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ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(下) 

ストーカー事件の真相(10)

 これまで2回、弁護人の最終陳述を紹介した。これが最後である。注意書きは前回と同様なので、省略する。

 これまでの陳述を読まれ、検察の論告と比べ、証拠、書面をより多面的かつ豊富に引用して論じていることに気づかれたと思う。

 今回、興味深いのは、K氏・K氏の母親・宮村証言の嘘を逐一摘示していること、そして警察の正体を暴露していることである。

最終弁論

<総論>
1.公訴事実記載の目的について
2.公訴事実記載の「かっての婚約者」について
3・公訴事実記載の各行為について
4.ストーカー行為の故意の欠如
5.本件はストーカー規制法を適用すべき事案ではない
<本件は恋愛感情充足目的ではない>
1.序
2.K氏が08年1月1日に行方不明になるまでの経緯
3.K氏が行方不明になって以降、公訴事実記載の日時に至るまでの経緯
4.小括-公訴事実の各日時当時における被告人の目的
<公訴事実記載の「かつての婚約者」について>
1.被告人に対する婚約破棄の意思表示の不到達
2.K氏との婚約解消手続きが統一教会内において未了であること
3.まとめ
<公訴事実1ないし5の各行為について>
1.公訴事実1ないし4における被告人の認識及び行動
2.公訴事実5の日時・場所における被告人の認識及び行動
3.本件各行為が恋愛感情を充足し得る態様ではないこと
<被告人にはストーカー行為の故意がない>
<本件はストーカー規制法を適用すべき事案ではない>
1.ストーカー規制法の適用対象
2.本件事案の特殊性
<K証言について>
1.K証言の弾劾
2.K氏がストーカー被害を訴えることに対する疑問
<K氏の母親証言の弾劾>
<宮村氏証言の弾劾>
<乙第3号証の信用性について>

1.序
2.本件調書の作成経緯
3.小括
<結論>


<本件はストーカー規制法を適用すべき事案ではない>
 
1 ストーカー規制法の適用対象

 元来,ストーカー規制法は,恋愛感情その他の好意の感情等を表明するなどの行為のうち,相手方の身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安をおぼえさせるような方法により行われる社会的に逸脱したつきまとい等の行為を規制の対象とした上で,その中でも相手方に対する法益侵害が重大で,刑罰による抑制が必要な場合に限って,相手方の処罰意思に基づき刑罰を科すこととしたものであり(最判平成15年12月11日判タ1141号132頁),同法を適用すべき典型的なケースとしては,相手方から交際拒絶の意思を明確に伝えられたにもかかわらず,自らの恋愛感情等を満たすためだけに,電話やメール,手紙等による連絡を繰り返したり,つきまといや待ち伏せ等をして交際や復縁を要求したりする行為をする場合である。
 
2 本件事案の特殊性

 しかしながら,本件は,被告人と親密な交際をしながら結婚にも前向きな態度を示していたK氏が,突然,行方不明になり,それ以降,同氏から被告人に対する直接的な連絡が一切ないなか,被告人が,K氏の居場所を捜して同氏の本心を確認したいという思いから行った行為なのであり,前記のストーカー規制法が規制すべき事案とは明らかに異なるのである。

 すなわち,本件一連の行為は,K氏が被告人に対して,自らの気持ちや考えを,直接的かつ明確に伝えなかったがゆえに,被告人が,意思確認の必要に迫られて,やむなく行った行為なのであり,かかる被告人の行為は,ストーカー規制法が元来,処罰対象とした恋愛感情を表明する行為とは,全く質の異なる内容の行為と言える。
 
 したがって,本件は,ストーカー規制法は適用されるべき事案ではない。


<KM証言(以下「K証言」という)について>

1 K証言の弾劾

① K氏は,本法廷において,合同結婚式への参加は「宗教上の婚約」であると証言したが(K第2回2頁),他方で,宗教上の婚約は,合同結婚式に先立つ聖酒式であり,合同結婚式に参加するということは,儀式として結婚式を挙げたという認識だったとも証言している(K第3回1頁)

 この点,統一教会の資料(甲32,弁10)及び,被告人の認識(被告人第6回2頁)からすれば,合同結婚式に参加することは,文字通り,宗教上,結婚式を挙げることを意味するのであるから(被告人第6回2頁),宗教上の「婚約」であるとするK氏の前記証言は,明らかに虚偽である。

② K氏は,本法廷において,交際当時の被告人に対する気持ちについて,本音としては苦手なタイプであるとか(K第2回3頁)三日行事後も好きになれないので一生懸命好きになる努力をし続けたなどと証言した(同6頁)

 しかし,当該証言は,被告人がK氏の言動や所作から受けた印象(被告人第6回1~8頁)に反するだけでなく,K氏自身が被告人に送ったメールの文面(弁1,特に,前記<本件は恋愛感情充足が目的ではない>2(1)①にて引用したメール)とも矛盾するため,信用性に乏しい。

③ K氏は,本法廷において,被告人の両親宅へ行くことにつき,被告人が積極的で早く結婚したい気持ちが強いと思った旨証言した(K第2回4頁)

 しかし,K氏のメール(弁1)の文面,特に2007年8月30日付メール等から,実際に結婚に向けて積極的に動いていたのは,K氏であることは明らかであり,また,被告人も,K氏からの申し出により,被告人の両親宅に行った旨供述していることから(被告人第6回4頁),前記K証言は虚偽である。

④ K氏は,本法廷において,被告人の両親に紹介されたときに,婚約者,結婚相手として紹介されず,被告人の母親から「結婚しなくてもいいんだけどね」と言われたなどと証言している(K第2回4頁)

 しかし,被告人の両親は,K氏を婚約者として認識し歓迎しており(宇佐美和美証言1~2頁,被告人第6回4頁),上記K証言は全く信用性がない。

⑤ K氏は,本法廷において,2008年1月1日の帰省直後,「1回だけ被告人のメールに返事をしたんじゃないかな」と,曖昧ながら,返信した旨の証言をした(K第3回21頁)

 しかし,返信の内容については覚えていないと曖昧であるうえ(同21頁),その証言の少し前では,帰省してから被告人に対し電話もメールもしなかったことを断定的に認めていた(同20頁)

 また,被告人は1回も返信がなかったと明言しており(被告人第6回12頁),当該被告人の供述は,被告人がK氏宛てに送信した弁1号証の2008年1月2日午前2時41分のメール及び同年1月2日20時26分のメール内容(K氏からの返信がなく心配している内容)とも符合するため,信用性が高い。

 したがって,被告人にメールを1回返信したとする前記K証言は,明らかに虚偽である。

⑥ K氏は,本法廷において,家族との話合いを始めた頃,K氏の父が足立教会の青年部長に電話連絡を入れた旨証言した(K第2回9頁)

 しかし,同証言を傍聴席で聞いていた中務氏が,当時の青年部長に直接確認したところ,電話連絡があったという事実はなかった旨,本法廷において証言しており(中務証言4頁),前記K証言は虚偽である。

⑦ K氏は,本法廷において,荷物を送ってもらうように頼んだ中務氏との電話において,統一教会本部宛てに出した内容証明の内容は自分の本心であることを伝えた旨証言した(K第2回12頁)

 しかし,中務氏は,本法廷において,前記K証言のような事実はなく,前記内容証明について,K氏は一言も話さなかった旨明言し,また,電話でのK氏とのやりとりから,脱会届は,書かされたものか偽装脱会かと思った旨証言しているところ(中務証言6~7頁),同中務証言は,当時のK氏との電話のやりとりについて,前後の状況を含め,具体的かつ詳細に述べているため信用性が高いと言える。

 したがって,同中務証言に反する前記K証言は,虚偽である。

⑧ K氏は,「親からの監禁から逃れそのまま渡韓した姉妹です」と自らが記載した▲▲姉という人物につき,彼女が監禁ではなかった旨証言し(K第3回18~19頁),さらに,この記載をする前に,▲▲氏本人に会って監禁ではないと聞いたと証言する(同62頁)

 しかし,もし,これが事実であるとすれば,K氏は,▲▲氏本人から監禁ではないと聞いていながら,「監禁から逃れ」と記載したことになり,余りにも不自然かつ自己矛盾の証言である。また,この点について,中務氏は,本法廷において,韓国にいる▲▲氏本人と連絡をとり,▲▲氏がK氏に対し,親から監禁されたとはっきり言ったという事実を確認した旨証言している(中務証言3頁)

 したがって,K氏の前記「監禁ではなかった」旨の証言は,信用性がない。むしろ,K氏がこのような自己矛盾証言をしてまで,▲▲氏の監禁の事実を否定する証言をしたのは,K氏自身が監禁された事実を否定して隠そうとする意図があるからである。

⑨ K氏は,教会の反牧講座で拉致監禁の恐怖心を植え付けられたが,実際には親との話合いで拉致監禁ではないという趣旨の証言をした(K第3回19頁)

 しかし,拉致監禁は,実際に被害者の体験を通じて判明している客観的事実であり(中務証言3頁,被告人第6回17~21頁)前記K証言は,虚偽である。

⑩ K氏は,本法廷において,実家に帰省した直後,自分の意思で連絡しなかった旨証言するが(K第3回22頁),あまりにも不自然であり,全く信用性にかけることは前記<本件は恋愛感情充足が目的ではない>の2(4)で述べた通りである。

