「強制脱会者の心理」私論 

一筆一論(11)

 強制脱会者はなぜ婚約者に会おうとしないのか?


 前々回のブログ「K君は脱会したそうです」で、私は通知書を送ってくれたNK君に次のような一文を書いた。

婚約破棄を取り消すべきだなどとは思っていません。ただ、菅野さんの精神的負荷を軽くしてあげるために、彼女に婚約破棄に至った心境を、代理人を立てた文章ではなく、直接、説明すべきだと思います。それが「人の倫(みち)」というものではないでしょうか。

 ブログの投稿欄には、同じような意見が寄せられ、その中にはNK君の誠実さを疑うようなことも書かれていた。それはその通りなのだが、NK君の心理や行動をより理解するには、強制脱会者の心理について説明しておいたほうがいいと思う。

私自身、強制説得を受けたことがないため、あくまで取材をもとにした私論です。意見をお寄せいただければ幸いです。より認識が深まりますので。

自然退会と強制脱会

 既成教団や新教団を問わず、信者が組織から離れる場合、圧倒的多くが「自然に足が遠のく」という形を取る。わざわざ「脱会届け」とか「退会届け」とかを提出してやめていく人はきわめて少ない。退会するときには「波風立たないようにしたい」「トラブりたくない」という心理が働くからだ。

 メガ教団・創価学会の場合もそうである。教団本部のある職員によれば、
「退会を届け出るような仕組みはありません。退会したことが確実にわかるのは、御本尊(南無妙法蓮華経と書かれた紙札)を返してきた場合で、そのときにはマイナスカウントにするけど、ほとんどありませんよ。まあ、やめた人は本尊をゴミとして出すか、押し入れの奥に放り込んでおくとか(苦笑)」

 創価学会の資料によれば、学会世帯数は約800万世帯。実際に活動している信者数は300万人以下と推定されるが、退会の届けがなされないから、入信者が増えるたびに、総信者数は膨らんでいく。それは、統一教会も同じで、総信者数は56万人だが、実際に活動しているのは6万人程度だろう。

 繰り返しになるが、組織を離れる人は自然にやめていく。自主脱会なんて用語すら浮かばないくらいに。
 そうした人たちは退会してからも(あるいは退会状態=創価学会では「寝ている人」と表現し、選挙になると起こしにかかる=になってからも)、ウマの合う仲間とは信仰を抜きにして個人的に付き合う。そう多くはないだろうが珍しいことではない(例外は「エホバの証人」)。もっとも、その仲間が熱心な活動家であれば、自然と交流はなくなっていくが・・。
 ただし、組織をやめる場合には何らかの理由があるわけで、それが組織への憎悪をともなうものであれば、元の仲間と付き合うことはないだろうし、それどころか恨み骨髄となって組織批判を行なうようになっていく。

 それはともかく、こうした傾向の中で、きわめて特異なのは統一教会の強制脱会者たちである。
 彼らは「脱会届」を出してから、昔の仲間はもとより婚約者にさえ会うことはしない。それはなぜなのか。


恐怖の刷り込み

 彼らはある日突然、家族たちによって拉致監禁され、監禁下で強制説得家(“救出カウンセラー”)から脱会説得を受ける。この仕組みについてはさんざん書いてきたので省略するが、問題は<どんな脱会説得を受け、それによって脱会者はどんな心理状態になるのか>ということである。

 カープ(原理研究会)の元職員で、拉致監禁から脱出したKHさんが脱出後の心理体験を語ってくれたことがある。ちなみに、このときの強制説得家は新津福音キリスト教会の松永牧師だった。

「教会に戻ってきたのですが、教会や教会員たちが怖くなるときがあるのですよ。それは、牧師から統一教会のオドロオドロしい話をさんざんに聞かされたからです。実際の統一教会は、そんなところではないし、オドロオドロしい場面に遭遇したり、体験したこともないのに、ですよ」
「ところが、繰り返し繰り返し語られた牧師の言葉が、頭のどこかに刷り込まれている。それで<この人たちはぼくが知らないところで、謀略めいたことをやっているのではないか。空恐ろしいことをしているのではないか>といった不安感とか猜疑心が生まれるのですよ(不安感が心に侵入 する。理性で食い止めることはできない)。それを払拭するのにはかなりの時間がかかりました」

 この証言からわかる通り、強制脱会を受けた人は自分が体験したこともないような「オドロオドロしいこと」を刷り込まれる。むろん、脱会説得家によってトークは異なるが。
 オドロオドロしいこと?
 たとえば、「全国原理運動被害者の父母の会」の冊子には、「統一協会の施設の土地には殺された信者の複数の死体が埋められている」と書かれている。さすがに最近の強制説得の場面では、そんなことは話されないだろうが。

