「瀬戸際に立つ統一教会」??米本和広 

「瀬戸際に立つ統一教会」(4)

宗教と事件・カバー



? 消滅の危機に瀕する日本の統一教会

統一教会の「コンプライアンス」

 それぞれの事件は渋谷の「新世」以外、法廷が開かれることなく略式起訴による罰金刑で終わった。いま現在(7月1日)の焦点は、印鑑販売会社「新世」の特定商取引法違反事件が統一教会の組織的犯罪にまで発展していくかどうかにある。それとの関連で、統一、反統一を問わず、訝しく思われているのは、経済事件にもかかわらず、国家への犯罪を取り締まる公安がなぜ捜査に乗り出したのかということである。

いろんな説が流れているが、情報筋が教えてくれた。

「統一教会内部で、最近、盛んに『天平和王国軍』とか『世界平和世界王国』、『平和王国警察』といった言葉が使われている。別に秘密でもなく、信者が訓読会で使うテキスト『天宙平和の王のメッセージ』(光言社)でもときおり出てくる言葉だ。これを公安警察は国家の転覆を図ろうとしているのではないかと疑った。サリン散布を防ぐことができなかったオウムの二の舞になっては困る。それで経済事件にひっかけて家宅捜索をしたわけだ」

今になって考えると、この指摘のほかに、公安の予算獲得が背景にあったと思われる。なぜなら、その後の経済事件でも、県によっては公安警察が捜査に乗り出しているからだ。

 これが事実なら、天一国などの特殊用語は宗教上の観念用語にすぎないから、捜査は大山鳴動して鼠一匹に終わる。もっとも鼠一匹(経済事件)がどこまで発展するかは別問題だが。

 事件が発展しようがしまいが、90年以降に顕著になった「高額&エンドレス」献金がこのまま続けば、早番自壊するのは目に見えている。自分の足(信者)を食べて生き長らえている蛸(統一教会)は、いつかは死んでしまうのは子どもでもわかる話だ。

 日本の統一教会は存亡の危機にあるといっていい。

 一連の事件を契機に、今年の3月、日本・統一教会の会長徳野英治が教会員に新方針を示した。

 これまでの統一教会を知る者にとっては驚くべく内容である。すなわち、印鑑や風水など霊が絡む物品販売を禁止するとともに、「家系図等を用い、先祖の因縁ないし先祖解放等を理由に(した)献金」の禁止、ビデオセンターに勧誘する場合は統一教会の名前を明示すること。さらに「霊能力に長けていると言われる人物をして、その霊能力を用いた献金の奨励・勧誘行為をさせない」。これまで社会から批判されてきた問題点の一掃宣言である。

 宗教団体に馴染みにくい「コンプライアンス」(法令遵守)という用語まで使用している。その徹底のため、それまで献金返還訴訟などを担当していた法務部を法務局に昇格させ、違反行為が行われていないか目を光らせるようになった。これは警察を意識した通達文に過ぎないのではないかと穿ったが、それだけでないようである。

 なぜなら、この通達文の背景には、教会員から救世主と畏敬される文鮮明の「怒り」があったからだ。以下は韓国の統一教会員から聞いた話である。


改革と献金の絶対矛盾

 08年の11月、新潟で統一教会系企業の社員が逮捕された。

 救世主・文鮮明には俗世のゴタゴタを報告しないのが通例になっている。しかし、83年の「青森事件」以来の教会員逮捕である。報告しないわけにはいかないと判断したのだろう。日本担当の側近が正直に報告した。そうしたところ、文鮮明が激怒したというのである。おそらく、それまで文鮮明には何の問題もなく日本の信者は喜んで万物復帰に励んでいるという報告しかされていなかったのだろう。