⑪ K氏は,本法廷において,脱会意思を固めて脱会通知書を出した後も,被告人に連絡しなかった理由について,脱会届,祝福破棄届を出した時点で被告人とは無関係になりたかったからであるとし,一切連絡を取らない方が被告人もあきらめやすくなると思ったと証言し(K第3回23頁),また,被告人との出会いも被告人との結婚の気持ちも全部,統一教会の教えに沿うので,脱会すれば全部取りやめであり,感情としての交際ではなく,宗教の気持ちが合っての交際だったので,脱会した以上,事務処理で終わらせ(同24頁),事務手続で済めば,そのほうが被告人も傷つかないかと思った旨証言し(同24頁),同様の趣旨のことを繰り返し証言した(同25,26,27,28,39頁など)

 しかし,K氏自身,脱会届を出すまでに1年近く要するほど時間がかかったにもかかわらず,脱会するや,被告人に対しては,統一教会本部宛の脱会届1通で,単に事務処理で済ませるほうが諦めやすくなると考えたなどというのは,あまりに不自然かつ不合理であり,殊に,K氏は,被告人がK氏のことを偽装脱会ではないかと疑うことを承知していたことからすると(同23,39頁),そのような被告人の疑いを解く努力を何らすることなく,単に事務手続きで終わらせることができると考えたなどとは,不自然極まりない。
 
 したがって,前記のK証言は,明らかに虚偽である。

⑫ K氏は,本法廷において,宮村氏のことを,脱会自体に向けての指導者ではなく,教会脱会後にしっかりと社会生活できるようになるまでをサポートしてくれる支援者である旨証言する(K第2回14頁 )

 しかし,その一方で,K氏は,反対尋問において,宮村氏と初めて会ったのは,実家に帰省した当日である2008年1月1日であると述べ,脱会する前から関わりがあった事実を認めた(K第3回32~33頁)

 したがって,宮村氏が単なる脱会後の支援者であるとする前記K証言は,明らかに虚偽である。

⑬ また,K氏は,本法廷において,宮村氏と最初に会った同日,同氏と会った理由につき,K氏本人が宮村氏の話を聞きたいと言って来てもらった旨証言した(K第3回32頁)

 しかし,その一方で,K氏は,当時,拉致監禁されると思い恐怖感があったとも証言しており(同31頁),これが事実であるとするならば,当時,未だ統一教会の信仰を持ち,拉致監禁されることを恐れていたK氏が,脱会支援者である宮村氏の話を自ら進んで聞きたいと思うのは,余りに不自然である。

 したがって,前記のK証言は信用性がないというべきである。 
 

傍聴席でK氏の証言を聞いていて、思わず声をあげそうになったほど驚いたのは、宮村氏がやってきたのは宇佐美氏と別れたその日(08年1月1日)と証言したときだった。
 なぜなら、K氏はこう証言すると瞬間的に思ったからである。
「1日以降、家族で話し合いをしていました。話し合いが行き詰まってきたので、両親が統一教会に詳しいカウンセラーの方を呼んで、その方からも話を聞いたらどうかと提案があったので、応じることにしました。その日は▲月頃のこと」
 このように証言されたら、弁護人は二の句をつげなくなってしまう。

 それなのに正直に「1月1日」と答えたのだから、驚いてしまったのである。

 ところが、次の証言は正直でなかった。
「私が宮村さんの話を聞きたいと言って来てもらった」
  その日が▲月のことなら、虚偽だとすることはできなかったのだが、“親子での話し合い”が始まったその日に、『脱会屋の全て』 『人さらいからの脱出』に脱会屋として登場する宮村氏を、信仰歴10年のマザーをやっていたバリバリの青年教会員が自らの意思で呼ぶなんて、逆立ちしても有り得ないことだ。

 それと、事前に打ち合わせたのだろうが、宮村氏のことを「脱会自体に向けての指導者ではなく,教会脱会後にしっかりと社会生活できるようになるまでをサポートしてくれる支援者」と証言したのも、いただけなかった。
 なぜなら、後藤裁判で、当の宮村氏が陳述書の中で、脱会説得をしていると述べているからである。
 宮村氏の強制説得を否定したいあまりに、説得そのものまで否定してしまった。


⑭ K氏は,本法廷において,居場所を移動する時期や移動先の決定について,宮村氏ではなく家族で相談して決めていたのであり,宮村氏の手助けはなかったと証言した(K第3回33頁)
 
 しかし,実際,宮村氏の事務所のある西央マンションにK氏がいた事実は,宮村氏自身が認めていることから(宮村証言19頁),K氏の移動先について,宮村氏が関与していたことは明らかである。

 したがって,前記のK証言は,信用性がないというべきである。

⑮ K氏は,本法廷において,被告人が西央マンションに来て宮村氏ともめた後,被告人宛て荷物を送った経緯につき,結婚はあきらめてほしい,被告人には会いたくないし,話したくないと宮村氏に伝え,その気持ちの証拠として手紙をそえて荷物を返したいということも伝えて,宮村氏に発送手続を頼んだうえ,被告人の現住所がわからなかったので実家に送ったこと(K第2回16頁,第3回25頁),及び,手紙と荷物を送れば被告人があきらめると思ったこと(同19頁)などを証言した。

 しかし,K氏が交際当時,被告人から受け取ったメールには,被告人の住所(東京都豊島区北大塚3-30-4-503)が記載されていたのであるから(弁2の2007年2月25日のメール,同年2月28日のメール,同年3月4日のメール他多数),前記手紙を,被告人に届けたいのであれば,まずは,被告人の前記住所宛てに送るのが通常であるところ,K氏は,一度も被告人の前記住所宛てに送らなかった。

 また,K氏が,前記手紙をもって自分の気持ちや意思を,被告人に確実に伝えたかったのであれば,内容証明か,少なくとも配達証明を付けて,被告人の前記住所宛てに,手紙のみ郵送すれば足りるのであり(もしそのように送っていれば,被告人に届いたはずである),わざわざ荷物の中に手紙を入れた上,被告人の住所から遠く離れた宮崎の実家に送るというやり方自体,極めて不自然である。

 ましてや,K氏は,被告人がK氏の偽装脱会を疑ってK氏を捜していることを認識していたことに鑑みれば,K氏が,前記のような方法で,手紙や荷物を送って,被告人が「あきらめると思った」と考えることは,極めて不自然かつ不合理である。

 したがって,前記のK証言のうち,K氏が被告人に対して結婚はあきらめてほしいなどの気持ちを伝えるために手紙を送ったこと,被告人の現住所がわからなかったので実家に送ったこと,及び手紙と荷物を送れば被告人があきらめると思ったとの証言はいずれも,信用性に欠けるというべきである。

⑯ K氏は,本法廷において,脱会後,自宅に戻らなかった理由につき,教会員が連れ戻しに来るからと述べ(K第3回39頁),また,脱会してから2年以上経つにもかかわらず,被告人や統一教会の人に追われているから社会に戻れないと証言した(同34頁)

 しかし,その一方で,K氏は,本法廷において,信者として教会内で生活していたとき,意思に反して無理に連れ戻された信者を見たことはないと証言している(同39,40頁)

 そうすると,K氏が自宅に戻らなかった理由として述べた前記「教会員が連れ戻しに来る」ということは,現実には全く起こりえないことである。K氏は,それを知っていながら,あたかも,教会員や被告人のせいで,不自由を強いられているかの如く,事実を歪曲して述べている。
 したがって,前記のK証言は,全く信用性がない。

2 K氏がストーカー被害を訴えることに対する疑問
 
① 前記1②で述べた通り,K氏は,本法廷において,交際当時の被告人に対する気持ちについて,本音としては苦手なタイプであるとか(K主尋問3頁),三日行事後も好きになれないので一生懸命好きになる努力をし続けたなどと証言した(同6頁)

 もし仮に,同証言が事実であるとするならば,K氏は,本当は被告人に全く好意がなかったにもかかわらず,被告人を欺いて,被告人に好意を持っていると誤信させ,被告人のK氏に対する愛情を盛り上げておきながら,突如,信仰を一方的に棄てるや,自動的に婚約も破棄されて当然であるかの如き態度をとったことになり,余りにも不誠実であり,人道に反するというべきである。

② 前記1⑪で述べた通り,K氏は,脱会意思を固めて脱会届を出した後も,被告人に連絡をしなかった理由について,単なる事務処理で済ませることをよしとした旨繰り返し証言した。

 しかし,K氏自らは,脱会届を出すまでに,1年近くも要するほど時間がかかったにもかかわらず,脱会するや,被告人に対しては,統一教会本部宛ての脱会届1通で,単なる事務処理で済ませるほうが被告人も諦めやすくなると考えたという態度は,これが事実であるとすれば,あまりに不誠実に過ぎる。

 殊に,K氏は,被告人がK氏のことを偽装脱会ではないかと疑うことを承知しつつ(K証言23,39頁)全く,その被告人の疑いを解く努力をすることなく,事務手続きで終わらせることができると考えたという態度は,甚だしく非常識であり,著しく不当な婚約破棄であることは明白である。