 現実的なトークとして考えられるのは、判決文の一覧表(ただし刑事ではなく民事事件)を見せながら、「統一教会は犯罪者集団だ。やがて、おまえも知らず知らずのうちに、犯罪者の一員にさせられるぞ」といったところか。

 実際、新年早々に拉致監禁にあったM子さんは、脱会説得を行なった宮村峻氏から「統一教会は犯罪者集団だ」と繰り返し言われている。
 何ともオドロオドロしい話である。 

 NK君の通知書にこんなくだりがあった。
そして、同年12月26日には、通知人が独りで自動車を運転して帰宅したところ、統一教会信者である○○▽▽氏、◇◇△△氏に通知人の居所の駐車場の脇で 待ち伏せをされたため、やむを得ず立ち話に応じましたが、その際にも、改めて脱会した旨事実を両名に伝えております。なお、○○・◇◇両名がなぜ通知人の 居所をつきとめたのか、尾行等違法行為の事実が推認されます。

 私はこの2人に事実を確認していないが、2人から話を聞いた教会員によれば、「NK君はもともと草食系。優しくて誠実でおとなしい。その彼がこれまで見たこともないような強張った顔で、<ぼくは統一教会を脱会したんだ>と叫ぶように話したということです」

 NK君が自然退会なら、仲のよかった2人と出会えば、「やあ、久しぶり。実は、おれ、統一教会をやめたんだ。それにしても、どうしてこの場所がわかったの」といった程度の会話になっていただろう。

 おそらく、「統一教会は実力で奪い返しにくる」と吹き込まれ、それで怖くなったのではないか。NK君の目には、2人が「かつての仲間」ではなく「邪悪で、何をするかわからない恐ろしい2人組」に映ったのだと思う。

 拉致監禁された教会員を実力で奪い返そうとした事件は、確かにあった。京都で起きた91年のT事件である。『我らの不快な隣人』の383頁を読んでもらいたい。この事件は刑事事件(傷害事件)となって、奪い返そうしたT氏は執行猶予つきの懲役刑に処せられた。この事件も一因となって、拉致監禁問題に対する組織の取り組みは急速に萎えた。

 NK君がこうした歴史的経緯があったことを知らなくても、孝成教会の一員として「拉致監禁された仲間を実力で奪い返す」ような話は聞いたことがなかったはず。実際、孝成教会には30人近くの拉致監禁体験者がいるが、慶一君のように、いずれも自分の意思で教会に戻ってきた人たちばかりである。

 これに関して、もう一つだけ書いておく。
 NK君から、私や「拉致監禁をなくす会」(以下、なくす会)は記事の削除要求の通知書をもらった。それはいいのだが、首を傾げてしまったのは、彼への返信でも書いたように、わざわざ弁護士を雇って代理人をつけたことである。私はともかく、「なくす会」の会員には彼の先輩にあたる、仲の良かった孝成教会の拉致監禁体験者もいる。何も弁護士をつけなくたって、いいはずだ。

 なぜなのか考えたのだが、NK君は昔の仲間が怖くなったのではないかということだ。
 宮村氏は前出のM子さんと同様に、彼にも「統一教会は犯罪者集団だ」と教え込んだはずだ。彼が脱会の意思を示したということは、そのオドロオドロしい言説を受け入れた可能性が高い。そうであれば、昔の先輩や仲間は犯罪者の一員ということになる。
 たとえ、要求は記事の削除といったささやかなものであっても、「犯罪者の一員」と直接、やりとりをしたくない。それで弁護士を雇ったのではないか。


知らず知らずうちに心理操作される

 話を先に進める。
 オドロオドロしい刷り込みに半ば成功すると、「マインドコントロール論」が登場する。どんなトークか。
「おまえは、自分の頭で考え、自分で選択して、組織の中で行動してきたと思っているだろうが、知らず知らずのうちに教団の影響を受け、ロボット化されてしまったのだ」

 これは私の創作ではなく、実際、脱会屋の宮村峻氏は信者家族の勉強会でこう語っている。(宮村氏については「宮村峻の研究」が参考になる)
「(子どもは)自分の意思ではなく、巧みな洗脳の手段によってロボット化されて入信し、上の人が言うままに動く生き方に変えられている」