 通達文の次の一項目は、文鮮明の怒りを背景にしたものだろう。思わず、目を疑った。

「教会員への献金の奨励・勧誘行為はあくまでも教会員本人の信仰に基づく自主性及び自由意思を尊重し、教会員の経済状態に比して過度な献金とならないよう配慮する」

 私が「もろもろの問題点の根っことしたところ」(高額&エンドレス献金)にメスを入れたのである。

 統一教会が本気で建て直しに乗り出したとみていいのは、企業分野の後継者となった文鮮明の四男、ハーバード大卒の文国進(ムン・クッチン)が今年の2月に日本担当になったことだ。

 彼は韓国の統一教会系企業の責任者になってから、各企業の役員に民間人を入れ、横領をくりかえしてきた腐敗幹部を一掃し、教会員役員をクビにするなど大胆なリストラを実施。それによって万年赤字だった朝鮮人参の一和を黒字に転換させるなど、統一教会系企業を軒並み再生させた。
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写真はソウル市にある、統一教会の企業群を統括する維持財団の建物。画像をクリックすれは大きくなります

 このことは、日本の信者の莫大な献金の使い道と密接に関係する話である。

 莫大な献金はアメリカにある「世界宣教本部」に送金され、そこから世界各国の統一教会に流れるが、圧倒的に多いのは韓国である。韓国での使い道は、韓国・統一教会関連の施設費(土地購入、建設費)、新規の事業投資と赤字補てんである。

 国進の改革によって、少なくとも、赤字補てんに日本からの献金をあてる必要がなくなった。といっても、国進が日本担当になったり、通達文が出たからといって、統一教会が再生するわけではない。一番の大きな壁は、日本・統一教会に課せられる献金要請は変わらず続いているということだ。つまり、「過度な献金にならないように配慮せよ」と言いながら、一方では「過度な献金」をしなければならないという絶対矛盾である。



破綻かそれとも・・・

 こうした矛盾が生じるのは、いまだ文鮮明が裸の王様状態になっている点にある。国進がどこまで日本の信者の疲弊ぶりを把握しているかどうかわからないが、仮に知っていたとしても文鮮明には報告されていないだろうという。国進にとって文鮮明は父親だが、一方ではメシアでもある。教会幹部によれば、神的存在の人に「日本からの献金はもう限界です」という世俗のことは話せないのではないかというのだ。

 日本の統一教会信者が韓国をはじめ世界の統一教会を支えることをやめ、世界の信者が聖書にある「(収入の)10分の1献金」をすれば、矛盾はたちどころに解決する。小学生の算数レベルの話だが、これが通用しなければどんなに改革が叫ばれようが、統一教会はまちがいなく破綻する。

 絶対的矛盾が仮に解決したとしても、さらに大きな壁が立ちはだかっている。それは、82年以降、正体を隠しての勧誘、物品販売、高額な献金という以外に、組織としての活動を行ってこなかったということにある。極端に言えば、日本の統一教会から正体を隠した勧誘と物品販売・献金を引けば、空っぽなのである。新しい信仰の活動をどう創り出していくのか。

 それと同時に、正体隠しの勧誘を長く続けてきたため、組織がすっかり秘密的、閉鎖的体質になってしまったことだ。公安が国家転覆を狙っているのではないかと疑うことになった要因でもある。「得体の知れない不気味な集団」という世間のイメージを払拭するのは容易なことではない。

 ところで、冒頭に書いたもう一方の事件の系譜はどうなっているのか。

 より顕著なのは大学の動きである。いくつかの国立大学の教員がここ数年、信者になったと見られる学生の親に連絡し、強制説得を得意とする牧師を紹介している。それによって、信者学生は拉致監禁され、監禁下で説得を受けている。大学のカルト対策の中心を担う北海道大学教授の櫻井義秀は平然と「場合によって『保護説得』を私は容認する」と語っている。「保護説得」とは前述したように「拉致監禁」と同義語である。

 統一教会が絶対矛盾を解決できるかどうか、後藤の告訴事件でもわかる通り、行きすぎた反統一の脱会活動に歯止めがかかるかどうか。今後の「統一教会と事件」の行方も、このふたつのことが軸になって進むだろう。

(註)09年7月13日、日本統一教会の会長、徳野英治が記者会見を開き、「社会をお騒がせした道義的責任を取って辞任する」と発表した。突然の辞任は、「南東京教区長を逮捕しない代わりに、会長は辞任し、二度と事件を起こさせないという条件で公安と取引したからだ」(教会関係者)という。



?完?