③ K氏は,全く唐突に告訴という形でストーカー被害を訴えたが,以上の通り,通常,婚約を破棄する者として,当然なすべきことを一切せず,被告人が不可解に思い心配する気持ちやK氏を捜していることを承知しながら,それを解消することもなかった経過からすれば,被告人をストーカーとして訴えるより前に,K氏のほうになすべきことがあったことは明らかであり,K氏のストーカー被害の訴えは,甚だ疑問である。

 ましてや,公訴事実5において,被告人は,K氏と対面し「もう終わりにする」と言い,実際にその後,K氏の周辺に現れていないにもかかわらず,被告人を告訴したことは,常軌を逸しており,告訴権の濫用というべきである

④ K氏は,捜査段階の調書において,被告人がK氏の所在が不明になって間もなく,婚約者としてK氏の両親宛に出した2008年2月の手紙につき,本法廷において「復縁を迫る手紙」と歪曲したことを認め(K第3回41~42頁),また,告訴状に,公訴事実5において被告人が「話し合おう」と言った事実についても,本法廷において「交際を要求した」と歪曲して表現したこと(同50頁)及び,実際には,被告人は「終わりにしようと思う」と言ったことを認めた(同51頁)

 また,公訴事実4につき,ブロック塀のすきまから身を乗り出すようなところだった(K第2回同41頁)などと全く虚偽の証言をしたり(被告人第9回),怖かったから何も言えなかったと言いつつ,その怖い人を追いかけて写真撮影をしたり(K第3回48,49頁)公訴事実5に至るまでの間,被告人に対して,直接又は警察を通じて間接に,拒絶または警告等の意思表示を示す機会があったにもかかわらず,何一つ示すことなく,他方で,デジタルカメラを携帯していた(同54頁)

  このような事実と行方不明になってからの一連の事実経過を併せ鑑みれば,K氏は,被告人との婚約破棄については,大人としてきちんとした誠実な形でけじめをつけることなく棚上げしておきながら,被告人をことさらにストーカーとして仕立て上げようとしているとしか思われず,本件は,被告人にとって理不尽極まりない事件である。



<K氏の母親証言の弾劾>

① K氏の母親は,本法廷において,2008年2月に被告人からK両親宛の手紙を受け取った当時,「M子は,被告人をあまり好きなタイプじゃなかったと言っていたので,結婚する気持ちは無くなっていたと思う」(K美穂子証言2頁)と証言した。
 
 しかし,当のK氏本人は,本法廷において,2009年12月に脱会届を出すまでの間,教えが真理でないとわかるまでは,結婚をずっと考えていたが,真理でないと分かって結婚はしないという気持ちになったと証言している(K第2回11頁)

 したがって,母親の前記証言は,信用性がない。

② K氏の母親は,本法廷において,K氏が脱会届を出す経緯につき,K氏本人の意思によるものであることを証言した(K美穂子証言3~4頁)

 しかし,当のK氏本人は,実家から話合いの場所として移動し,9か月間,全く実家に戻ることなく居たという「すごく住み心地の悪い」「すごく嫌気がさした住みづらい」マンションにおいて,脱会を決めたと証言し(K第3回37頁),さらに,脱会届は,自分が外に出ることなく,K氏の父親が発送したものであると証言しており(同38頁),脱会届が真にK氏本人の自由意思によって作成かつ発送されたものであるのか,極めて疑わしい。

 したがって,母親の前記証言は,信用性がない。

③ K氏の母親は,本法廷において,公訴事実2,3,4,5のそれぞれの時について,怖さを感じたことを言い続けていた(K美穂子証言7,8,10,11頁)

 しかし,その一方で,K氏の母親は,K氏が被告人を見たと言うのを聞いたにすぎず,公訴事実のいずれの場合も,被告人を直接見たことはない旨証言している(同6,7,9,12,13頁)

 そうすると,K氏本人ですら,現実的な身の危険を何も体験していない状況であったことに照らせば,母親の前記証言は,何らの根拠もなく,ことさらに怖さを強調しているにすぎない。
 
 そもそも,K氏に話合いを求める形で,結婚を決めていた二人の仲を,意図的に引き裂いた以上,本来ならば,K氏の母親として,自ら,被告人及びその両親にそれなりの謝罪をすべき立場にありながら,姿を見たと聞いただけでK氏本人以上に不安がっていた事実が窺われ(K第2回調書添付の資料3の2010年10月13日の記載),あまりにも不自然である。

 したがって,母親の「怖さを感じた」とする前記証言は,信用性がない。

④ K氏の母親は,本法廷において,宮村氏に対し,K氏を統一教会から脱会させて欲しい,又は,同教会をやめさせたい,と話した覚えがないと証言した(K美穂子証言16頁)

 しかし,その一方で,K氏の母親は,同教会の信仰を持つことに反対し,K氏をやめさせたいと思っていたこと(同14頁),同教会を批判する本を30冊から40冊も読んでいたこと(同15頁),27,8年間,統一教会の脱会支援をしていると自ら認めた宮村(宮村証言16頁)に相談していたこと(K美穂子証言16頁)などを証言しており,これらの事実に鑑みれば,宮村氏に,K氏を教会からやめさせたいと話した覚えがないという母親の前記証言は,余りに不自然である。
したがって,信用性がないというべきである。


<宮村氏証言の弾劾>
 
① 宮村氏は,本法廷において,公訴事実5のサウナにおいて,更衣室にいるときに「表で怒鳴り合う声が聞こえた」と証言した(宮村証言13頁)
「怒鳴り合う」という表現によれば,K氏と被告人の双方が怒鳴って口論していたかのようであるが,しかし,他方で,宮村氏は,被告人の様子が冷静又は普通だということについては否定しつつも,「Kさんがえらい怒りまくって・・・大きな声で言っていた」(同29頁),「Kさんのほうが激しく怒ってい」て,被告人は「Kさんの怒りに押されて,けちょんとしてるって感じ」と証言している(同32頁)。また,K氏自身が,甲第7号証において「私との会話では,彼は穏やかに話していました。私は少々ケンカ腰に話していました」と記載している。

 したがって,あたかも被告人も怒鳴っていたかのような宮村氏の前記証言は,信用性がない。

② 宮村氏は,本法廷において,K氏との関係につき「普通の友人」であると証言した(宮村証言18頁)

 しかし,他方で,宮村氏は,27,28年間,統一教会の脱会支援をしていることを認めたうえ(同16頁),K氏を同教会から脱会させたかったK氏の母親が宮村氏に相談していたことを認め(K美穂子証言16頁),何より,K氏本人が,脱会前からの関わり(K第3回32~33頁)及び脱会後のサポートをする支援者である旨証言しており(K第2回14頁 ),明らかに,普通の友人関係と異なることは,明らかである。

 したがって,K氏との関係は「普通の友人」とする宮村氏の前記証言は,全く信用性がない。

 そもそも,一般に証人尋問の際には,尋問の出発点として証人と事件当事者との関係性を明らかにするのが通常であるところ,検察側証人として出廷した宮村氏に対し,検察官は,K氏との関係性等を全く明らかにすることのない尋問に終始した。他方,弁護人が,K氏との関係性や宮村氏の属性を尋ねた質問に対し,検察官は主尋問と関連性がない旨異議を述べ,裁判所もこれを認めた(宮村証言16~17頁),かかる検察官及び裁判所の態度は,当然明らかにすべき当事者との関係等をあえて黙殺しようとしたに等しい。

検察よりの訴訟指揮、「判検癒着」の最たる現象!



 また,本件は,職業的改宗業者ともいうべき宮村氏の属性が,K氏の本心を確認しなければならないという被告人の主観に強く影響を及ぼし,重大な関連性があるところ,この点の立証につき,一切関連性が認められなかった点は,誠に遺憾である。

③ 宮村氏は,本法廷において,被告人の携帯電話等を被告人の実家に送る際,携帯電話の電池については,郵便局で電池は送れないと言われたから外した旨証言した(K証言31頁)

 しかし,仮に,当該証言が事実であり,また,K氏から被告人に借りていたものを返してと頼まれたことが事実であるならば,郵便局で外した電池も,別途,郵送するか,荷物全部をゆうパックではなく他の方法で送るか,もしくは,少なくとも電池が送れなかった旨伝票に記載して伝えるのが常識である。

 そしてむしろ,宮村氏が,前記いずれの方法も取っていないのは,もともと電池は抜かれていた,すなわち,K氏が帰省した直後,母親が携帯電話を預かった際に,電池を抜き,外部との連絡手段を断ったことが強く推認される。

 したがって,宮村氏の前記証言は,信用性がないというべきである。

④ 宮村氏は,本法廷において,サウナで松岡刑事宛に電話をしたとき,松岡は出ているので,何かあったら110番して,と松岡以外の警察官に言われた旨証言した(宮村尋問27頁 )

 しかし,松岡本人は,本法廷において,同人が宮村の電話を直接受けたことを明確に証言しており(松岡証言2,8頁),同証言は,警察官が職務上受けた電話に関する記憶であるから,極めて信用性が高い。

 したがって,宮村氏の前記証言は,前記松岡証言に反するため,虚偽である。
 


<乙第3号証の信用性について>
警察の正体!) 