 確かに、日本・統一教会の場合、「カイン(一般教会員)の立場の人はアベル(上司)を通して神様につながろうとしなければならない」「カインはアベルに従順屈伏しなければならない」という間違ったアベル・カイン観というか、世界統一教会とは異なる解釈のもとに組織運営がなされているため、信者は脱会説得者に反論することはできない。宮村氏が言うように「上の人が言うままに動いている」という傾向があるから、沈黙する以外にない。
 その結果、<そうかもしれないな>と、マインドコントロール論が刷り込まれてしまう。

 青年信者は教団本部の太田朝久氏が書いた『踏みにじられた信教の自由』さえ読んでいないのだから、西田公昭氏の『マインド・コントロールとは何か』はおろか、その種本であるチャルディーニの『影響力の武器』など目にしたことさえないはず。反論などできようはずがない。

 そもそも、マインドコントロールとは西田氏の著書を注意深く読めば「他者に影響を与えること」と同義であることがわかる。逆に言えばマインドコントロールされるとは「他者から影響を受けること」だ。
 他者に影響を与えたり・他者から影響を受けたりするのは、日常茶飯事のこと。
 それゆえ、今から10数年前、オウムのサリン事件をきっかけにマインドコントロール論が世間で話題になっていたとき、南山大学・宗教学の渡邉学教授は「マインドコントロール論は万能論だ」と喝破したのである。(これ以降も研究者からのマインドコントロール論批判が相次ぎ、学問のレベルでは研究対象から消えてしまった)。
 
 ただ、「他者に影響を与える」場合、人間の心理的傾向を利用して(「影響力の武器」を使って)より効果的で効率的に行なう方法がある。
 しかし、影響力の武器といっても、最新の心理テクニックといったシロモノではなく、
「褒めてくれた人には親近感を覚える」
「何かしてもらったらお返ししたくなる」
「稀少なものには価値があるように思える」
 といった一般的な心理傾向を武器にするというのに過ぎない。
 チャルディーニの本は、セールスマンや企業がこうした心理を巧みに利用して顧客化していていることを、実験心理学のデータも取り入れながら、興味深く、説明している。
 私は、チャルディーニの本を再読したとき、「上野のアメ横はマインドコントロールの宝庫だ!」と思ったものである。客を褒めたり、試食品を食べさせたり、本マグロは残りわずかだよと言ったり。(注1)

「君が入信したのは自分の意思ではなく、マインドコントロールによって操作されたからだ。そして、君には自覚がないかもしれないが、活動していく中で、いつしか組織のロボット人間にさせられていたんだよ」
 こう言われても、自由な場所なら、冷静に振り返ることができる。

<教会員がマインドコントロールされていたのたら、教会から仲間が自然といなくなってしまうなんてことが起こり得るのか>
<どんなにアベル・カイン関係の縛りにあっていたり、あるいはアベルの言葉に呪縛されていようとも、やめたいと思った人はいつしかカープや教会に来なくなっているぞ>
<私だって、教会のやり方やアベルの言葉に疑問がわき、教会から数カ月間、足が遠のいたことがあったなあ>
 などなど、いろんなことに気づくはずだ。

 強制説得の本質的な問題は、「オドロオドロしいこと」を言われ、「原理のここが間違っている」「おまえはマインドコントロールされているのだ」と教えられても、その疑問を監禁部屋から出て確かめることができない。平静に思考することができない?ということにある。

 それができないから、いつしか <おれは、知らず知らずのうちに統一教会のロボットになっていたのか> と思うようになっていく。

 こうなると、「婚約者だろうが仲の良かった仲間だろうが、彼らと会って話してしまうと、知らず知らずのうちに心理操作を受けてしまう」と、心底、怖くなってしまうのである。(注2)(注3)

 そのような意識が形作られてしまうと、あとは強制説得家の言いなりだ。
「君は、マインドコントロールによって組織の言いなりに動いていただけだった。だから、君のことを心から愛しているご両親は君を救おうと思って、ここに保護したんだよ。統一教会はこれを拉致監禁だと騒ぎ立てているけど」
(これに納得すると、親はむろんのこと、当人も「拉致監禁はなかった」と話すようになる。「あれは、拉致監禁ではなく、統一教会から救出してくれるための保護だったんだ」と)

この刷り込みに成功すると、最後の総仕上げとなる。
「私が紹介する弁護士を代理人として、脱会届けを出したほうがいい。婚約破棄の通知書を出したほうがいい。献金や物品購入していたのなら、取り戻そう」
 『我らの不快な隣人』の主人公、強制説得によって脱会した麻子さんの場合もそうだった。

 このようなわけで、婚約者には一片の、冷たい婚約破棄の通知文を送って終わりとなる。脱会を決意した者は婚約者のことに、それほど痛痒を感じることはないはずだ。(注4)

 NK君の人間性の問題ではない。強制脱会のシステム がそうなっているのだ。


野毛山動物園(横浜市)のレッサーパンダ


それは神の声ではなくサタンの声だ!

