親は子どもに謝罪すべきか否か?PTSDについて考える(4) 

保護説得と親子関係(4) 依存

親は子どもに謝罪すべきか否か(4)


 ブログのタイトルにあるTSDPost Traumtic Stress Disorder)を、『PTSDとトラウマのすべてがわかる本』(以下、すべてがわかる本と表記)を引用しながら、説明することにする。

「トラウマの被害として、一般によく知られているのは、PTSDでしょう。災害や事件などにあって、その体験がトラウマとなり、生活に支障が出ている状態を指します。
 ただ、こうした基礎知識は普及しているのですが、PTSDが体験後一カ月以上経過して、はじめて診断されるということは、あまり広く知られていないようです。
 テレビや新聞で『災害の直後にPTSDになった』と報道されることがありますが、これは誤りです。PTSDはトラウマ反応が消えず苦しむことです」
(16頁) 


 
 この記述は、外傷を考えるとわかりやすいと思う。
 外傷の場合、傷の長さ、深さ、出血量などによって、傷の程度は理解できる。
 子どもが転んで擦り傷を負った場合と、誰かにナイフで切られた場合とでは、見ただけで傷の程度がわかり、親はそれに合わせて適切な処置を取る。

 擦り傷程度なら家で消毒液をつけて終わりだが、ナイフで切られた場合は外科医に縫合手術をしてもらう。しかし、たとえ擦り傷であっても、出血していたら何らかの手当てをしなければ膿んでしまい、それさえも放置しておけば細胞組織が壊死することになりかねない。

 心的外傷も外傷と同じで、傷が浅ければ治りは早いが、深ければ長引くということだ。

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 このように書けば誰でも理解できると思うが、心的外傷の場合、血が流れたり骨折したりなどの外傷と違って、外から見ても症状はわからない。それゆえ、現実感をもって理解するのは難しい。

 外傷の程度がひどく、PTSDになった場合、どんな症状になるのか。

(1)現実感を失って苦しむ?トラウマ体験をすると、そのショックで考え方がネガティブになったり、価値観が変わったりして、以前の自分との違いに苦しむ。
 これについては拙著で述べていないが、別掲のリンク「夜桜餡」の日記の部分を読んでもらえば、日常生活のほとんどがネガティブになっていることが理解できる。
 すべてがわかる本で例としてあげられているのは、、「がんばってもよいことはない」「いざとなったら家族も友人も冷たい」「家から出たくない」などだ。

(2)つらい体験を思い出したり、夢にみたりする?再体験という症状である。
 悪夢に苦しむのは監禁体験者に共通して見られる症状である。
 たかだか夢かと軽く考える人もいるだろうけど、衝撃的な体験を再体験するのだから、辛いし、金縛りにあったりもする。そのため、睡眠も不十分になってしまう。(拙著『我らの不快な隣人』の第6章参照)

(3)フラッシュバックに悩まされ、生活が困難になる。
 この症状の特徴は、なにかのきっかけで、思い出したくないのに、心的外傷体験が蘇ってしまう症状である。PTSDの中でも、一番、辛い症状である。
 たとえば、ふつうに仕事をしているときに、なにかの音や臭いなどで、突然、戦闘場面やレイプされている恐怖の場面が蘇ってくる。そうなると、仕事を続けるのは困難になる。
 リアルな追体験でなくとも、監禁中の重苦しい気分、閉塞感、家族が話した一番嫌だった言葉などが蘇ってくると、鬱々とした気分が長く続き、それまでやっていたことを続けることができなくなってしまう。監禁体験者にほぼ共通する症状である。(拙著の第6章と第7章、サイト「夜桜餡」の日記を参照)

(4)心的外傷体験が蘇るような状況を避けるという回避。また蘇りそうなときには感覚を麻痺させるという症状。
 これは、宿谷麻子さんが経験したことだが、元信者同士で遊びに出かけたとき、話題が保護説得の話になると、その輪から抜け出てしまう元女性信者(NHK職員の娘さん)がいた。これが回避と呼ばれる症状である。
 事件のことが話題になり、それを聞いていると、あのときの監禁体験が蘇り、再体験を味わうことになってしまう。そうなることを避けるために、寡黙になるか、話題をそらしてしまう。一種の防御反応である。

(5)つねに緊張していて、物音や接触を怖がる過覚醒
 最近では少なくなったようだが、宿谷麻子さんがもっとも苦しめられた症状のひとつである。
 すべてがわかる本では「一度、つらい出来事にみまわれると、神経が過敏になって、ちょっとしたことにも過敏に反応してしまうようになります。この過覚醒も、トラウマの影響です」と説明されている。
 過覚醒になると、顔がこわばり、頬や手先が痙攣したりするため、注意深く観察すれば、外から見てもわかる場合がある。(拙著の第6章を参照)