1 序

 被告人の平成23年2月13日付け警察官調書(以下「本件調書」という)のうち,別紙「信用性を争う部分」として列挙した部分は,後記のとおり,取調べ警察官が,初めから被告人の自白調書を作成する意図の下,「恋愛感情を充足する目的」や「待ち伏せ」等の犯罪構成要件の核心的部分及び周辺事実について,当時,被告人が,これらの事実を否認していたにもかかわらず,被告人の供述をそのまま調書に反映することなく,勝手に作文して作成したものであり,信用性がないというべきである。

2 本件調書の作成経緯

 被告人は,2月13日当時,人生初めての逮捕拘留を経験し,朝から晩まで,寝る時間と食事の時間を除いて,ほとんど取り調べを受けていた。
 具体的には,2月11日は合計6時間50分,同月12日は合計6時間3分,そして同月13日は合計5時間19分の取調べを受けており,この3日間だけでも合計18時間以上の取り調べを受けていたため(甲74,被告人第5回4~7頁),精神的にも肉体的にも相当疲れており,特に肉体的には頭痛を患っていたので,調書の内容をじっくりと検討することが難しい状態であった(被告人第5回18~19頁)

 このような状況において,被告人は,2月13日の取調べが終わる間際に,残り10分位の間で,それまで作成した計19枚にわたる調書を,取調べ警察官から見せられ署名押印を求められた。

 これに対し,被告人は,別紙「信用性を争う部分」の記載を含む内容を見て,明らかに自己の記憶や認識に反している記載があることに気が付いたので,警察官に対し,当該部分の訂正や削除を申し立てた。すると,それまで和やかで和気あいあいの雰囲気だった取調べ警察官の表情が一変し,ノートパソコンを閉じて,体をせり出しながら,感情的な口調で,「これ(調書)は,宇佐美君の作文じゃないんで,訂正できない」と激しく拒否された(被告人第5回2~3頁,14頁)

 そのため,被告人は,前記のとおり疲れて体調が良くなかったので,署名押印をするのは後日にしてほしい旨,及び,改めて調書を見直す時間をとってほしい旨を要請した。

 ところが,警察官は,被告人に対し,「その日に作ったものはその日に指印を押さないと無効になる,今まで長い時間取り調べて作ったものが無効になり無駄になるから,どうしても判を押してほしい」と被告人に懇願した(被告人第5回4~5,20頁)

 また,特に,本件調書の19頁下から2行目~1行目の部分については,
「こういうふうに書かないと,検察官の調べの人の受けがよくないから,こういうふうに書くと,罪が軽くなるから」
「このように書かないと罰が重くなる」
 と言った(被告人第5回6頁)
 
 このように言われた被告人は,調書が無効になれば,また次の日,ゼロから取調べを受けて,調書を作り直さないといけなくなり,それはとても大変であると思ったこと,及び警察官から腰を低くして強く懇願されたこともあり,最終的に,不本意ながら本件調書に署名指印した(被告人第6回5頁,20頁)

  しかし,翌2月14日,被告人は,調書の内容にどうしても納得が行かなったので,本件調書の訂正を,再度,担当警察官に頼んだ。
 しかし,同警察官は,「日が変わってしまったんで,それ(訂正)はできない」と拒否した。

 その後も,被告人は,訂正ができないのであれば,調書をあらたに作り直してほしいと頼んだが,警察官は,これも拒否した(被告人第6回8~9頁)

 同月15日,被告人に弁護人(堀川敦)が初めて就き,同月17日,弁護人が,接見で,被告人からこれまでの取調べ状況等を聞いたところ,2月13日に作成された本件調書が,被告人の供述を正しく反映しておらず,しかも,取調べ及び調書の作成方法に大きな問題があると感じられた。

 そこで,弁護人は,同月18日,担当検察官に対し,前記自白調書の問題を指摘した上,今後の取調べを録音録画するよう要請する申入書(弁36)を送付した。

 同月19日,被告人は,再度,担当警察官に対し,本件調書の訂正もしくは新たな調書の作り直しを求めたが,同警察官は「検事さんの許可がないと調書は訂正できない」と言って拒否し,新たな調書の作成にも応じなかった(乙18の1~2頁)

 そのため,被告人は,被疑事実に対する自らの認識及び主張を担当検察官に伝えるべく,同月21日付けで,上申書(乙17)を作成し, それを,弁護人が受領し,同月23日付けで,検察官宛てに送付した。

3 小括

 以上より,被告人の本件調書中の別紙「信用性を争う部分」として列挙した部分は,被告人の記憶及び意思に反する内容であって,警察官により勝手に作成されたものであるため,信用性が否定されるべきである。


<結論>
 

  以上のとおり,被告人は,本件公訴事実記載の恋愛感情充足目的及びストーカー行為の故意を有しておらず,また,公訴事実1ないし5の待ち伏せ行為もしていない。よって,ストーカー行為は成立せず,裁判所においてはすみやかに無罪の判決をすべきである。

以上

-裁判資料のアップを終えて-

「宇佐美がストーカーをやっていたのに決まっている」と確信してきた人たちは(宮村教の教祖と宮村教の信者たちは別にして)、弁護人の最終陳述を読まれて、「ひょっとしたら、宇佐美氏が証言する通り、ストーカー行為ではなく、K氏の脱会意思が本物だったかどうか、意思確認をするための行為だったのではないか」と、疑問が浮かんだと思う。

 実際、裁判を傍聴していて、K氏への反対尋問が始まったあたりから、法廷の雰囲気が微妙に変わったように感じた。それが公判が回を重ねるごとに、とりわけ宇佐美氏への主尋問が始まり、彼が公訴事実1~4での「自分とK氏との物理的な位置関係」を詳細に語り出したときから、「ひょっとして」という思いを抱いた人たちが確実に増えたように思われた。
  
 裁判官が有罪判決を書く場合、「合理的な疑いが生じる余地がない」ほどに、つまり弁護人の最終陳述を恣意的にでなく証拠に基づいて論破し、「ひょっとして」と思った人たちの疑問が解消するような判決文を書かれなければならない。

 事件の背景には、統一教会員に対して「拉致監禁を手段とする脱会方法」が行われており、拉致監禁された教会員は監禁から解放されるために脱会を装い、教団に「脱会届け」を出す場合が少なくない-ことがあげられる。
 宇佐美氏は、K氏の「偽装脱会」を疑い、K氏の意思確認をしようとしてきただけである、と一貫して主張してきた。
 宇佐美氏をストーカー犯と断定するには、K氏の脱会が偽装ではなく、真に脱会していたものと宇佐美氏が認識していた-ことを立証しなければならない。それなくしての有罪判決ならば、<ひょっとして偽装脱会を疑っていたからならのではないか>という合理的な疑いが残るのである。

 次回、宇佐美氏の意見陳述を紹介して、27日の判決を待つことにしたい。
 
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コメント

結婚観が変わったのでしょうか?

1~2か月前、ノボリーキさんだったと思いますが(間違えてたらスミマセン)

>宗教上の結婚は結婚じゃないのか

という主旨の投稿がありました。コメントしそびれてましたが、私の認識では、結婚なんだと思います。

今回の裁判記録でも、Kさんが「宗教上の結婚」だから、脱会と共に無効だと思っていらっしゃる論理が、そもそも意味不明に感じます。

そんなこと言ったら、白無垢で神前結婚する、あれを何と言ったらいいんでしょうか?
結末はともかく、沢尻エリカさんの明治神宮での姿、…あれって正式な結婚式なんじゃないですか?
その他、ウェディングドレスでの教会結婚式、そして統一教会での合同結婚式…、みんな結婚式なんじゃないですか?
日本では、戸籍制度の「入籍」が法律上の結婚だというのも事実ですが、日本の伝統的慣習では、何らかの宗教的な結婚儀式を区切りと感じているというのも現実ではないでしょうか。

おまけに、神前結婚をした夫婦で、神道(神社)に対する確信をなくした事が離婚理由になるなんて、聞いたことは無かったです。
なので、かつて「『我らの不快な…』で、子どももいるのに、脱会したから離婚は当然と主張した人々がいたことを知って、かなり驚きました。

もう一つ、不思議に思っているは、結婚観についてです。
統一教会の合同結婚は、お見合い結婚の形態に分類されるのではないかと考えますが、「お見合い結婚」って、そんなにいけないことですか?
Kさんは、お見合い結婚をして、<一生懸命好きになる努力をし続けた>そうですが、それって、いけないことだったんでしょうか?
一時期、それまでの封建的な家父長制の反動からか、恋愛結婚至上主義みたいな雰囲気がありましたが、最近は、「ゲゲゲの女房」などを見て、お見合い結婚もいいと考える風潮もあるみたいですね。

結局、「恋愛結婚」と「見合い結婚」、どちらがいいとかではなく、そのいずれかを自分が選んだ以上は、最後まで、自分として責任を持とうとする誠意が大切なのではないでしょうか?
お見合い結婚した相手から、結婚後に、「恋愛結婚主義に転向したから、全て無効」と豹変されたら、たまったものではありません。

『我ら…』によれば、脱会による結婚無効を訴えた方は、子どもを一人ずつ引き取っていらっしゃるようですが、子どもの体は一人ずつに分けたとしても、子どもたちが人間として寄って立つ根拠(父と母の愛によって生を受けた)を、父によって否定されたことを、成長した子供たちはどう受け止めるのでしょうか?
人生の途中で、過去の自分が間違っていたと感じたからといって、ゲームのようにデリートすることが、良いことなのでしょうか?間違った自分も、引きずりながら立て直すのが、人生なんじゃないですか?