 「婚約者から訴え」を読んだ人たちは、NK君にも信仰上の愛だけでなく、恋愛感情も芽生えていたのではないかという疑問が浮かんだはず。

 今回の通知書に対して、「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」は次のように書いている
<婚約者が、2009年10月から失踪までの約8か月間、「毎日10通ものメールのやりとりをし、毎晩電話をし、デートも50回重ねて愛を育んできた」>

 このことを書くのは今となっては少々切ないのだが、菅野さんに恋愛感情のことを聞いたことがある。私の質問に、彼女は顔を赤らめた。2人の間には信仰を超えた「愛」が育まれていたのだと感じた。
(だから、監禁は長引くと考え、彼女には「長期戦を覚悟しておいたほうがいいよ」とアドバイスした)
 
 NK君にも、恋愛感情が芽生えていたのは間違いない。
  ならばどうして?
  監禁部屋で、彼はそのことに苦しんだと思う。

 しかしながら、強制説得家は苦しむNK君に、こう畳みかけたはずだ。
「おまえの愛は、結局のところ、統一教会の信仰を土台にしたものだ。信仰が間違っているのだから、おまえが真実だと思っている愛は、ニセモノの愛に過ぎない」

 話は少しばかりそれるが、統一教会員の中には神の言葉を聞いたという「神体験」(神秘的体験、変性意識体験)をしている人たちが少なからずいて、この「神体験」が感情的な面で信仰の基底になっている。
 ある教会の責任者が教えてくれた。
「統一教会をやめようかどうしようか、1人悶々としていたことがあります。そのときに神の声が聞こえてきたのです。<おまえも裏切るのか!>。その声はとてもリアリティがありました。それで教会の活動を再びやるようになった」(注5)

 しかし、神体験した人でも脱会している。
 ある現役信者(監禁体験者)に「神体験をした人は脱会しないのでは」と質問すると、次のように説明してくれた。

「脱会説得の場面で、苦しくなると、神体験のことが蘇ってくる。反牧に<私が聞いた神の声は紛うことなき神の声だ>と反論する。そうすると、牧師はこういう。<おまえが聞いた神の声は、神じゃなくサタンの声だったのだ>と。それで、信仰の土台が崩れてしまう人たちもいるのです」

 ものの見方が180度変わってしまうと、世界が変わってしまうということなのである。


人格を変えることはできない

 ただそうはいっても、記憶を塗り替えることはそう簡単にできないものだ。
 NK君は、新しい職場に馴染み、心に少しばかり余裕ができると、菅野さんとのことが蘇るはず。自分は彼女にこんなことを話したのだという記憶である。

「終始響き続けるG♯のように、何があっても変わらぬ心情で歩みを続け、深くて永遠な神様の愛を結実しよう。僕と一緒に、そんな世界一幸せな祝福家庭を築こう!」(「婚約者の訴え」から引用)

 そして50回にも及ぶデートの一コマ一コマのことも。

 そもそも統一教会がどんなに頑張っても、信者を統一教会的人格(カルト的人格)に変えることができないように、拉致監禁諸兄がいくら監禁部屋で様々なことを刷り込んだとしても、信者を反統一教会人格に変えることなどできるわけがないのだ。(注6)
 楽しかったときの記憶が蘇ると、葛藤が生まれる。菅野さんは「婚約者からの訴え」の中で、NK君の健康のことについて、こう書いている。

前もよく皮膚科に通っていたね。いつもステロイド系のお薬をつけていたけど、ちょっと薬をつけ忘れたり、ストレスを受けるとひどくなっちゃうって・・・首 や背中が赤くただれて、顔をしかめて掻いているのを見る度、心痛めていたんだよ?ただでさえ「暑い季節はかゆくなって大変だ」って言ってたのに、今は悪化しても病院にも行けないんでしょう?どれほど苦しいですか・・・

 葛藤が生じれば、必ずストレス反応に苦しむことになる。

 婚約者はストレス障害(とりわけ過呼吸、パニック障害)に苦しみ、これからNK君も苦しむことになるかもしれない。
 彼が苦しみ、新しい職場を欠勤することになっても、そのことを知る人は家族以外、誰もいない。家族が拉致監禁によるトラウマ症状であることに気がついたとしても、自分たちが決意してやったこと、周囲に訴えることはできない。