(6)解離
 これは前回詳述したので、繰り返さない。すべての本では、、「トラウマ反応には、言動に表立った変化が出ないものもあります。感情表現が少なくなり、悲しみや苦しみを感じているようにみえない解離症状です」と説明されている。
 感情を遮断する解離状態になると、殴られても痛みを感じないことがある。拙著『カルトの子』の「エホバの証人の2世」と「ヤマギシの子」に見られた症状で、両親から虐待を受けている児童(児童虐待)も痛みを感じていないように思われる。

(7)身体症状?不眠・息切れ・集中力の低下・不安による手足のふるえ・激しい動悸・過呼吸症状。
 拙著の第6章・7章・10章を参照。

(8)PTSDの併発症状a?うつ病・不安障害
「トラウマはPTSDだけではなく、うつ病や不安障害など、ほかの心の病気の原因にもなります。それらの病気が併発することもあります」((76頁)
 うつ病は気分障害のひとつで、なにをするにもやる気が起きなくなくなる・食事や睡眠も不安定になって、生活がままならなくなる。
 症状は「2週間以上ずっと気分がふさいでいる。仕事や家事、勉強が手につかない」。
 不安障害は、強い不安をかかえて、生活が乱れる。社会への不安、密室への不安など、不安の対象は人それぞれ違う。
 症状は「人との対話や交流が不安で外出できない。電車内でパニックを起こすため出勤できない」。

 宿谷麻子さんのサイト「夜桜餡」の日記を読めば、どんな症状か具体的に理解できます。




(9)PTSDの併発症状b?依存
「トラウマと関連の深い心の病気にもうひとつ、依存症があります。依存は心身に悪影響をおよぼし、PTSDの経過を悪化させるため、注意が必要です」(78頁)

 統一教会から保護説得によって脱会した人たちは、牧師など脱会説得者に依存する傾向がある。
 神戸真教会の高澤守氏をはじめとする原理主義的なキリスト教(福音系)の牧師は、この依存傾向を背景に、脱会を表明した元信者に“本物のキリスト教”を教え込み(改宗)、自分の教会の信徒にしてきた。日本基督教団は「改宗」に反対の立場を取っているが、川崎経子氏など例外牧師はいる。

 また、良からぬ脱会説得者はこの傾向を利用して、元女性信者と不適切な男女関係を結んでいる。当人は「俺は慕われているのだ」と錯覚しているようだが、慕われているのではなくたんに依存されているだけだろう。(拙著第9章)

 最近の話である。
 所在不明になっていた統一教会・足立教会のKさんの監禁場所が荻窪のマンション(西央マンション301号室)であることを突き止め、Kさんの仲間がドアをノックした。
 すると、後藤徹さんの12年間の監禁事件に関わった(株)タップ社長の宮村峻氏が元信者とおぼしき女性とともに顔を出し、「Kなんて、ここにはいないよ」と語った。
 これによって、Kさんを監禁下で説得しているのは、現在、刑事告訴され、東京地検に送致されている宮村峻氏である可能性が高まったが、それはともかく、宮村氏はけたたましい笑い声をあげながら、隣の女性の肩に手を回し、「この女性は愛人だよ」と語ったという。
 なぜ、そんなことを教会員に話したのか、また元女性信者がなぜその言葉を受け入れたのかはわからないが、愛人かどうかはともかく不適切な関係という誹りは免れないだろう。(注)

 話を戻す。
 脱会説得者たちは、元信者の依存傾向を「これまで信じていたものがなくなり、心に空洞ができるので、なにかにすがりつきたくなる」(以下、心の空洞論)と解釈してきた。
 理論的に考えれば、またA宗教からB宗教へと渡り歩く宗教渡り鳥の存在を想起すれば、「心の空洞論」を否定することはできない。

 しかし、こと保護(拉致監禁)説得によって脱会した元信者の依存傾向は、トラウマによる依存症の可能性のほうが高い。
 ところが、一部の脱会説得者たちは無知ゆえだろう、トラウマによる依存症のことを知らず、「心の空洞論」によって、依存されるままにしてきた。
 その典型は、戸塚教会の牧師、黒鳥栄カウンセラーである。拙著の第6章と7章で詳述したが、脱会後、監禁下で説得をした宿谷麻子さん、中島裕美さんの依存をそのまま積極的に受け入れてきた。依存されることが快感の如く。

