弁護士山口氏のコラムを評す(9)
山口コラム(9)
小細工3
コラムが『弁連通信』に載った後の話である。
『我らの不快な隣人』を書くにあたって、あらためて山口広弁護士に犯罪の教えを請うた。
彼がコラムで書いた犯罪は、「恐喝事件、薬事法違反事件、マイクロ過労運転の死亡事故、古参の信者大貫の殺人事件、韓国人夫が日本人妻を殺した事件など」であった。
山口氏は、恐喝事件(83年)とマイクロ過労運転の死亡事故(88年)の判決文をファックスで送ってくれた。
しかし、山口コラムによれば、2件以外にも統一教会員は数々の犯罪をおかしている。
山口氏に再度、丁寧に、お願いした。
「事件は2つだけではないでしょ。忙しいかもしれないけど、すべて送って欲しい。無知ゆえに知りたいんだから」
山口氏曰く。「もう勘弁してよ」
しばし、開いた口は塞がらなかった。
あれほど私の無知を指摘し、統一教会身びいきライターという印象を与えたコラムを書きながら・・。
こう解釈するしかなかった。
2つ以外の事件は、教団とは関係なく信者個人の刑事事件。個人の前科を公開することは違法とされている。それゆえ、「勘弁して」ではないか。
ちなみに、判例に従うと、「古参信者大貫の殺人事件」と個人名をあげて書くこと自体、問題となる。
キリスト教会において牧師の犯罪事件(とりわけ性犯罪)は少なくない。
だからといって、親はキリスト教信者になった子どもを脱会させようとはしない。
数々の犯罪は、キリスト教組織とは関係なく個人の犯罪と認識しているからだ。
注 最近、脱会説得牧師と同じ“正統派”プロテスタントに所属する「国際福音キリスト教会」(宗教法人・小牧者訓練会)の牧師が猥褻行為を行なっていたことが暴露されつつある。
ともあれ、わが脱会説得に携わるキリスト教の牧師は、統一教会員個人の犯罪と組織的犯罪とをゴッチャにして、信者家族に説明する。
「統一教会は犯罪者集団だ。いずれ犯罪の加害者になる。子どもを脱会させるには保護説得しかない」
タチの悪いプロパガンダである。
いや、そんな生やさしい評価ではすまない。拉致監禁によって、心的外傷に苦しみ、社会復帰ができなくなった元信者がいるのだから、犯罪的トークとさえ言ってもいい。
今から30年近く前の恐喝事件(青森事件)は個人の犯罪だが、統一教会の悪質商法に絡む事件ゆえに教団の責任が問われてもいい事件だと思う。
山口コラムが問題なのは、この事件と教団とはまるで関係のない個人の事件とを、意図的にゴッチャにして、統一教会は数々の犯罪をおかしているような印象を与えていることだ。
古参の信者大貫の殺人事件。韓国人夫が日本人妻を殺した事件。どんな事件かわからなくても、信者家族が読めば、わが子を拉致監禁してでも脱会させようと考えてしまうのではないか。
わが“人権派弁護士”の文章もタチが悪いプロパガンダだ。
いや、文章上レベルの話ではない。
山口弁護士たちは今利裁判で、清水与志雄牧師と黒鳥栄牧師と委任契約を交わし代理人となった。
その2人の牧師が宿谷麻子氏たちに重篤な心的外傷を与えた。そのことをルポで読んで知ったのにもかかわらず、コラムでは一語足りとも言及しない。これも「小細工」の一つである。
弁護士バッジを返上して、反統一教会組織の献身者になったらどうかと、皮肉の一つでも言いたくなる。
<追記>
このところ(08年年秋以降)、統一教会員が経営する販売会社が相次いで摘発されている。大阪では薬事法違反、新潟や東京などでは特定商取引法違反(畏怖・困惑、不備書面の交付)の容疑である。いずれの事件も有罪となり罰金刑が下されている。