 拉致監禁説得は酷い(むごい)というしかないのである。

(注1)元信者の中には、「賞賛のラッシュアワー」が統一教会のマインドコントロールの手口だ、と考えている人が少なからずいるようだ。平たく言えば、褒めまくられることだが、それで心地いいと感じる人もいれば、返って警戒心を抱く人もいる。「褒め殺しか」と反発する人だっているだろう。
 褒めまくりは、女性を口説くときの常套手段でもあり、統一教会特有の心理テクニックというのは、あまりにも社会を知らなさすぎ、ナィーブというものだ。

(注2)ある現役信者(女性)のところに、数年ぶりに、強制脱会によって組織から離れた女性から電話がかかってきた。
 きわめて珍しいケースである。
 電話してきた彼女は心療内科に通っていると話したあと、「もし、私が電話をしてきたことが親にわかると大変なことになる・・・。絶対に内緒で会える?」と焦った声で聞いてきたそうである。
 大変なことになる?
 彼女の頭によぎったのは、<統一教会のかつての仲間と連絡を取っていることが親にバレると、偽装脱会だったのか>と、また拉致監禁されるということであった。

 強制脱会者が自然退会者と違って、昔の仲間と没交渉となるのは、「マインドコントロールの恐怖」以外に、再びの拉致監禁が怖いと思う気持ちもある。

(注3)また、強制脱会者は第3者と会うことができないようになっている。たとえば学者や記者などが「統一教会をやめた人」に会いたいと考えた場合、どういうルートで会うことが可能か、想像してみればいい。
 脱会者リストといったものがあるわけではない。そのため、牧師など強制説得家か、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)に申し込むしかない。

 これに関したことで、私の体験を話しておく。
「彼女がカルトをやめた理由」というテーマで、“カルト”に所属していた女性たちの座談会を企画したことがある。
 考えた団体は、統一教会・オウム・エホバの証人・ヤマギシ会。ところが、一番すぐに見つかるはずなのに、最後まで候補者が決まらなかったのが統一教会だった。ワイドショーにはよく登場していたし、「青春を返せ裁判」を闘った元教会員は大勢いたはずなのに、どうして・・・。

 知り合いだった、全国弁連の代表山口広さんに頼んだのけど、はかばかしい回答を得られることができなかった。
 締め切りが近づき焦ったあとに、ようやく一人の元女性信者を紹介してもらったけど、最後まで「いい顔」をされなかった。このときのことは、今でも印象に残っている。
 10年以上も前の話だけど、拉致監禁のことを知った今から振り返れば、<元信者を紹介すれば必ずやめた経緯を聞かれるはず>と心配したのだと思う。
 実際、その杞憂はあたっていて、紹介してもらった彼女にはその質問もした。記事では少しばかりだがそのことにも触れた。彼女はその後、反統一教会諸兄から批判を浴びたという。まるで、<北朝鮮みたい>というのは言い過ぎか。

 このときの座談会記事は、『救いの正体』(宝島文庫)に載っている。

 強制脱会者にインタビューできるのは、強制説得家や「全国弁連」のお目に叶った人(拉致監禁のことは絶対書かない人、比喩的に言えば北朝鮮の惨状を話さない人)だけである。たとえば、静岡県立大学の西田公昭さんとか、有田芳生さんとか。もっとも、有田さんはお友だちの宮村峻さんから監禁中の信者も紹介されていたようだが。

 本題との関連でいえば、強制脱会者が昔の仲間に会いたいといった場合、親は強制説得家に相談し、その結果、ノーということになる。その理由は、仲間の影響を受け、統一教会に戻る可能性があること。もう一つは脱会の過程を質問され、保護説得(拉致監禁)のことがバレてしまうからである。
 NK君が菅野さんに会った場合、菅野さんは間違いなく、脱会に至った経緯を必ず聞く!

この(注2)と(注3)に関することでは、「K君は脱会していたそうです」のコメント欄に投稿された、強制脱会者のkoyomiさんの意見がとても参考になる。強制脱会者と現役教会員との間で交流がなくなってしまうのは、彼女によれば、次の通りである。

?双方が避けている。強制脱会者は現役教会員から「裏切り者」と見られていることを知っている。現役教会員はアベルから「強制脱会者と会うな」と指示されている。なぜなら、影響を受けるから。強制脱会者の親も、同じように影響を受けるからという理由で、会うことに賛成しない。
?強制脱会者が「昔の仲間に会いたい」と言えば、親や強制説得家たちは「まだ統一教会の間違いに気がついていないのか」「まだ統一教会からの影響が抜けていないのか」「偽装脱会だったのではないか」と疑う。そのため、強制脱会者は再びの拉致監禁を恐れる。
?強制脱会者には、自分が脱会できたのは親や強制説得者のお陰であり、<感謝しなければいけない><これからは親に心配かけてはいけない>という思いがある。