「依存は心身に悪影響をおよぼし、PTSDの経過を悪化させるため、注意が必要です」

 実際、2人の女性の症状は重くなっていく一方だった。


 アダルトチルドレンの言葉さえ知らなかった、精神医学にも心理学にも無知としかいいようのない黒鳥氏に言いたい。全国統一協会被害者家族の会で、信者家族の相談を受けるのはいい。しかし、カウンセラーを名乗るのだけはやめてもらいたい。
 紹介責任が問われる会の運営者も、黒鳥氏をカウンセラー扱いにはすべきではない。


 説明が箇条書きのようになってしまったが、おおよその症状は理解されたと思う。
 もちろん、PTSDと診断された人に、これらの症状すべてが生じるわけではない。
 だが、なにかのきっかけで前述したような症状のどれかが生じ、精神的に苦しい状況が長く続いたりするようなことがあれば、PTSDを疑い、心療内科(できればトラウマティック・ストレスを専門にしているところ)を受診したほうがいいと思う。受診にあたっては、症状と、原因と考えられる監禁の事実をきちんと述べないと、誤診される可能性がある。

(注) テーマからそれるが、宮村峻氏のことを書いておく。
 宮村氏がKさんの脱会説得に関わっている可能性があると聞いて、衝撃を受けるほどに驚いた。なぜなら、文中に書いたように、彼は東京地検の処分待ちの状態にあったからだ。
 そんなときにまた監禁下で脱会説得していることが発覚すれば、処分が重くなるのは目に見えている。

 たいした度胸だと思ったが、よく考えてみると、宮村氏は抜き差しならぬ状況に置かれているのだ。
 どういうことか。
 後藤徹さんが刑事告訴したのは昨年08年の春。
 そのことを最初に報じた『我らの不快な隣人』が出版されたのは08年の7月。
 ところが、Kさんの仲間に事情を聞くと、Kさんが突然行方不明になったのは08年の1月頃だという。

 つまり、Kさんの監禁に宮村氏が関わっているとすれば、関わった時期は刑事告訴以前からということになる。
 後藤さんの刑事告訴に驚き、Kさんを解放すれば、宮村氏はまた刑事告訴される可能性も出てくる。
 そんなわけだから、宮村氏としては何としてでも、Kさんを脱会させなければならないのだ。

 宮村氏にとってやっかいなのは、偽装脱会である。彼はこれまで何度か偽装脱会を見抜けなかったことがある。そのため、『脱会屋のすべて』『人さらいからの脱出』という2冊の本で、宮村氏の正体が暴露され、批判された。
 今回、Kさんが脱会の意思を表明したとしても、もし偽装脱会後、刑事告訴されたら、本を書かれるどころではなく、最悪の場合、懲役刑で刑務所行きだ。

 実は、数カ月前にKさんから足立教会に脱会届が郵送されてきたという。それにもかかわらず、いまだ監禁場所から出てこないのは、偽装脱会を疑っているのだろう。
 偽装か本物かを見分けるのは容易ではない。人の心の中を覗くことなど誰もできないからだ。
 では、どうやって見分けるか。
 これまてやられてきた手口は、統一教会では御法度の酒や煙草を勧め、それに応じるかどうかをリトマスにする。あるいは、手など身体を触って、反応を確かめるかもしれない。純潔を旨とする、とりわけ女性教会員にとって、男性から触られると、身体的に拒絶反応を示すからだ。

 Kさんが脱会するかどうかはともかく、脱会後、脱会説得者に依存するような姿だけは見たくないものだ。
 
 なんだか後味の悪い話である。白鷺を見て、心を清めることにする。



続く
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コメント

おぞましい

『アダルトチルドレンの言葉さえ知らなかった、精神医学にも心理学にも無知としかいいようのない黒鳥氏に言いたい。全国統一協会被害者家族の会で、信者家族の相談を受けるのはいい。しかし、カウンセラーを名乗るのだけはやめてもらいたい。
 紹介責任が問われる会の運営者も、黒鳥氏をカウンセラー扱いにはすべきではない。』米本さんの言うとおりです。

そして、なんと!

黒鳥は、リストカットすら意味がわからなかったのである!