裁判記録によれば、
Kさんは、1月1日に、宇佐美さんに、大丈夫だから心配しないで、と言って別れ、
その夜には、宮村氏の話が聞きたかったということになるのですが、
その証言を鵜呑みにすると、ほとんど精神鑑定ものです。
そこまで、自分を情けない存在にしてしまうために、脱会したのですか?
脱会するにしても、もっと、自分に誇りを持って生きてほしいです。

脱会者に守ってもらう「専門家(宮村氏)」は、医療事故を患者のせいにして、生き延びている医者みたいにしか見えません。

電池は本当に送れなかったのか?

③ 宮村氏は,本法廷において,被告人の携帯電話等を被告人の実家に送る際,携帯電話の電池については,郵便局で電池は送れないと言われたから外した旨証言した(K証言31頁)。

 しかし,仮に,当該証言が事実であり,また,K氏から被告人に借りていたものを返してと頼まれたことが事実であるならば,郵便局で外した電池も,別途,郵送するか,荷物全部をゆうパックではなく他の方法で送るか,もしくは,少なくとも電池が送れなかった旨伝票に記載して伝えるのが常識である。

 そしてむしろ,宮村氏が,前記いずれの方法も取っていないのは,もともと電池は抜かれていた,すなわち,K氏が帰省した直後,母親が携帯電話を預かった際に,電池を抜き,外部との連絡手段を断ったことが強く推認される。

斜体の文

宮村氏は電池は、ゆうパックで送れないといわれたから外したとある。

本当にそうだろうか?
ゆうパックで、荷物を送る際、宮崎のような遠隔地は空路になる。たしかに空路でリチウム電池を運送する場合、いろいろな制約があるようです。
がしかし、送れないわけではないです。

リチウムイオン電池又はリチウム金属電池若しくはこれらを組み込んだ電子機器を内容とする郵便物等の取扱いについて http://www.post.japanpost.jp/whats_new/2009/0406_01.html

こちらによれば、リチウムイオン電池又はリチウム電池の種類等を記載した「リチウム電池取扱ラベル」がちょう付されているゆうパックのみ航空機を使用して運送させていただきます。
とあります。
しかも、仮に「リチウム電池取扱ラベル」がちょう付されてなかったとしても、陸路で運送するだけのことです。

Kさんの真正脱会を宇佐美氏に信じさせ、"付きまとい"を防ぎたいのであれば、電池を抜いた携帯電話を送りつけるのではなく、電池とともに携帯電話を送るべきではないでしょうか?

こんな風に電池を抜いた携帯電話が送りつけられれば、弁護人が言うとおり、母親が携帯電話を預かった際に,電池を抜き,外部との連絡手段を断ったことが強く推認され、宇佐美氏はますます拉致監禁されたKさんが偽装脱会していることを疑うでしょう。

そんなふうに要らぬ疑いを持たせる必要がどこにあるのでしょうか?

考えられる事は一つです。

宮村氏は、電池が抜かれていたことを忘れ、うっかり携帯電話の送ってしまった。
携帯電話の電池が抜かれていることに気づき、ゆうパックでは電池は送れないといわれたというもっともらしい言い訳を思いついたってところではないでしょうか?

帰省時に宮村?

<K氏は,反対尋問において,宮村氏と初めて会ったのは,実家に帰省した当日である2008年1月1日であると述べ,脱会する前から関わりがあった事実を認めた>

宇佐美さんと別れ、実家に帰省したところ、なんと、そこに“支援者”の宮村氏がいた(来た)、と。

ビックリですね。

このことについての想定問答は用意していなかったみたいですね。ボロが出ちゃいましたね。

実家に帰った日に宮村氏と会ったとすれば、話は振り出しに戻ってしまいます。

これまで、本人が話し合いを希望→宮村氏が訪問→話し合いの末に本人が脱会、というストーリーで来ているわけだから、米本さんや猫の手さんのおっしゃるように、いきなり宮村氏が登場したとあっては、監禁を自供しているようなものです。

仮に「家族が来てくれというので来た」「たまたま近くに来ていた」などと弁解しても、これまで宮村氏は「本人の了解なしに話し合いを始めることはない」と言ってきたわけだから、宮村氏の話がウソだったことになります。

それにしても怖いのは、警察、検察。

<被告人は,再度,担当警察官に対し,本件調書の訂正もしくは新たな調書の作り直しを求めたが,同警察官は「検事さんの許可がないと調書は訂正できない」と言って拒否し,新たな調書の作成にも応じなかった>

ビックリですね。
この裁判は簡単には終わらないような気がしますが、徹底的に日本の警察、司法のウミを出すために、とことん闘いたいと改めて決意させられました。

信仰(信教)の自由、などと言ってもピンと来ない国ですから、新しい人権として「たとえ家族であっても子供に話し合いを強要できない権利」(仮称)を求めていきたいと思います。

法的不備?

みんなさんが、

>新しい人権として「たとえ家族であっても子供に話し合いを強要できない権利」(仮称)を求めていきたいと思います。

と、おっしゃっている事に賛成です。

特に、法律に詳しいわけではないですが、日本国憲法の「基本的人権」という理念が、単なる理念から現実に機能するために、日本でも今世紀に入ってから、「ヴァルネラブルな人々(社会的弱者)」を守るためにと、具体的な法律や規則が制定されてきました。例えば、

2000年 児童虐待防止法
2001年 DV防止法
2002年 ホームレス自立支援法
2005年高齢者虐待防止法
etc…
中身については、今後の課題も多く、まだ十分に機能しているともいえません(ストーカー規制法だって、乱用しようとすれば、宇佐美さんのような被害者が生まれます)。
しかし、これら各法の対象となる人々は、基本的人権を侵害されている事実から、法定化によって、<積極的に発見し救出すべき対象>として、社会に認識されるようになってきたし、発見した際の対処も改正を続けながら、少しずつ具体的になってきています。

一例として、2000年に児童虐待防止法が制定されましたが、現実には、他人がよその家族のことを通報することに対する抵抗感や、児童相談所の介入の規則上の限界など、多くの壁があり、実際には虐待死を未然に防げない事例が続いています。
そこで、2004年には改正があり、
児童相談所は、警察署長に援助要請ができることになり、
2007年にはさらに具体的に、児童相談所が児童の安全確認のための立ち入るのを拒否された場合の立ち入る強化が示されました。(裏を返せば児童虐待の分野でも、法廷化するまでは、必要性があっても、警察は介入してくれなかったという事でしょう)

これまで警察は、統一教会員の拉致監禁のみならず、多くの家庭内暴力に対して、民事不介入の原則マニュアルに忠実だったわけですが、児童虐待のように、具体的に法定化すれば、その事だけは、そのマニュアルに沿って対処するということです。
警察に、現実に起こっている「成人した子供に対する家族間暴力(その一つが統一教会員に対する拉致監禁)」についてのマニュアルがないことが一因ではないかと思います。

最初にお断りしたように、法律が専門ではないので、正確な表現が難しいのですが、<みんなさん>のおっしゃることに同感して、少し考えてみました。

その条文には、<家庭内弱者><思想信条を異にする親族>とか、<本人から不当な拘束の訴えがあった場合(本人の訴えが問題)>とかいう文言が入るべきでしょうし、
『通報の義務』として、<人が不当に拘束されているという訴えを知った場合、思想信条によらず、速やかに届け出なければならない>
という一文と、届出先との調整の文章があるべきではないかと思います。
このところ、「火の粉ブログ}や「後藤裁判ブログ}を読んでいて、途中で監禁の事実を知り得た人の中に、一人も「通報の必要性」を感じた人がいなかったことに、問題の深刻さを感じています。
ですが、それをマインドコントロールなどと揶揄せず、関係者の心理を汲んで、法的な整備による人権意識の喚起を期待します。

このような仕組みがあれば、拉致監禁された統一教会員は教会に逃げてきて隠れるのではなく、公的機関に保護されることが出来ます。

これは同時に、反統一教会の人が保護説得(?)する際の根拠の一つである「統一教会による信者の拘束(?)」等に対しても、有効に働くはずです。
親は、得体のしれない説得者にしがみ付かなくても、自分の子どもが教会によって不当に拘禁されているかどうか、通報し調べてもらえばいいのです。
統一教会も、生き残るためには、社会性の回復に必死になるので、結果的に個人経営の脱会屋さんが頑張る必要もなくなるのではないでしょうか。
拉致監禁に何らかの形で関わった人で、心に痛みを感じる人(解決を望む人)が、サイドを越えて、こういう枠組み作りに協力できる日が来ると良いなぁ、と思います。

素人考えですが…、もっと良い考えのある方、お聞かせ下さい。

興味深い論考

 みなさん、投稿ありがとうございます。

 猫の手さんの問いかけに対して横レスになってしまうことのお許しを。

 ストーカー犯が元同棲相手の母親と祖母を殺害した事件について、宇佐美氏の事件と比較した論考が「関西拉致監禁被害者の会」にアップされていました。興味深い内容です。
http://ratikan2010.blog134.fc2.com/blog-entry-203.html

 私もこの事件を報じる記事を読んで、宇佐美氏のことを考えました。論考者とは別の角度からです。

 元同棲相手は執拗なつきまといに、警察に相談に行っています。それに対して、警察は加害男性を呼び、説教しています。
 この警察の姿勢は、ストーカー規制法の趣旨(ストーカーのエスカレートを未然に防止する)に則ったものでした。

