が延長に延長を重ねても「のど元過ぎれば熱さを忘れる」なんだよな。
間違って記載
>書記官とて人の子。決定的な証拠となる証言録を間違って記載することだってあり得るというのに。
裁判の経験者でないと理解しにくいことだと思いますが、「間違って記載」はあるのです。
私の裁判では、癌の標本が私のものかどうかで争いました。
私が「標本が癌であったことは認めた」時の調書を後から見て驚愕しました。
書記官が書いた調書には、「原告(私)が癌であったことは認めた」と書かれていたのです。
肝心の「標本」が抜けていました。
これでは勝てるわけがありません。
裁判途中でも調書は確認すること。これが教訓です。
後藤裁判の勝訴を心からお祈りしています!
色眼鏡
<最終弁論のときに同じ裁判長が登場したから、被告側は疲れた表情を見せた>
そうなんですね。
流石ですね。見るところが違う、というか、鋭い、というか、よくご存知で、本当に頭が下がります。
同じ裁判の途中で、裁判長が替わるなどということがあるとは、全く知りませんでした。
お役所的ですね。あ~、ますます日本の司法が嫌いになりそうです。
でも、後藤裁判については、最初から話を聞いている裁判長が判決まで担当されるということで、本当に良かったと思います。
原告勝訴の可能性が格段にアップした、ってことですよね。^o^
<後藤裁判の被告代理人たちは、カルト脳というだけではない。「敵」(私)をやっつけるために、平気で嘘をつく。白か黒かではなく、白を黒と言いくるめるのだ>
その通りです。ウソをつきまくっています。何でもかんでも「黒」にしようとしています。
ずっと前から「監禁されていない」という建前で通してきているので、今さら本当のことは言えないのでしょうし、監禁のカラクリがバレると全てを失ってしまうので、焦っているのでしょう。
カルト脳なのかどうか分かりませんが、私も「○○党」「○○教」「○○国」「○○新聞」などと聞けば、すぐに白か黒かで判断してしまいがちです。
心の底でその党や宗教、国、その思想・論調を嫌っているからでしょうか、何が何でも、それに関するプラス面は受け付けようとしないのです。マイナス的な話は大いに歓迎し、他にも吹聴するのに…。
これって、単純に人間の器が小さい、ってことですよね。
それを認めれば、相対的に自分の立場が不利になるので、自己防衛反応で発作的に「黒」と決めつけ、攻撃してしまうのかもしれません。
後藤裁判の被告側はウソでも何でも勝たなきゃ、ってことで、原告側に有利な情報(情報源)はことごとく「黒」と決めつけて排除したいのでしょう。
白を黒を言いくるめられればいいのですが、最初から話を聞いている裁判長は果たして、言いくるめられるでしょうか。私は、言いくるめられないと思います。
裁判長であろうと、誰であろうと、12年5ヶ月もの間、好きでマンションに閉じこもった、という話なんて、理解できないでしょうから。
私は、監禁に手を染め、監禁ビジネスで良い思いをした連中を「監禁派」として、色眼鏡で見てしまいます。
なんとか「どの部分が是でどの部分が非なのか」を考えられる心の余裕を持てるよう努めたいと思います。
宮村さんの「是」とは?
>私は、監禁に手を染め、監禁ビジネスで良い思いをした連中を「監禁派」として、色眼鏡で見てしまいます。なんとか「どの部分が是でどの部分が非なのか」を考えられる心の余裕を持てるよう努めたいと思います。
なるほど。
「監禁派のどの部分が是なのか」
思わず、考えこんでしまいました。
でも、「是」と言えるほどには、彼らのことがわかっていません。
少しばかり知っているのは、脱会屋の宮村さんのこと。で、宮村さんの是と非について。
彼がやっている統一教会に関する活動は、明らかに「非」ですよね。というより、真っ黒け。
家庭人としての宮村さんは?
妻は、夫の脱会活動を快く思っていなかった。理由は女性(元信者)問題でしょう。
だから、家庭人としての宮村さんは「非」ですね。
妻は、夫の女性問題に心を痛めたのが原因でか、脳疾患で倒れてしまいました。
その妻(まだ60代)を、宮村さんは施設に預けてしまった。
彼と長男の息子夫婦、次男の息子(独身)とが力を合わせて介護すれば十分に自宅でできるというのに。これも「非」でしょうね。
そうそう。次男の息子は広い自宅ではなく、近所の別のところに住んでいるそうです。息子さんに「父親としての宮村さん」のことを聞いてみたいものです。
地域の住人としての宮村さんはどうか。あまり評判はよろしくないようですよ。
ただ、魚河岸などの行きつけの飲食店の評判はいいみたいですね。「娘のような女性を連れてよくこられます。金払いはいいですよ」
地域の飲食店に貢献している。これは宮村さんが是とされるところでしょうね。
お勧めブログ記事。
<桜田淳子さんをファンとして応援します>
http://humanrightslink.seesaa.net/article/381319766.html#more
まさにカルト脳(オセロ脳)が社会に蔓延していることがわかると思います。
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