 
(注4)婚約破棄の通知文をもらった人は苦しむことになる。
「拉致監禁をなくす会」では「婚約者を失った人たちのケア」も行なっている。婚約者を失ってから、ずいぶん経つというのに。それほど心の奥底を痛めている人たちがいるということなのである。
 「K君は脱会していたそうです」のコメント欄で、原田さんと川嶋さんが婚約者を失った心境を綴っている。


(注5)最近、「神体験」のことが活字になったことがある。
 クリスチャン向け雑誌『リバイバルジャパン』(2011年新年号)に載った、編集長の谷口和一郎氏が統一教会信者・小林宗一郎氏(足立教会青年支部)にインタビューした記事である。
 小林氏は監禁体験者である。以下、そのくだりを引用しておく。

「(監禁されてから毎日、何時間も祈るようになった)監禁されて40日目に、何か暖かいものが胸に入ってくる体験をしました。優しい男性の声で、胸の中心から響き渡る感じで、『おまえを愛している。私の願いをかなえてくれ』と言われました。私は涙が止まらなくなって、1時間くらいずっと泣いていました。それは文先生の声というより、神様の声だと感じました」

(注6)どんな人格にするにせよ、心理操作によって「人格そのものを変える」ことはできない。
 それを試みた団体はある。ユートピア社会を目指したヤマギシ会である。同会の究極の目的は「Z革命」(究極の革命)。
 彼らは<人間を我執のない人格に変えれば、争いのない平和な社会を実現することができる>と考えた。その手段は、「特講(とっこう)」と呼ばれる「脳を洗うセミナー」によってである。しかし、一時的に人格を変容(変容の内実は受講者を解離状態、離人症状態に)させることには成功したが、人格を変えることはできなかった。

 このことを、ヤマギシ会の幹部たちは「一般社会で我執がついてしまった大人の人格を変えることはできない」と総括し、「赤ちゃんのときから、我執だらけの社会からは隔離して養育すれば可能ではないか」と考え、ヤマギシ学校(小中一貫校)の設立を目論んだ。
 その構想は挫折してしまったが、仮に認可されていたとしても不可能だったはず。(『洗脳の楽園』を参照)
 それは北朝鮮を見ればすぐにわかること。朝鮮労働党が人民を、どんなに外の世界から遮断しようとしても、脱北者はあとを絶たないのだ。国家をもってしても、労働党的人格に変えることはできないのである。

 人格を変えるには、ロボトミー手術のように、脳にメスを加える以外にはない。


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コメント

私の脱会体験談

私も、統一教会を脱会して、今年で27年になります。私の場合は、強制脱会ではなく 自主脱会 であります。当然、統一教会へ献身する時には、両親から反対されたし献身してからも、そんなとこさっさと辞めて帰って来い!との電話を自分の居場所によくもらいました。ちょうど丸1年の献身者生活でした。なんで統一教会を脱会したか?以前に書いたことがありますが、金のとり方アベルから、言われたのですが、事故にあつたとき、当たりや もどきの事を行い、入院して相手から金を取りその金を献金に回したそうであります
。おまえには、できないだろーそれが悔しくてかつ、それがキリスト者のやることか!と、又、高麗人参の展示会での脅迫まがいの金集め。それと 人情と天情 人情に走る悪 天情に徹する善 このことについて、今をもつて、統一教会を理解することができません
。人情人間のもつ情がなぜ悪いのか 確か、山崎浩子さんの脱会報道でバドミントンの 徳田敦子さんが 彼女は
は、人情に走ったんだ と言ったときに、レポーターたちが なぜ人情がいけないの?いいじゃないですか。と、言ったら、それは、信仰的見地のことです。とのセリフを言いました。そのことからすると、NK君は、人情に走った事になるのでしょうか?天情に走ったら脱会しなかったのでしょうか?天情に徹するそれが、40年間に4300人の拉致監禁を放置することなのでしょうか?脱会した直後は、地獄に落ちるのでは?とか不安な気持ちになりました。又、統一教会の人たちにも会いたくありませんでした。山崎浩子さんの脱会記者会見を見ている時は、統一教会ざまみろ!!!との思いの極致でありました。その反面、拉致監禁 は存在するのか?との思いを抱いた原点でもあります。私の職場に、私の霊の兄弟と現在いつしょに仕事しておりますが、まさかこんな所で再会するなんて、腰を抜かす位い驚きましたけれど...私冒頭にいいましたあなたが、統一教会の信仰を持つのは自由だ。しかし自分に統一教会の勧誘伝道はしないでくれ!!相手は、わかった と言ってくれました。彼は、6500双の祝福家庭ですが、教会へは最近全然行ってないそうです。彼の存在が今統一教会を客観的に見られるようになっていると思います。脱会してから時間が経っていることもありますが。