しかしながら、ルポが載った『現代』は04年11月号、『我らの不快な隣人』が発売になったのは08年7月。前者を執筆した段階で刑事事件になったのは83年の恐喝事件と88年のマイクロバス過労運転事件の2つだけ。後者の08年夏までの段階ではこの2つの事件に加え、「SHINZEN」の会員の男性を住居不法侵入の疑いで逮捕、書類送検するという事件があっただけである(その後、不起訴)。
実際、『治安フォーラム』(08年8月号)では、警察官が「反社会的活動を続ける統一教会の実像」と題して、次のように明記している。
「霊感商法や献金を巡る事案では、統一教会に対し損害賠償を求める民事訴訟が多数あったようだが、刑事事件として話題に上ることは少なかった」
このあと住居不法侵入事件に言及しているが、霊感商法があれほど騒がれていたにもかかわらず、刑事事件として話題に上ることは少なく、小細工1で述べたように、検挙されたのは一件もなかった。
<この項は『我らの不快な隣人』232~233、381頁の注1を詳述しました>
弁護士山口氏のコラムを評す(10)「倫理を疑う(上)」へ
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- [2009/03/02 10:56]
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コメント
ご苦労様です
マスコミについて
教会から帰ってこなくなった(娘が反対活動を牧師と一緒にするようになった)」と寂しそうに言っていたのが印象に残っています。
何のための保護説得か。
親は子を自分の下に取り戻したい。
しかし牧師は統一教会をこの世から抹消したい。
私が監禁から逃げた後牧師は親のところに訪ね「娘さんは間違いはわかっているから大丈夫だ」と言った。
どこまでも自分を正当化する牧師。
みんなだまされないでほしい!
YURIさんへ
統一教会をやめたのに家に戻らず牧師と一緒になって反対活動をしている人たちがどの程度いるかわかりませんが、全国に100人程度はいるでしょうね。
ある父親が脱会説得者に、こう怒鳴ったことがあったそうです。
「俺は、娘の脱会は頼んだけど、あんたの情婦にしてくれと頼んだ覚えはない!」
この情報は、ある反統一教会の立場に立つ人から教えてもらったものですから、信憑性は高いと思っています。裏付け取材の結果、この娘さんの所有マンションと脱会説得者の自宅とは歩いて行き来できる距離にあることがわかりました。しかし、静岡県に住む父親に質問する勇気はなく、やめました。
この娘さんは12年間監禁された後藤徹さんや、荻窪のマンションに監禁されていた小出浩久さん(「拉致監禁をなくす会」代表)の説得にも出向いています。また、娘さんの前の賃貸マンションは後藤さんが監禁された荻窪のマンションから歩いて1、2分のところにあったこともわかりました。
年齢はそろそろ50歳。父親のため息が想像できます。
以前、「YURI」さんは一筆一論を楽しみにしていると書いていただいたと記憶しています。次回は一筆一論です。また感想をお寄せください。
大和櫻さんへ
「日本において新聞は必ずしも叡知や良心を代表しない。むしろ、流行を代表する」(松下幸之助)
これだったら、意味がわかります。松下さんの意見に同感します。新聞記者ではありませんが、私も自省自戒いたします。
あっ、それと「YURI」さん。次回からタイトルに何か入れてもらうと、画面がアップしたときに読みやすいです。ご検討を。
了解ですo(^-^)o
監禁はすべてを破壊する
聖人からの警鐘
大切なこと
『たしかなこと』by小田和正
小細工?
