親子の仲を切り裂くのは誰か(1) 

“救出カウンセラー”の素顔(9)

 これから数回にわたって、韓国から送信していただいたKHさん(44)の手記を掲載します。不明なところは電話で確認し、また手記に書かれていないことも、お伺いしました。それらは(注)に反映させることにします。ごく一部ですが、読みやすいように手を加えました。

KHさん(ソウル在住)の監禁体験記(1)

1・実家に連れ戻される
2・最初の監禁
3・2度目の監禁
4・中村牧師の誹謗中傷と平田弁護士の違法行為
5・脱出
6・夢に出てくる故郷


今回は青印の部分をアップします。

 私は強制棄教のための監禁を2回体験した。1度目は、1988年12月8日から1989年1月27日までの約50日間で、2度目は、1992年9月7日から12月25日までの110日間である。
 関与したのは佐賀の中村牧師福岡弁護士会の平田広志弁護士(<「全国霊感商法対策弁護士会」所属)である。(注1)

1・実家に連れ戻される

 私は浮気や離婚などのない統一教会の教理に基いた真の愛で幸せな家庭、社会を築きたいと思っていた。
 私の姉たちも貞操を守らない夫に心を痛めていたし、妻子ある男性と不倫の愛に走った友達もいたし、職場の男性たちは"浮気は男たちの甲斐性さ"とあっけらかんと言う姿を見ながら、私自身、ただ一人の人に心を尽くしていけるんだろうか、と思っていた頃、統一教会を知った。(注2)

 学生時代、倫理社会、世界史など学ぶ中、神がいるなら、なぜ万民が救われず、選民思想を持つイスラエル民族だけが救われるなんて疑問だったし、なぜ歴史は繰り返されるのかも不思議だった。
 キリスト教系の学校でもないのに、聖書を一人一冊ずつ頂いたことがあり、何度か開いたことはあったが、神が本当に存在するのか、聖書は一体何を言いたいのか、イエス様の価値もつかむことができず、結局宗教は老人や心の弱い人が信じるものだという偏見さえ持っていた。

 しかし、統一教会の神観、罪観、歴史観、また、メシア観は、初めて心に響き納得できた内容だったし、最近出た自叙伝を読めば明らかだが、この教理を明らかにされた文鮮明先生の生涯に深い感銘を受けた。

 22歳のとき、教会のセミナーに参加して4日後、姉の夫が九州から突然、愛知県の私の勤務先まで訪ねて来た。1988年12月8日のことである。(注3)

 義兄が私の上司に、私が統一教会のセミナーに参加し、家族として放っておけないから九州の実家に連れて行き、離教のため話し合いたいと、3時間ほど会議室で説得したそうだ。このことは、後で聞いた。

 上司は、会社のことは心配しなくていいから家に帰って、ご両親とよく話し合いなさいという。私は「帰りたくない」と言った。だが、半強制的な雰囲気の中、そのときはまさか監禁されるようになるとは想像だにしなかったし、とりあえずのものだけ持って上司が運転する車で義兄と共に空港まで向かった。

 急に迫ってくる大きな暗闇に引き込まれるような不安を感じながらも、「両親が待っていらっしゃるから」(義兄)との言葉にしぶしぶそうせざるを得なかった。 


 実家に着くと、母はこう話した。

「最初は、どの宗教も、人が人らしく生きていけるための道しるべであって、宗教に悪いものはないと思っていたから、あんたがいいと思って信じた宗教なら、あんたを信じようって言ったんだよ。だけど、あんたのお義兄さんが他の宗教は問題ないが、統一教会だけは普通じゃない。本当に恐ろしいところだからその本質を知らないといけない、愛知まで行って連れて来るというから、そんなに怖いところなら、勉強しないといけないと思っているところだ」


 お義兄さんは笑いながら「うちの家族はみんな馬鹿がつくぐらい人が善くて正直者ばかりだ。でも世間には悪い団体も悪い人もどれだけ多いかわからない。これから一緒に勉強しましょう」と言った。

 家族は「原理講論はどんな内容なの?」と聞いてきたが、私が何を話しても批判するだけ。「この雑誌も読んでみなさい」と、週刊朝日、統一教会を憂慮する父母の会の出版物、浅見教授らのものばかりを渡された。"淫教のメシア""血分け教"などの本もあった。
 
 もともと、私たち親子の情関係は良く、祖父もそうだったが、両親はいつも家族や地域のために身を粉にして働き、そのような祖父も両親も私は心から尊敬し感謝していたし、子供も多く余裕のある家庭ではなかったが、温かい愛情が通い合う家族だったし、お互いに信頼しあっている心のつながりがあった。(注4)

 しかし、私がどんなに何を言っても聞いてもくれず、信じてもくれず、その批判的な雑誌、書籍などが全部無条件正しいとみなし、明らかに家族以外の誰かの指示に従い、一方的に教会の批判的な内容だけを信じていく様子に、受けた心の衝撃はとても言葉では言い尽くせない。
 
 実家に着いて三日目ぐらいして、「これから勉強会をするんだから、お前が働いていた会社は辞めないといけないよ」とのことで、私の意志とは関係なく4年9ヶ月勤めた会社は半強制的に退職させられた。

(注1)佐賀の中村牧師とは、唐津市にある「唐津聖書教会」の中村勝彦牧師のこと。中村氏が強制説得しようとした別の例は「逆境を越えて得た親子の絆」に載っている。文中、「唐津聖徒教会」とあるのは誤りである。

(注2) この結婚観に、信者家族は留意して欲しい。歪な性の横行に嫌悪し、結婚に純粋性を求める教会員は少なくない。
 具体的な事例は、宗教社会学者の中西尋子氏の「『地上天国』建設のための結婚?ある新宗教教団における集団結婚式参加者への聞き取り調査から」(『宗教と社会』第10号に所収)に書かれている。
 中西氏のこの論文をめぐるゴタゴタは、『我らの不快な隣人』の314頁に書いた。ゴタゴタの元は紀藤正樹弁護士である。

(注3)KHさんの勤務先は、トヨタ系列の自動車会社。彼女はここで事務の仕事をしていた。

(注4) 生家はみかん農家。農業のかたわら漁業もやっていた。KHさんは6人姉妹の5女。子どもの頃は祖父母、両親、6人姉妹の10人で暮らしていた。

 

 艶やかな西洋ポピーと可憐な日本のポピー。どちらがお好きですか。画像をクリックすると拡大します。
 
     
関連記事

コメント

他の人の手記を読むと自分の体験と重なってつらくなりますが、最後に花の写真を貼り付けてくださっているのはもしかしてそういった事への米本さんの配慮でしょうか?最後に花の写真を見ると心がふっと癒されてなごむ様な気がします。

なかよしさんへ

 花の写真を愛でてくれて、うれしいです。
 読者のためというより、出口のない暗くて哀しい話を書いていると、つい草花に目がいくようになりました。

「監禁部屋だけで大きな顔」に書いてあった、監禁部屋の冷蔵庫にすでにビールが用意されていたという話、初耳であったため、少々驚きました。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://yonemoto.blog63.fc2.com/tb.php/169-0c44a0a1