 残念ながら殺人事件に発展してしまったわけですが、事件の結果のことはともかく、宇佐美氏の場合でも、K氏やその両親が宇佐美氏に待ち伏せされていると思った段階で、早めに警察に相談すべきでした。

 もしそうしていれば、警察は宇佐美氏を説諭し、その結果、宇佐美氏は諦めたはずです。

 3回も待ち伏せされたと思った段階でも、そしてGPSを発見した段階でも、警察に相談することなく、そればかりか、サウナで初めて宇佐美氏と対面したとき、警官を呼んでおきながら、そのときにも被害届を出さず、そして、“待ち伏せ行為”がなくなって2か月もしてから、いきなり告訴する。
  
 何度も同じようなことを書いてきたと思いますが、まるで満を持して告訴したとしか考えられません。そう考えるほうが自然であり、社会通念に合っています。

 私には、統一教会叩きのために、宇佐美氏が嵌められたとしか考えられません。

Re・興味深い論考

本ブログテーマからは、もともと「猫の手」のほうが横レス気味かと思いますが…、ご容赦頂き、先ほどの投稿に妙案のある方、ご指導をお願いします。

さて、米本氏の、

>私には、統一教会叩きのために、宇佐美氏が嵌められたとしか考えられません。

に同調して、私の心の内にある、イヤ~な憶測を書きます。

サウナで、入場の際に、宇佐美さんがいることを確認しながら、Kさんが一人で宇佐美さんに会うような状況が生じたのは、本当に偶然なのでしょうか?

入場に際し、宇佐美さんは、宮村氏がKさんに耳打ちするのを見たそうですが、宮村氏は何を耳打ちしたと想像するべきでしょうか?

それ以前も、宇佐美さんは、Kさんが、ストーカーの証拠写真を撮るために出てきたという意図を知らず、偶然に会ったと考えていました。
サウナでも、宇佐美さんは偶然に入浴後のKさんに会ったと思っているわけですが、真実はどうなんでしょう?

普通の支援者なら、Kさんに、
「ここでは絶対一人で行動するな」
と耳打ちするところでしょうが…。
そう言われても、Kさんは、不注意にも、一人、一足先に出てきて宇佐美さんに会ったんでしょうか?

もしかすると、Kさんが写真を撮った頃から、「宇佐美をストーカーにする}という計画でもあって、サウナで見かけた時、意図的に、一足先に出て、二人の場面を演出したんじゃないですか?
そのための耳打ちだったんじゃないですか?
その計画を理解したがために、Kさんは不必要なまでに、最初から緊張していた(頭の中では、宇佐美さん=ストーカーで、いっぱい)だったんじゃないでしょうか?
あくまでも、イヤ~な憶測ですが…。

人の道理

Kさんはどう考えても人の道理に反していると思います。本当に統一教会が間違っているということが分かったのならば、支援者を伴ってでも婚約者である宇佐美さんに会ってそのことをきちんと伝えるべきであると思います。
それが一度婚約した者としての誠意だと思います。
いきなりストーカーとして訴えるのはあまりにもひどいと思います。

監禁容認弁護士の罪

<被告人は,K氏と対面し「もう終わりにする」と言い,実際にその後,K氏の周辺に現れていないにもかかわらず,被告人を告訴したことは,常軌を逸しており,告訴権の濫用というべきである>

告訴することの勝算を、宮村氏のお仲間である山口、紀藤、渡辺弁護士らが吹き込んだんでしょう。

ふと、思ったのですが。
TSUTAYAが盗品であることを知りつつ、それを買い取っていた、として営業停止になりましたよね。
犯罪行為に加担しているようなものなので、当たり前といえば当たり前の話です。

山口、紀藤、渡辺弁護士は、拉致監禁が行われていること、しかも、それが憲法の保障する基本的人権を侵害する犯罪行為であることも知っている。しかし、それを認めず、むしろ、その行為に間接的に加担し協力しています。

これって、営業停止(弁護士業)にはならないのでしょうか。

ああ、そうかあ。
警察が拉致監禁を犯罪と認めていないから、ダメなのかあ。……残念。

「新潟県で十年近く女の子を監禁していた事件がありました。仮に周りは薄々知っていても、家の中は『私』だから口を出せないのです。アメリカならばドメスティック・バイオレンスや児童虐待に対して、どんどん警察や行政が個人の家庭に入っていけるのに、日本の場合はそうできません」(養老孟司著『超バカの壁』より)

拉致監禁に対して犯罪という認識すら持たないこの国で、拉致監禁を辞めさせることは簡単ではありませんね。

やっぱり欧米諸国に頼むしかないないのかもしれませんね。ああ、情けない。

判決まで1週間

本年も、もう終わりに近づいていますね。
私もばたばたしていますが、宇佐見さんが、一つでも心の荷物を下ろして、少しでも良い年始を迎えられるような状況になっていればいいのですが。

判決まで、あと1週間。
不正義は通らないと信じたいと思います。

それにしても、公安はいざ知らず、検察は、何故、起訴したのか?首をかしげるばかりです。
手柄を焦ったのでしょうか?
嫌われ者の統一教会の信者で、しかも、報道で大々的報じられ、目がくらんだとしか思えません。

宇佐見さんは、拉致監禁首謀者達の欲望と、人の功名心に犠牲になった人のような気がします。

歪んだ警察

<宮村氏は,本法廷において,サウナで松岡刑事宛に電話をしたとき,松岡は出ているので,何かあったら110番して,と松岡以外の警察官に言われた旨証言した>

警察が拉致監禁派の肩を持つことについて、ずっと疑問に思ってきました。
ふと、ある考えに至りました。

宮村氏は事ある毎に警察に電話をしたり、信者の親、元信者らに電話をかけさせたりしている。

「親子の話し合いだから」と言うと、警察は引き下がった。思いの外、警察に「統一協会=反社会的=親が困っている→話し合い」の論理が通用した。
また、ちょっとごたごたした時は、拉致監禁容認弁護士にお出まし頂き、説明してもらうと、警察は引き下がった。

こんな既成事実が積み重なって、いつしか、警察は拉致監禁派の言いなりになったのではないだろうか。

宇佐美さんの件でも、“支援者”の宮村氏がすぐに松岡刑事に連絡を取っている。

警察が統一協会をつぶそうとしている、という側面もあるにはあるだろうが、それ以上に、これまでの既成事実があるので、いくら人権上問題があると思えても、警察は見て見ぬ振りをするしか(拉致監禁派の肩を持つしか)できなくなったのではないでしょうか。

この悪の癒着関係(言いなり関係)を断ち切れないで、ズルズル来てしまって、今回のような「即逮捕、ワイドショー報道」というおかしなところまでエスカレートしたのではないか。そう思います。

この裁判はこうした歪んだ警察を正す意味でも試金石となると思います。

構造の絵解き(1)

鸞鳳さん
>それにしても、公安はいざ知らず、検察は、何故、起訴したのか?首をかしげるばかりです。

 これまでの説明がちょっと舌足らずだったかもしれません。
 取調べ検事も公判検事も公安担当です。

 一般論ですが、警察の取調べ段階(拘留期間中)で、警察は常に検察と協議しています。
 本来、警察と検察は対等なのですが、この協議の過程で、検察は警察に指示に与えます。
 たとえば、起訴にもっていくから、もう少し証拠固めをしろとか。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212934197

 警視庁公安部と公安担当検事の場合、もっと緊密に連携が取られているのではないかと推測されます。

 注目したいのは、<乙第3号証の信用性について>の「2・本件調書の作成経緯」の記述です。

 3日間で合計18時間もの取調べがあったことです。
 たかだかの「待ち伏せ行為」(最高刑懲役6月)の取調べにもかかわらず。しかも、手練手管を使って執拗に署名・捺印させようとする。

 検察の指示だったかどうかはわかりませんが、少なくともこうした取調べの模様は逐一、検察には報告されています。つまり検察も「問題ある取調べ」を是認していたということです。

 統一教会員である宇佐美氏を何としてでも、ストーカー犯に仕立て上げる。公安(警察&検察)の意思を強く感じます。
 
 ちなみに、渋谷の新世事件(特定商取引法違反)でも、なぜか生活安全部や組織犯罪対策部ではなく、警視庁公安部が摘発にあたりました。なぜ日本の治安を守る公安部が出てくるのか、元外交分析官の佐藤優さんが反対するのは当然のことでしょう。

 なお、警視庁の組織図は以下を参照してください。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sikumi/gaiyo/sosikizu.htm

構造の絵解き(2)

 みんなさんと同じように、私も松岡刑事に着目しています。

 みんなさんの推測によれば、宮村氏は以前から拉致監禁絡みで、荻窪警察署の刑事と懇意にしていたと解釈できます。

 そうしたことはあったのかもしれませんが、それだったら、生活安全課や捜査1課の刑事でなければならないはず。
 しかし、松岡刑事はストーカーを一度も手がけていない公安刑事なのです。これが重要なポイントです。

 サウナで待ち伏せされたという11月28日の事件で、K氏らは警察に通報した。そのときに、宮村氏は松岡公安刑事を指名しています。
 この段階で、宮村氏は公安刑事と知り合いだったわけです。

