「いのちの家」(川崎牧師)からの脱出記?
拉致監禁リアル情報(21)
孝成教会のMKさん(32)の拉致監禁事件の概要は「拉致監禁リアル情報(13)」、解放されたときの模様は「拉致監禁リアル情報(14)」 で述べた。
今回はMKさんが“拉致”されてから“監禁場所”を脱出するまでの詳細を明らかにしておく。MKさんの名前は、ここでは慶一としておく。
6回の連載です。年を越したくないので、2?3日に1本の割合でアップしていきます。文中の敬称は一部省略しました。
お盆を故郷の浜松市で過ごすことにしていた慶一(32)は、一緒に帰ることになった弟(30)と、渋谷駅で待ち合わせをした。
8月12日午後1時のことである。気温は32度。うだるような暑さだった。
東急百貨店東横店で食事をしたあと、弟の車で浜松に向った。帰省ラッシュの予想に反し、渋滞に巻き込まれることなく、夕方の4時頃には東名高速道・浜松西インターを降りることができた。
弟が実家に行くルートと違う道に車を走らせるので、不審に思い、問い質すと、
「実家は今、耐震工事を行なっていて、両親は仮住まいをしている。そこに向うんだ」
着いたところは、「レオパレス昭徳?」の208号室。単身者向けの家具・電気製品備えつけのアパートだった。
部屋に入ると、両親がこう切り出した。
「統一教会について不安や不信がある。こうした静かな環境で話せる機会は滅多にないから、ゆっくり話し合いたい。お願いだ」
弟が携帯電話を預かるという。変だと思ったが、予定の15日までならと思い、素直に従った。
これまでも話していたことだが、改めて統一教会に出会った経緯から今日までのことを話した。
97年12月、名城大学(名古屋市)の在学中にカープ(原理研究会)と出会ったこと。03年4月に献身者になったこと。信仰についても説明した。
帰京予定の8月15日が来たので帰ろうとすると、父親は突然、椅子から下りて、土下座した。
「無理を言ってすまないが、自分にはどうしても統一教会がやっていることが理解できないんだ。教義を講義してくれ。理解できるまで付き合って欲しい」(注1)
慶一は土下座する父親の姿に驚いたが、「突然、そんなことを言われても困る。仕事や教会のことはどうなるのか」と言うと、父親は「弟に連絡させるから」というばかりだった。自分で連絡するから携帯を返してくれと頼んだが、無駄だった。(注2)
慶一は詰るようにこうも話した。
「拉致監禁が多発しているので、自分の口から連絡しないと、弁護士が動くことになる」
しかし、両親は動じることなく、馬耳東風。逆に「そこまで信者を管理する教会はおかしい」と反撃してくる。
「一般のジャーナリストも、この問題を取り上げている」
両親はやはり動じることなく、「統一教会から金をもらっているんだろう」。(注3)
慶一は、反対派の影を感じたが、一通り説明して早く解放されたいと、父親の頼みをしぶしぶだが応じることにした。
それは、これまで統一教会について向かい合ってじっくりと話すことがなかったし、統一教会の信者であることを長く打ち明けなかったという負い目もあった。また、仕事は期間契約で、8月一杯で終わるということもあった。
慶一が統一教会のことを話したのは、献身者になってから5年後の08年1月のことだった。そのとき、両親は驚き、母親は半泣き状態になった。とにもかくにも「怪しい宗教なんかに首をつっこむな。やめてしまえ。なんで、早く打ち明けなかったのだ」というばかりだった。こうした経緯があったから、「負い目」を感じていたのである。
また、統一教会に反対はしていたが、一方で両親は自分のことを理解しようとしているのではないか。そう、慶一が感じるような出来事もあった。
09年12月の「心情文化フェスティバル」、10年2月の「合同礼拝」、5月の「野外礼拝」に両親を誘うと、参加してくれた。お弁当まで作って、みんなに食べるようにと差し出してくれた。「誘ってくれてありがとう」とまで言ってくれた。
信者仲間は口々に「いいご両親だねえ」「理解があって羨ましい」。慶一は少しばかり誇らしい気分になった。(注4)