カウンセラーはぜひとも辞めていただかねば、助かる命も助かるまい。

さらに、おぞましいのは宮村氏である。
人間として風上にも置けない男であると思う。

金持ちしか相手にしない、拝金主義者。

後藤氏の一件だけでも、十分に懲役刑に値すると思う。
しかし、逮捕監禁罪の最高刑は懲役7年である。
後藤氏の監禁12年5ヶ月を償うにはあまりにも短すぎる。
にも関わらず、刑事不起訴になるのであれば、狂気がまかり通る社会へと、我が国は埋没して行くだろう。

満足な食事も与えられず、流しの三角コーナーのゴミを食べ、それも見つかり、炊飯前の生米を食べて、餓えを凌いだ、と本人から直接聞き、ヒトラーの再臨か?とさえ思わされた。

宮村氏の監禁現場はまさに、アウシュビッツに相当する。

日本国民よ目を覚ませ。

目的は、PTSDでは。

記事を読んで。

結局、拉致監禁は、被害者の方々をPTSDの症状まで追い込み、その症状ゆえに、脱会するのでは。・・・
わたしは、そう感じました。

ひどすぎる。
  • [2009/12/07 11:59]
  • URL |
  • へのへのもへじ
  • [ 編集 ]
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心の傷

本来キリスト教の牧師は、魂の救済を行い 心が癒されたと言うか単純だけど、そうゆうイメージを私は持ちますが、拉致監禁を行い被害者の方々をPTSDに追い込み脱会に導く。魂の救済 ならぬ 精神的殺人者 特に拉致監禁強制改宗に携わる牧師はその傾向にあると私は、思います。

本当に狂ってるとしか思えません

そういえば黒鳥氏は私を監禁したときも「教会にくるまえに好きだったものをふんだんに与えて、教会に伝道される前の状態に戻す」ことを家族に指示してました。また私が聞きもしないのに私にあったとたん「お母さんは最初、あなたの保護のために私のところにきたんじゃないのよ。夫婦関係で悩みがあって、カウンセリングにこられてたの。云々」とプライドの高いうちの親なら死んでも口にしないだろう内容をくどくどと言い訳していたことを覚えています。
あんな幼稚で、人の人生を平気で踏み躙り、自分のことしか考えられない人のために、自分も10年以上苦しんできたのだと思うと、腹立たしいです。

親は親で監禁について「どうして、親のしたことがゆるせないんだ?」とか言ってくるし....いまだにコウかと疲れました。表面的に「家族ごっこ」ができたとしてもわが家の家族関係が正常になれるのはいつのことかと気が遠くなりました。どこからはじめたらいいですかね...。



そういえば父も監禁後はたいへんだったそうです。母の話を思い出す限りまさにPTSDの症状でした。今は回避しているのか、克服したのかわかりませんが、PTSDを患っていたことは、まずまちがいありません。

拉致監禁....本人ばかりか、周りのものたちまでおかしくさせる。こんなことを考え、実行する人たち、本当に狂ってるとしか思えません。

タルさんへ-ある心理的傾向の人

 初めての投稿、ありがとうございました。

 タルさんの話に触発されて、黒鳥氏のことをいろいろ思い出しました。
 彼女に監禁下で説得された人たちは、黒鳥氏から「あなたを統一教会から救出したい」といったことは一切言われていません。夫婦間に問題があるとか、親の子に対する態度に問題があるとか。そんな話ばかりです。

 夫婦間に問題があれば、戸塚教会でニコニコ夫婦講座、子に対する親の態度に問題があれば、やはりニコニコ親子関係講座を開けばいいだけのこと。

 親子問題、夫婦問題を解決したいのなら、あたりまえの話ですが、なにも子どもを監禁する必要はまったくありません。

 それなのに、戸塚教会で行われてきたのは、保護(拉致監禁)の勉強会でした。

 黒鳥氏がタルさんに「お母さんは最初、あなたの保護のために私のところにきたんじゃないのよ。夫婦関係で悩みがあって、カウンセリングにこられてたの」と話したという。黒鳥氏はそのとき、決して嘘をついたという意識はなかったはず。

 嘘をついたのだけど嘘をついたことを自覚していない。あるいは嘘をついても「そんなこと言っていないわよ」と本気本心でいう。こうした人たちのことを『平気で嘘をつく人』(草思社の本の題名)というのだそうです。
 欧米で10数年前から話題になっている人たちです。

 ちょうど、ダナ・フレンチの『悪意の森』(集英社文庫)を読んでいたのですが、ロザリンドという作中人物が平気で嘘をつく人という設定になっています。ロザリンドの嘘や演技に騙され、周囲は翻弄され、支配されていく・・。

 いずれ、「黒鳥論」を書いてみたいと思っています。

 黒鳥氏の話題があれば、ぜひ、ご提供を。

 もう一つのご指摘。父親のPTSDのこと。PTSDは事件・事故の当事者だけでなく、目撃者もPTSDになることはすでに学説になっています。監禁した人も、監禁された人と同じように、衝撃的な体験だったと感じている人はPTSDになっている可能性は十分あります。

 PTSDになっていなくても、思い出したくない、回避・麻痺させたくなる体験だったのは間違いないでしょう。

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