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前回と同じ、沢庵禅師庵(春雨庵)の庭にあった石像。人と人との関係は常にこのようなものでありたいものである。
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コメント

お久しぶりです

こんにちは。

面白い記事がたくさんありました。
後継問題とか文さんの病気のこととか。

どっちにせよ統一教会は解散すればいいと思っているので(笑


とりあえずブログは拝読しました、という御報告だけ。

ちゃび改めちゃぴちゃぴにします

お久しぶりです。
そのとおりですね。日本の信者から高額献金、万物復帰の強要が酷すぎます。世界の信者から十分の一からとればいいですね。
韓国の統一教会様、どうかお願いします。
 もう忘れているかもしれませんが、カウンセリングには通っているのでご安心ください。

霊感商法だけでなく銃も

文国進氏が銃器会社KAHRを経営してるんですね。
しかも再婚されてますね。真のお父様が選んだ嫁さんとは離婚し、出来ちゃった婚でお子様もいるのですね。
宗教家というより経営者という感じですね。

確かにその通りでした

怒りにかまけて書き込んだことは謝罪します。
文国進氏ですが、自分で愛した人を見つけて結婚したことはあえて評価します。

現役さんでも心を酷使して、しんどい思いをしてたりしているのではないですか?
カウンセリングを受けてみませんか?

ちゃびちゃびさんへ

 素直に謝罪していただき、うれしかったです。

 現役信者でも元信者でも、心の悩みをもっている方は、ヤマギシ会やエホバの証人ほどではないでしょうが、かなりいらっしゃると思います。

 問題なのは、心の悩みをなんでも自由に話せる場がないということだと思います。この点、日本は後進国です。

 ところで、カウンセラーの絶対条件は、自分の意見を言わないことです。

 この点で、ちゃびちゃびさんが推薦?されている戸田京子さんにはひっかかるものがあります。
 まず、彼女は元統一教会員であること、そしてやめた経緯(自分でやめたのか、強制説得されてか)を明らかにしていないことです。(きちんと調べたわけではありません)

 たとえば、現役信者さんが彼女のところに相談にいき、「統一教会をやめたほうがいいでしょうか」と質問する。プロのカウンセラーなら、「さあ、どうなんでしょうかねえ。あなたの気持ちは?」と、心の整理整頓させることに心を砕くでしょう。決して「そうしなさいよ」とは言いません。

 元教会員である戸田さんが「そのまま教会員を続ける道だってありますよ」と、生き方の選択肢を広げるような、幅広いカウンセリングができるかどうか。

 心の悩みが、睡眠障害、アディクション、感情のコントロールが制御できないなどの症状になって表れるのであれば、精神分析を専門とする心療内科のドクターのほうがいいと思っています。
 しかし、私はあまり知らないし、ドクターの数も限られているでしょう。

 いらぬことか書き続けてきました。また投稿をよろしくお願いいたします。
 

カウンセリング

私はキリスト教になじみがあればヨシュアさんでもいいかなと思っています。
私は仏教文化に近い人なので、合わないかもと判断しました。
元信者の経歴がある人のほうが気持ちをわかってくれるのではと思ったのです。
といいつつ、私は近場の一般的なカウンセリングを受けていますが・・・
心の悩みが、睡眠障害、アディクション、感情のコントロールが制御できない信者もいるのでしょうね
私がもしツーデイズに行っていたらそうなっていたかも。

また信者さん達はこの酷暑の中、睡眠不足で活動を強制されているとなると、健康さえも崩す人もいるではないでしょうか。
騙されたとはいえ気の毒です。

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