負い目とかすかな期待。それで、しぶしぶではあったが、父親の頼みを聞くことにしたわけである。
後述するが、慶一の両親は09年3月には日本基督教団の川崎経子と何らかの形で接触があった。09年の4月には、慶一が住むホーム(一軒家)に「近くまでやってきたので」と、突然、両親が顔を覗かせたこともあった。
このため、両親が差し入れの弁当を持って各種の礼拝に参加したのは、慶一の警戒心を解くためだったとも解釈できる。しかし、慶一からそのときの写真を見せてもらったが、両親の表情は実にほがらかで、イベントを楽しんでいる風だった。
このことについては、後で、再び触れることにする。
(注1)「解放された孝成教会HMの体験(2)」でも、両親は娘に「おまえの信仰を説明してくれ」と頼んだ。強制説得ではいつも同じ、ワンパターンである。
(注2)「拉致監禁リアル情報(13)」では、このあたりの記述は次のようになっている。
<その後、連絡が取れなくなったので、8月30日に仲間が心配して実家を訪問しました。
弟さんが出てきて、こう言ったそうです。
「兄は帰ってきていない、両親は長期の旅行に行き、どこへ行ったかわからない」>
(注3)強制説得家諸氏は、水面下で、私が統一教会から金を受け取っているというデマゴギーを、まるでヒットラーの政治プロパガンダの如く流しているようだ。
嘘も100回つけば、真実になる。
慶一の両親は、川崎経子からそのように聞かされたのだろう。
統一教会から金をもらっているという噂が流れるようになったのは、講談社の月刊『現代』でルポ「書かれざる宗教監禁の悲劇と恐怖」 を書いてからである。誰が言い出したのか、当時調べたことがある。その結果、アッセンブリー京都教会の村上密であることがわかった。村上がマインドコントロール研究所のパスカル・ズィヴィーに話し、そこから全国の監禁派諸兄諸姉に流れたのだと思う。
“カルト”の批判記事を長く書いてきた記者が、今度は一転して、反カルト陣営(といっても拉致監禁派)を批判する記事を書く。わかりやすく言えば、自分たちの仲間だと思っていたライターが、今度は俺たちを批判してくる。「いったい、どういうことなんだ?」。認知的不協和に陥り、心が不安定になる。
それを解決する唯一の方法は、「あいつは、統一教会から金をもらって記事を書いているに違いない」と解釈することである。
「是は是、非は非」と考えることのできない、哀れな牧師さんたちである。
(注4) 「拉致監禁リアル情報(13)」で書いたことだが、慶一が帰京予定の8月15日を過ぎても戻らなかったにもかかわらず、拉致監禁が発覚するまで約2週間かかっている。それほど、慶一の両親に限って拉致監禁するわけがない?と信者仲間が思い込んでいたのである。
- [2010/12/16 10:43]
- 拉致監禁リアル情報 |
- トラックバック(0) |
- コメント(8)
- TOP ▲
コメント
平和ボケ
懐かしい
土下座すれば良いというものではありません。
ところで、米本ルールに従って、上記の元信子さんの携帯からの書き込みは削除しなくてはなりませんね。
公平な米本さんですから、当然削除するでしょう。
削除
元信子さんが投稿された情報のソースはブログ「いつも私のとなりに神さま」
の12月6日付の記事です。添付しておきます。
http://uc-itsumokamisama.seesaa.net/article/172000510.html
(追記)元信子さんへ。もし、投稿されたい場合は、私のメールアドレスに送ってください。
また削除をお願いいたします。
今まで教会で大して関心も同情もなかったくせに、社会にアピールできたり上からの命令だと手の平を変えたように変わる、こういう感覚が不思議です。
米本さんが教会を冷たく感じられたのも、たぶんこの「蕩減」思想の影響だと思います。 人が離れても「あの人は蕩減が重かったから」とか言うし(上のテモニムはそれではいけないと仰ってますが。)ご父母様命だけど、一般人より人を愛せない不思議な所のある組織です。 (そんな人ばかりではないですが)