K.Nさんが教会員に会わない理由

私は、K.Nさんの学生時代に面識のある者です.K.Nさんが教会員と会わない理由について、当時の彼のことを知っている立場で推測してみました.彼はとても聡明な方でした.極端な意見に偏るのではなく、現実的な状況や将来のことを見据えながら自分の意見を論理的にしっかり述べる人でした.
なので、彼が極端に非論理的な反対派の言うことを鵜呑みにしたとは考えにくいのです.
そこで、私は彼が教会員と会わない理由として反対派の言うことを信じているというよりも教会員と会うことで反対派に再び拘束されることを恐れているのだと考えます.監禁により心が動揺し脱会はしたのかもしれません。しかし、反対派の意見を鵜呑みにして仲の良かった教会員を恐れて会わないということは彼の性格や思考力から考えてどうもシックリきません。
やはり、K.Nさんは自分の意思で教会員に会わないのではなく、反対派によって禁止されていると考えられるのではないでしょうか。

もし仮に反対派の言うことを鵜呑みにして本当に教会員を恐れて会わないのであれば、彼の冷静な思考力や偏りのない性格を奪ったという点でさらに罪は重いですが・・・。

私は脱会したわけではないですが・・・

 教会に戻ってきた直後は、教会の人との会話にギャップを感じましたね~
 こんなことをいうと御幣があるのですが、教会の人は上のいうことを素直に信じる単純な人・・。正直私はこういう人たちとは一線を画したいなという思いがありました。ただ、それは、脱会して宮村氏についていた元信者さんたちにも同じ事がいえます。
 彼らのおどろおどろしいお話を全部信じたわけではないのですが、ある程度検証作業が必要かなと思いました。その結果、教会にも相当問題があるという結論を得ました。だからといって私は脱会という道は選びませんでしたが・・・。


 NK君も今は大変かもしれませんが、充分な検証作業をされて、落ち着いたらきちんと婚約者の方やその他もろもろの方々と連絡をとられたらいいと思います。そのほうがNK君の将来のためにはいいと思うのですが・・・。

 今は20年以上もたってますので、昔、偽装脱会中に知り合った脱会者の人には会いたいな~と思います。
 脱会者の方の中にも問題を抱えている人もいるでしょうし、教会に戻ってきた人のなかにも親子の断絶という問題を抱えている人がいる。そういう諸問題を解決するために歩み寄れないかな~という思いです。20年たっていればもう脱会説得者のもとをとっくに離れ、普通の生活を送っているでしょうし、冷静に大人の話ができるような気もするのですがそれは甘い考えでしょうか?

 脱会者の中で今でも年賀状の付き合いをしている人が1人います。
 必ず、ひとこと心温まるコメントが書いてあり、私と彼女との間には、細々とではあるけれども、敵味方ではない絆があると思っています。

刷り込み

つまり、強制説得者がNK君に「統一教会はコワイよ」と刷り込みをしてるように、

統一教会も信徒に「脱会説得はコワイよ」「脱会したら天国行けないよ」と刷り込みをしてるということではないでしょうか。

具体的なご教示を。

嶋田さん
> 統一教会も信徒に「脱会説得はコワイよ」「脱会したら天国行けないよ」と刷り込みをしてるということではないでしょうか。

「脱会説得はコワイよ」と話す教会員がいたら、その人はきわめて事態を冷静に把握している人だと思います。

 しかしながら、
「脱会したら天国行けないよ」
 と語った教会員がいたとしたら、その人は誰でしょうか。

 文クッチンさんでしょうか。梶栗さんでしょうか。あるいは足立青年支部の部長さんでしょうか。はたまた、あなたのアホ・アベルさんでしょうか。
 具体的に実名をあげて、やりませんか。

私は米本さんの意見にほぼ賛同です。統一教会に騙されていたうんぬんは別として、人間は弱いので監禁で傷ついた原因を求めると思います。そうすると、統一教会に関わったせいで…というような怨みの思いがでるのではないかと思います。怨んでいる人たちに会いたいと思う人はいないと思います。
米本さんも十分御存知のように、統一教会も問題点は本当に多くあります。私は信仰を持っている立場ではありますが、一度本当に嫌気がさしたことがあります。しかし、だからといって神に出会ったことを否定できず、考えた結果、文句を言う前に少しでも良くするしかないと思いました。正直、統一教会内にも批判ばかりして責任を持たない人は数多くいます。私も一時期そのようになっていましたが、その時は不平ばかりを胸に抱き、何も行動しなかった覚えがあります。私としては、本当に世界平和を目指す食口ならば、責任を持ってほしいと感じます

