弁護士山口氏のコラムを評す(4)
山口コメント(4)
勝訴の裏側1
裏側 : 両面ある物の、普通は隠れて見えない方の側。文脈により、物事の背後にひそむ(意外に)醜悪な事情を指す(新明解国語辞典)
これまでのブログ記事(「弁護士山口氏のコラムを評す 牽強付会1?3」)は、山口広弁護士が「お粗末な論文」と評した私のルポ「書かされざる宗教監禁の恐怖と悲劇」が最高裁判事に影響を与えたこと、全国弁連(全国霊感商法対策被害弁士会)に所属する少なからぬ弁護士たちが「保護説得」と呼ばれる脱会方法の実態が「拉致監禁」であることを知っていたこと?を明らかにした。
これからの3回にわたる「勝訴の裏側」では、弁護士や牧師たちが「全面勝訴した!」と喧伝する、今利理絵氏が提訴した裁判の裏側の事情を書くことにする。
訴えられたのは、横浜市・戸塚教会の黒鳥栄牧師と、群馬県太田市・太田八幡教会の清水与志雄牧師(現在、埼玉県行田教会牧師)の2人の牧師だった。
横浜地裁で裁判が始まってから3年目の2002年4月11日のことである。
統一教会から脱会した高須美佐氏が、紀藤弁護士に呼ばれて、法律事務所を訪ねた。もう一人、女性脱会者が同行した。高須氏はルポに登場した女性の一人である。
紀藤氏が彼女に電話をかけてきたのは、高須氏が開設したwebサイト「みさちのひとり言」に関心をもったからのようだ。事務所の机には、ホームページをプリントアウトした紙の束が置かれていた。
清水与志雄牧師の強制説得を受けて脱会した2人は、口々に清水氏の暴力的なやり方を訴えた。
紀藤弁護士は、清水牧師が監禁下での脱会説得を行なっていたことは前から知っていた風で、取り立てて驚きはしなかった。
清水牧師の方法で脱会すればよし、統一教会に戻ってしまった信者から訴えられれば、その訴えは嘘と決めつけ、暴力はなかったことにする。
そんな考えを紀藤氏が抱いているような感じを受けた。
高須氏が「私が(家族や清水牧師を)訴えたら」と問い質した。
紀藤氏は「うーん」と黙ってしまったという。
この沈黙は興味深い。
“人権派弁護士”でなく、一般の弁護士なら、社会正義を実現する立場から「暴力はいかん。訴えたらいい」と即座に答えるところだろう。
なぜ、紀藤氏はそう答えることができなかったのか。
それは、横浜地裁でこんな主張をしていたからだ。
今利理絵氏、アントール美津子氏の立て続けの提訴は、統一教会が反統一教会陣営に打撃を与えるために組織的に、2人に指示して行なわれたもので、拉致監禁の事実などなかった......。
だから、統一教会を脱会し、統一教会に批判的になっている高須氏が訴えると、この主張は虚構となってしまう。そのため、沈黙せざるを得なかったのではないかと思う。
沈黙のあと、高須氏が畳みかけるように、質問した。
「清水牧師の暴力的なやり方を弁護・支持するのですか」
紀藤氏はしどろもどろになった。
「容認・・黙認・・いや・・しかし困ったなあ・・そう聞かれてしまうと・・何とも言えない」
後日、高須氏が横浜地裁に陳述書を提出した。
すると、紀藤氏は颯爽とした態度で、
このときのしどろもどろはなかったかの如く、
清水氏の暴力的なやり方を聞いておきながらそんなことはおくびにも出さずに、高須氏に電話で確認することもなく、
「高須氏の陳述書は本人ではなく統一教会が書いたものだ」
といった趣旨の発言をした。これが、裁判勝訴の裏側の一コマである。
紀藤弁護士と2人はカレーライスを一緒に食べ、友好的に別れている。
それなのに、今利氏の味方をすれば、「敵を利する者は敵だ」ということになってしまう。
これは、「社会正義を実現する弁護士」の姿勢とは無縁な、戦争の思考である。
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- 資料2 - 2004年 - 紀藤弁護士への質問項目(FAX全文) (2009/02/04)
- 資料1 - 2004年 - 月刊「現代」 書かれざる「宗教監禁」の恐怖と悲劇 (2009/02/03)
- [2009/02/09 00:28]
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コメント
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まぁ、ね…
匿名希望さんへ
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今後、投稿されるときにはハンドルネームをつけてください。よろしくお願いいたします。
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