それでメールアドレスがわかりません。 何かの時の為にお聞きしてもよいですか? (私のアドレスは名前がバリバリわかって、ちょっと警戒してしまうのですが…)
考えさせられること
拉致監禁の被害者の意識がない、というのは頷けました。私もなかったです。だから、前に米本さんが私のことを拉致監禁被害者と言われたことに「私は被害者だったのか?」とあらためて思いました。拉致監禁→脱会者は教会に戻った人以上に教会から「条件が足りない」「讒訴されたんだ」「先祖の因縁」etcと言われ、加えて「裏切り者」と烙印を押されるから、今までの絆は何だったんだと思います。
話しは変わりまして、慶一さんの痛々しい思いが伝わりました。それにしても、何故、拉致監禁なのでしょう?先の深雪さんもそうですが、慶一さんもご両親に対して教会のことをわかってもらおうと働きかけていました。長く明かさなかったとはいえ、教会のイベントに誘って教会を知ってもらおうとしていたわけです。ご両親もそのイベントに参加したなら、何故その後に率直な感想を慶一さんにぶつけなかったのでしょう。その時に疑問点をぶつけなかったのでしょう。
両親は理解しようとしている、と思っていたのに、拉致監禁とは裏切られた思いで精神的ショックは大きいと思います。
川崎牧師はその点をどう思っているのでしょう。それとも、統一教会の間違いがわかり、脱会すれば裏切られた思いはなくなる、と思っているのでしょうか?
私も考えました。
教会残酷物語はいっぱいあります。
反対牧師の暴行には負けますけど、できたら両方合わせて「信仰者の仮面を被った悪魔」の本でも出して下さい。
一番の被害者は信仰を捨ててず教会の実態を知りながら悪口も言えずに耐える拉致監禁被害者の現信者でしょうね。
ところで私は他の方のコメントに対しての投稿はできないのは残念だけど諦める事にして、 信者でパソコンなしネカフェに行く時間なしの方はたくさんおられると思います。
投稿拒否は米本さんご指名の悪質な方だけでよいのではないかとも思いますが、最終判断は管理者様に委せて反論する気持ちもありません。
なのでこれが最後の投稿になる可能性が高いでしょう。
また削除の手間をかけさせてしまい申し訳ありません。
米本さん始め皆さんにご迷惑をおかけしましたが、吐き出した事により以前より整理できスッキリして感謝してます。
皆様、お世話になりありがとうございました。
削除は
ネットカフェからの投稿は一律削除、公平なんでしょうか?
悪平等なんじゃないかと思います。
Re: 削除は
> 悪質な人だけでいいと私も思います。
悪質かどうかを判断するには、どうしても管理人の恣意性が入り込む余地が生じてしまいます。やはり、携帯からの投稿は一律削除という方針は貫かさせていただきます。
> ネットカフェからの投稿は一律削除、公平なんでしょうか?
誤解です。ネットカフェからの投稿は削除の対象ではありません。
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-221.html#more
照沼さんの「懐かしい」はネットカフェからの投稿ですが、削除はしていません。
追記1)元信子さんの今回の投稿は削除しません。やりとりに流れが生じているためです。
追記2)元信子さんへ。私のメールアドレスは『我らの不快な隣人』に載っています。図書館で借りてください。どこの図書館でもあるわけではないから、電話で所蔵されているかどうか確かめてから、出向いてください。アドレスを調べるためだけでなく、元信子さんにはぜひ、読んでもらいたいと思っています。
削除した投稿に、献金の締めつけが厳しく、クリスマスや新年を祝うことができない信者がいるといった情報が書かれていました。ぜひ、具体的なことを知りたいので、メールをください。よろしくお願いいたします。
あっ、そうそう。私に電話いただければ、教えることができるんだ。
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://yonemoto.blog63.fc2.com/tb.php/230-c2bd8dfa
- | HOME |
コメントの投稿