アナウンス

「経験者より」さん、koyomiさんの投稿は、ブログ本体にアップしました。
 それにともなって、お二人のコメント投稿は削除しました。

 ブログにアップした記事を、熟読してください。長文ですが、拉致監禁をとことん客体化した秀逸投稿です。

「匿名希望」さんへ。投稿、ありがとうございました。お礼を言いながら、注意の言葉を書くのは恐縮なのですが。
 NAMEを書かれないと、「匿名希望」と表示されてしまいます。
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-221.html#more

 どうか、自分で好ましいと思える、かつ読者に親しめるようなハンドルネームを記してください。

 よろしくお願いいたします。

嶋田さん、ごめんごめん

 投稿を削除しているときに、嶋田さんの2度目の投稿まで削除してしまった。冷汗
 ごめんごめん。ペコリペコリさらにペコリです。

 私の挑発的文章がそもそもいけなかったのだと反省しています。

 おそらく、嶋田さんの部署のアベルさんが「脱会したら地獄だよ」と言ったのだろうと、思うようになりました。
 もしアベルさんがそう言ったのだとしたら、まるでヤクザと同じですねえ。「組を抜けたら、おまえ、地獄(瀬戸内海にコンクリート詰め)だよ」というのと、何ら変わりがない。

 ヤクザアベルは、正直、追放しないと、拉致監禁はなくならないと思っています。

ストーカー信者逮捕

ストーカー信者逮捕の影響で、婚約者に会うのを拒否する脱会者がますます増えそうですね。
ストーカー行為は統一協会が組織ぐるみでやっていたみたいですし。

米本さんの情報源の一つである足立青年部も関与しているそうなので、他人事ではないですね。
足立青年部から得た偏った情報を使い反対派を攻撃し、ストーカー被害者をもバランスを欠いた記事で攻撃した米本さんは品性下劣だと思いました。

Re:嶋田さん、ごめんごめん

削除の件は赦します。

ヤクザアベルを持ちださなくとも、「脱会したら天国に行けない」というのは統一教会では当たり前の事ではないですか?

逆に、「脱会しても天国に行けるよ」と教えている教会員はいるでしょうか?

言いたかったことは、米本さんの理屈によれば、

強制説得者がNK君に「統一教会はコワイよ」と刷り込みをしてるように、

統一教会も信徒に「脱会説得はコワイよ」「脱会したら天国行けないよ」

と刷り込みをしてるということになりますね、

ということです。

通告

>なお、冒頭に書いた通り、このコメントへのレス(賛成、反対とを問わず)はやめてください。

 とあるにもかかわらず、投稿がありました。よって、削除しました。

 このブログのテーマ(「強制脱会者の心理」)です。

 なお、ブログの左サイトでアナウンスしている「投稿にあたっての注意事項」を読んでください。「携帯からの投稿はやめてください」と書いてあります。

 何度注意しても、従ってもらえない場合にはレッドカードを出します。

(追記)みんなさんへの返信レスにあるように、次回のブログは「ストーカー事件の真相」をアップいたします。

自然脱会

私も自然脱会しました。
小川さんの意見に同感です。
小川さんのような方を躓かせた偽アベルが問題(やくざ同様)だと思います。
今の現状がその結果で「拉致監禁改宗被害者」は、純粋な末端信者が犠牲になった。
身内の相対者がその被害に遭い「強制
脱会」した時に身内に吐いた言葉が
「あなたも家族も騙されているんだよ」と険しい表情で(あまりの変わりように)驚き・・
何に対して「文師?」「協会?」かを
確認する余裕すらなかったそうです。
私は、組織に対して、こんな人達と天国に?行くくらいなら、天国は、ごめんだと思いました。
死んでみないと文師のお傍に誰が近くに逝けるか?・・神様にしか解らないのでは?

再通告-イエローカード

 通告したにもかかわらず、嶋田さんはまた投稿されました。
 ほんとうにしつこい!

 よって4月1日まで投稿を禁止するイエローカードを出すことにしました。

 その間、投稿された場合、内容如何を問わず、削除いたします。

 なお、「投稿にあたっての注意事項」で、次のように書いています。

(注)イーモバイルのホスト名は携帯とパソコンの区別が厳密にできませんので、すべて削除の対象になります。悪しからず、よろしくお願いいたします。

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