コラムが『弁連通信』に載った後の話である。
『我らの不快な隣人』を書くにあたって、あらためて山口広弁護士に犯罪の教えを請うた。
彼がコラムで書いた犯罪は、「恐喝事件、薬事法違反事件、マイクロ過労運転の死亡事故、古参の信者大貫の殺人事件、韓国人夫が日本人妻を殺した事件など」であった。
山口氏は、恐喝事件(83年)とマイクロ過労運転の死亡事故(88年)の判決文をファックスで送ってくれた。
しかし、山口コラムによれば、2件以外にも統一教会員は数々の犯罪をおかしている。
山口氏に再度、丁寧に、お願いした。
「事件は2つだけではないでしょ。忙しいかもしれないけど、すべて送って欲しい。無知ゆえに知りたいんだから」
山口氏曰く。「もう勘弁してよ」
しばし、開いた口は塞がらなかった。
あれほど私の無知を指摘し、統一教会身びいきライターという印象を与えたコラムを書きながら・・。
こう解釈するしかなかった。
2つ以外の事件は、教団とは関係なく信者個人の刑事事件。個人の前科を公開することは違法とされている。それゆえ、「勘弁して」ではないか。
ちなみに、判例に従うと、「古参信者大貫の殺人事件」と個人名をあげて書くこと自体、問題となる。
キリスト教会において牧師の犯罪事件(とりわけ性犯罪)は少なくない。
だからといって、親はキリスト教信者になった子どもを脱会させようとはしない。
数々の犯罪は、キリスト教組織とは関係なく個人の犯罪と認識しているからだ。
注 最近、脱会説得牧師と同じ“正統派”プロテスタントに所属する「国際福音キリスト教会」(宗教法人・小牧者訓練会)の牧師が猥褻行為を行なっていたことが暴露されつつある。
ともあれ、わが脱会説得に携わるキリスト教の牧師は、統一教会員個人の犯罪と組織的犯罪とをゴッチャにして、信者家族に説明する。
「統一教会は犯罪者集団だ。いずれ犯罪の加害者になる。子どもを脱会させるには保護説得しかない」
タチの悪いプロパガンダである。
いや、そんな生やさしい評価ではすまない。拉致監禁によって、心的外傷に苦しみ、社会復帰ができなくなった元信者がいるのだから、犯罪的トークとさえ言ってもいい。
今から30年近く前の恐喝事件(青森事件)は個人の犯罪だが、統一教会の悪質商法に絡む事件ゆえに教団の責任が問われてもいい事件だと思う。
山口コラムが問題なのは、この事件と教団とはまるで関係のない個人の事件とを、意図的にゴッチャにして、統一教会は数々の犯罪をおかしているような印象を与えていることだ。
古参の信者大貫の殺人事件。韓国人夫が日本人妻を殺した事件。どんな事件かわからなくても、信者家族が読めば、わが子を拉致監禁してでも脱会させようと考えてしまうのではないか。
わが“人権派弁護士”の文章もタチが悪いプロパガンダだ。
いや、文章上レベルの話ではない。
山口弁護士たちは今利裁判で、清水与志雄牧師と黒鳥栄牧師と委任契約を交わし代理人となった。
その2人の牧師が宿谷麻子氏たちに重篤な心的外傷を与えた。そのことをルポで読んで知ったのにもかかわらず、コラムでは一語足りとも言及しない。これも「小細工」の一つである。
弁護士バッジを返上して、反統一教会組織の献身者になったらどうかと、皮肉の一つでも言いたくなる。
<追記>
このところ(08年年秋以降)、統一教会員が経営する販売会社が相次いで摘発されている。大阪では薬事法違反、新潟や東京などでは特定商取引法違反(畏怖・困惑、不備書面の交付)の容疑である。いずれの事件も有罪となり罰金刑が下されている。
しかしながら、ルポが載った『現代』は04年11月号、『我らの不快な隣人』が発売になったのは08年7月。前者を執筆した段階で刑事事件になったのは83年の恐喝事件と88年のマイクロバス過労運転事件の2つだけ。後者の08年夏までの段階ではこの2つの事件に加え、「SHINZEN」の会員の男性を住居不法侵入の疑いで逮捕、書類送検するという事件があっただけである(その後、不起訴)。
実際、『治安フォーラム』(08年8月号)では、警察官が「反社会的活動を続ける統一教会の実像」と題して、次のように明記している。
「霊感商法や献金を巡る事案では、統一教会に対し損害賠償を求める民事訴訟が多数あったようだが、刑事事件として話題に上ることは少なかった」
このあと住居不法侵入事件に言及しているが、霊感商法があれほど騒がれていたにもかかわらず、刑事事件として話題に上ることは少なく、小細工1で述べたように、検挙されたのは一件もなかった。
<この項は『我らの不快な隣人』232?233、381頁の注1を詳述しました>
弁護士山口氏のコラムを評す(10)「倫理を疑う(上)」へ
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