 想像してもらえばわかりますが、商売をやっている一般の人が刑事と、たとえば飲食店をやっている人なら暴力団を取り締まる捜査4課の刑事と顔見知りになることはありますが、過激派とか朝鮮総連を監視する公安刑事と知り合いになることは、よほどのことがない限りありえないことです。

 しかし、宮村氏はなぜか松岡公安刑事と知り合いだったわけです。

 では、いつ頃から知り合いだったのかという謎が生まれます。

構造の絵解き(3)

 宮村氏はいつ頃から松岡公安刑事と知り合いになったのか。

 一番自然に解釈できるのは、“サウナ待ち伏せ事件”が起きる1ヶ月以上前の10月13日、宇佐美氏がK氏の父親の車にGPSを設置していたことが発覚したときでしょう。

 以前にも書いた仄聞情報ですが、発覚後すぐに、宮村氏は山口広弁護士に相談しています。山口氏はこう答えたといいます。
「GPSの無断設置そのものは違法行為ではない。だから、訴えるとしたら、K氏らが恐怖心、不安に感じたということで、精神慰謝料を求める民事訴訟かなあ。まあ訴額は100万円ぐらい・・」

 この回答は弁護士としては良識あるものです。

 山口弁護士が宇佐美氏の行為をそれほど問題にしていなかったのは、K氏の証言でも明らかです。

 公訴事実3のときだったと記憶するけど、K氏は献金等返還請求のことで相談していた山口弁護士に
「さっき、宇佐美氏を見た。不安に感じた」
 といった趣旨のことを持ちかけました。
 ところが、K氏によれば山口氏は「気のせいじゃないの」と取り合わなかったそうです。

 ちなみに、ここで山口弁護士がK氏の訴えに耳を貸し、宇佐美氏に警告書を送っていれば、今回の告訴事件は起きていなかったわけです。返す返すも残念です。


 山口弁護士の慰謝料請求ぐらいという回答に、宮村氏が納得したとは思えません。納得しない宮村氏に山口氏は、警察に一応届け出を出しておいたほうがいいぐらいのことはアドバイスしたと思います。

 これはあながち突飛な推理とは言えないでしょう。
 なぜなら、自分の車にGPSがつけられていた場合、弁護士のアドバイスがあろうがなかろうが、地元の警察に届け出を出すのは当然の行為だからです。私だってそうする。
 むしろ、そうしないことのほうが不自然です。

構造の絵解き(4)

 荻窪警察署に行った人ならわかりますが、玄関を入ると受付があり、職員に用件を話し、担当部署に取り次いでもらうようになっています。
 どこの警察署も同じようなものでしょうが。

 K氏の父親(当然宮村氏も同行したでしょう)が受付で、GPSのことを話す。取り次いだ部署はストーカー規制法を所管する生活安全課。

 受付職員が統一教会絡みと聞いて、すぐに警備課(公安)に取り次ぐとは考えられません。

 生活安全課の刑事は、統一教会が絡んだ事件と聞き、念のため、警備課の松岡刑事にも同席してもらった。

 話を戻せば、サウナでの出来事があったとき、宮村氏が松岡公安刑事を指名したのは、このときに懇意になったからであろう。


 松岡刑事は、警視庁公安部に連絡した。そこで、色めき立ったのは、新世事件でキャップだった高山刑事である。http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-248.html#moreを参照。

 GPSを分析した高山公安刑事は、宮村氏らに告訴するように指示した。

 そして、K氏(実質宮村氏)から依頼を受けた山口弁護士は告訴状を提出。(おそらく、告訴状を書くにあたっては、警視庁公安と山口氏との間で何度かやりとりはあったと思うが、主役は山口氏ではなく警視庁公安だったと思われる。この点、「ストーカー事件の真相(3)は修正されなければならないと考える)

 その結果、今年の2月7日、高山刑事ら約10人の刑事が多数の報道陣を呼んで、宇佐美氏宅をノックした。

 前に、宇佐美氏は嵌められたと書いたが、宮村氏によってではなく、公安に嵌められたと思われるのである。

  -完了-

RE: 構造の絵解き(4)

米本さんの解説を読んですっきりしたことがあります。

(世界日報記事、「ストーカー」裁判の記録(11))

>前回、取材班記者と宮村氏との間で起きたトラブルについて記したが、羽交い締めした際に、宮村氏は記者の肩口から、唐突に「宇佐美は有罪になるだろう」と告げた。いかにも自慢げなもの言いだった。

なるほど、裁判が宮村主導よりも、さらに進んで公安主導だとしたら。捜査も起訴も公安が主導していたとしたら、宮村氏の自慢げなもの言いの理由が説明できます。警察(公安)のお墨付きの裁判ですから。

宮村氏と有田氏の「いけいけ」の言動の理由が透けて見えてくるようです。

この裁判での判決を無罪にするためには、裁判官にもかなりの覚悟が必要かも知れません。
しかし、長期的な視点で見れば、この裁判を公正に裁いておかなければ、日本の司法の在り方に必ず大きな汚点を残すはずだと思っています。
  • [2011/12/22 14:11]
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構造の絵解き(補足)

マンゴープリンさん
>なるほど、裁判が宮村主導よりも、さらに進んで公安主導だとしたら。捜査も起訴も公安が主導していたとしたら、宮村氏の自慢げなもの言いの理由が説明できます。警察(公安)のお墨付きの裁判ですから。

>宮村氏と有田氏の「いけいけ」の言動の理由が透けて見えてくるようです。

 これに触発されて、「構造の絵解き」を補足しておきます。実は、もう少しあとで書きたいと思っていたことでしたが。

 ものすごく違和感を覚え、また疑問に思ったことがありました。

 それは、有田氏がツィッターで、警察が宇佐美氏の家宅捜索で押収した品々の中に、私の名刺があったことをつぶやいていたことでした。

 私は、宇佐美氏に最初の相談を受けたときに(2008年11月ぐらいのこと)、当たり前のことですが、名刺を渡しています。だから、彼の自宅に名刺があったことは不思議でもなんでもないことです。
(これを仰天情報として書くのだから、すばらしき国会議員さん!)

 ところで、私たちは警察が何を押収したか知ることはできません。おそらく、宇佐美氏が逮捕されたときに代理人となった弁護人も、彼が提訴されるまで見ることはできなかったと思います。

 それなのに、どうしていち早く有田氏が知ったのか。これに違和感を覚えました。もっとも、有田氏のつぶやきファンは「素敵、地獄耳」と喜んだかもしれないけど。

 そのあと、いろいろ仄聞情報が入ってくるにつれ、だんだんと納得できるようになりましたとさ。

 宮村氏は周囲にこう語っていたそうです。

「事件の結末は(つまり公安のシナリオ)、略式起訴で罰金50万円だったのに、米本が宇佐美にいろいろ吹き込んだために、彼は嫌疑内容を全面的に否認するようになった。それで拘留期間が伸びた(あるいは正式起訴となり、裁判に持ち込まれた)。宇佐美はバカだよ」

 ディテールは違っても、こんな内容だったそうです。

 つまり、宮村氏は松岡公安刑事か、もしくは直接担当検事かは知らねど、公安さんからツーカーで情報をもらっていたわけです。

 どうでもいいことなのですが、横道に。

 宇佐美氏が逮捕されてから、彼に会ったのはブログでも書いた通り、一回だけ。 面会制限時間20分間で、なぜ逮捕されたのか、嫌疑内容とその実際とを聞くだけで手一杯。とても「否認しろ」なんて口を挟む余裕などなし。だいたい、拘置所の警官がいるそばで、犯罪を否認しろなんて言えるはずもない。

 だから、宮村氏の脳には突飛な推測ないしは妄想が入り込んだと思いましたとさ。

 妄想ついでに言えば、ガサ入れ押収品に私の名刺があったことで、有田氏は一挙に妄想を膨らませ、宇佐美氏を指導したのは私だといった趣旨のことを書いていました。

 話を戻せば、宮村氏は捜査当局から情報をもらい、それを有田氏に横流し。知ったかコメンテーターの癖を修正できない有田氏は、書きたくてしようがないから、つい書いてしまった。ということなのでしょう。

 宮村氏と有田氏に罪は発生しないけど、押収品の内容を宮村氏に漏らした刑事は情報漏洩の罪に問われます。
 こんなことぐらいわからなければならないのに、まったくノーテンキな「知ったかコメンテーター」気分が脱けない議員さんなのです。

 まあ判決が楽しみ。無罪となれば、宇佐美氏次第だけど、けっこう大事になるかも。もっとも腑抜けの(横・無責任の義理も人情もない)教団だから、たいしたことにならないかもですね。
 サイトで「勝った」「勝った」で終わり-の可能性強しです。




国家百年の計

米本さん、解説ありがとうございました。

検事も公安担当ですか。

検察庁、警視庁という管轄は違っても、その垣根を跳び越えて、公安という独自の組織があるように感じます。

起訴ありきの逮捕、有罪ありきの裁判という事になれば、そこにはチェックシステムが働きません。

それが進めば、警察国家になり、誰が有罪・無罪を定めるのか?誰が罪科を定めるのか?が曖昧になります。
少なくとも法律ではなくなるでしょう。

危険な国家への道標、いつか来た道を繰り返す、そんな悪寒がよぎります。

統一教会・反統一教会の争いのレベルではなく、真に国家百年の計のために、この裁判の決着が正当な法判断で行われることを望みます。

Re構造の絵解き(補足)

>宮村氏は周囲にこう語っていたそうです。
「事件の結末は(つまり公安のシナリオ)、略式起訴で罰金50万円だったのに、…」

と、ありますが、では公安が宇佐美さんを、略式起訴程度であれ、有罪に持ち込みたかった理由は何だったのでしょうか?

統一教会員にストーカの罪をきせることに、誰(又は何の組織)にどんなメリットがあったのでしょうか?
単なる公安自身の実績作りですか、それともみんなさんのおっっしゃるように懇意にする何かに加担したのでしょうか?

米本さんがおっしゃるように、公安はリードしたつもりだったでしょうが、数ある教会員の中から、献身者でもない宇佐美さんをターゲットにした時点で、何か公安が決定的な勘違いをしているような気がして事件当初から頭の中に??が舞ってしまいます。
公安にまともな捜査能力があるとしたら、おそらく宇佐美さんではなかったはずです。
彼は、教会的な表現で言えば、アベルの指示なく、独りでKさんを探すような生活をしていたわけで、少し彼の周りを調べれば、わかっただろうと思います。
公安は、リードしていたつもりでしょうが、実際は、米本さんがよく言う「自分の足で稼がないネタ(ガセネタ)」に乗ってミスリードしたとしか思えません。もし、そうでなければ、日本の警察には調査能力が決定的に欠如しています。

問題は、ミスリードする状況が生じるほどの信頼関係がネタ元との間にあったことではないのでしょうか?



Re: Re構造の絵解き(補足)

 警視庁公安部-といっても組織全体ではなく一部の公安刑事さん-の狙いは、マスコミに報道されることだったと思います。

 公安に限らず刑事さん一般は、自分がワッパをかけた事件が報道されることを夢見ます。刑事さんだって人の子です。

 そもそもの話。ワッパを一度もかけることなく、定年退職を迎える警察官のほうが多い、ましてや、自分が手がけた事件が報道されるなんて体験を味わった警察官はごくわずか。

 彼ら公安刑事は、宇佐美さん逮捕事件が報道されたことで、満足したと思います。

「ストーカー事件の真相(1)」の冒頭に引用した記事を再度、読んでください。
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-246.html#more

 怪しげな宗教団体の信者を逮捕した、それが報道された-これで、彼らは大満足。
 北朝鮮のスパイを逮捕したのならともかく、公安刑事としてチト寂しいのですが、オウム事件でも見られた通り、警視庁公安の捜査能力ばかりか質そのものが劣化しているのです。

 『警視庁情報官』など、公安を担当した刑事が暴露本を書いている。そうしたことを食い止めることができないでいるほど、危機管理も劣化している。

 では、なぜ有罪に持ち込みたかったのか。
 もし逮捕したにもかかわらず、無実の罪ということになれば大失態。出世の目は完全につぶれます。

 それゆえ、彼らにとって「略式起訴で有罪」が最高の美学だったのです。
 略式起訴なら、裁判で無罪判決が下ることもない。完璧だったわけです。
 そのためには、宇佐美さんが罪を認め、「申し訳ないことしてしまった」という供述を引き出すことが必要だった。

 ところが、ヘマな誘導&教唆尋問をした結果、宇佐美さんは否認に転じた。
 これは18時間にわたって取り調べを行った公安刑事にとって誤算だったと思います。その結果、起訴するかどうか、強硬派&理性派の間で意見が割れたのです。

 私が公安だったら、嫌疑十分だが行為の程度はひどくない、しかも前科前歴もないという理屈をつけて、「起訴猶予処分」で終わりにしたでしょう。

 そうしておけば「逮捕記事」はそのまま生きるわけですから。宇佐美氏も沈黙するだろうし、私がブログを更新することもなかったでしょう。

 まあこんなわけで、正式起訴するしかなくなり、裁判に持ち込むことになってしまった。もし無罪判決が出れば、当初の狙いは泡と消え、担当刑事の出世の芽も摘まれる。

 私が無罪判決を祈っているように、彼らは有罪判決を祈っている。
 最近、逮捕→起訴→無罪判決が目立つようになっているから、荻窪警察署の松岡さん、警視庁の高山さんにとって、27日は気が気でない気分だと拝察しております。

ひょうし抜け

いやはや、なんとも、ひょうし抜けというかなんというか。

テレビドラマで見ている公安のイメージが崩れ去りました(笑)。

逮捕、起訴にいたった現実なんてこんなものなんですね。
確かに、普通は正義よりも名誉、出世、金銭欲のほうが上回りますしね。
もちろん、公安組織全体としての今回の事件に対する関心度も気にはなりますが。

それにしても、米本さんの情報力と人脈にはほとほと感心します。面白いコメントを出せばもっと出てきそうなのでつついてみたいです。
  • [2011/12/23 22:11]
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  • マンゴープリン
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なるほど~

>彼ら(公安)にとって「略式起訴で有罪」が最高の美学だったのです。

と言う米本さんの説明 が、良くわかりました。
となると、統一教会を潰すとかいう大変な計画というよりも、単に「統一教会員」という「スティグマ」を利用した逮捕劇だった可能性があるということですね。

「踏んだり蹴ったり」と言いますが、宮村氏に踏まれてる宇佐美さんを、公安が蹴りに来たのか、と思うと、やるせないですねぇ。

一言コメント

マンゴープリンさん
>それにしても、米本さんの情報力と人脈にはほとほと感心します。面白いコメントを出せばもっと出てきそうなのでつついてみたいです。

 うまいこと言っちゃって(苦笑
 何も出てきませんよ。優秀な記者、編集者の情報力・人脈はすごいですよ。私など足元にも及ばない。これは謙遜ではなくホントの話。

猫の手さん
>統一教会を潰すとかいう大変な計画というよりも、単に「統一教会員」という「スティグマ」を利用した逮捕劇だった可能性があるということですね。

 そうだと思いますよ。

 最初は、正直、統一教会潰しかと思いました。
 新聞記事に「公安部は、宇佐美容疑者以外の複数の信者も女性につきまとった可能性があるとみて、組織的関与の有無を慎重に調べている」 とありましたから。

 それで、宇佐美さんに面会に行ったとき、「組織的関与のことは聞かれたのか」と質問しました。ところが、そんな尋問はほとんどいっていいほどないということでした。

 じゃあ、「組織的関与の有無を慎重に調べている」という公安の発表はなんなのさ-ということになります。

 いかにも、俺たち公安は奥の深い事件を調べているんだぜというアピールと、統一教会が組織的に関与していた可能性があることをイメージとして国民に植えつけること、それを狙った記者発表だったということでしょう。

 宇佐美さんについて言えば、宮村氏に踏まれ・公安に蹴られる。猫の手さんがおっしゃる通りだと思いますよ。

国家目先の計

それゆえ、彼らにとって「略式起訴で有罪」が最高の美学だったのです。


公安関係者の組織的な意志の元での出来事ではなく、個人的な功名心・名誉欲・出世欲で起こっている出来事としたら、

何とも、公安の劣化も甚だしいと感じます。

公安とは、主に国家の治安・体制を脅かす事案、若しくはそういった事態につながる可能性がある事案に対応するための組織であり、監視対象など取り扱う団体、事件は、国家の安全を脅かす可能性があるもの、というのが表看板じゃないでしょうか?

統一教会を締め付けるとか、反統一教会の先鋒となって、統一教会潰しの一翼を担っている、拉致監禁首謀者達の援護を行い、統一教会からの拉致監禁に対する圧力を減じさせる目的とかで、強引に逮捕・起訴したのではなく(これはこれで問題ですが)、

個人的功名心であるとしたら、別のいろんな意味で、この国の将来が心配です。

宇佐見さんのこの事件は、事情が判れば判るほど、逮捕・起訴という流れは、どう考えても冷静で公正な法判断の元に行われたものとは思えないものであり、そこに別種の意図がなければ、通常考えられないように感じますが、

それが、個人レベルの功名心レベルだったら、欲まみれで判断を狂わしたということになるのですが、これが公安、国の安全に関わる取締機関で起こっているということになり、日本大丈夫か?という気になります。

前のコメントで「国家百年の計」などと大仰なタイトルをつけましたが、

一罰百戒の意味で、「国家目先の計」で公正な法判断の元に、判決が出る事を望みます。

平田容疑者と公安

平田容疑者が自首しましたが、公安は何をやってるんでしょうね。

早く解決しなければならない案件が沢山あるはずなのに。

宇佐美さんは本当に気の毒です。

ちなみに後藤さんのHPから宇佐美さん控訴のカンパをしました。

あるブログから

http://www.wdcindc.org/?p=21 から転載
警察も最初は悪質な悪戯かと思ったというんだから
人間っていうのは、自分に直接関係のないことだとすっかり記憶から
なくなっちまうもんなんだねい!
被害者になった人はずーーーっと背負って生きていくってのにね。
昔よく有田芳生さんがテレビでオウムのこと語っていたもんだけど
又オウム問題に詳しい人ってことで出演していたよ。
有田芳生さんに限らず、したり顔で語る人たちには気分よくないね。

・Yahoo!辞書 大辞泉 (国語辞書) したり‐がお【したり顔】 [名・形動]うまくやったという顔つき。得意そうなさま。得意顔。「―で話す」

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