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『棄教を目的とした拉致と拘束』(人権報告-6) 

資料(15) 

 今回の報告で注目してもらいたのは、ヨーロッパの人権意識の高い知識人が後藤事件をどのような感覚で受け止めたのかということ。検察審査会の議決文に関する分析は、私にとってはきわめて新鮮だった。

 もう1点は、中見出し<後藤徹氏の例に見る親子関係の文化論>の記述である。
 石崎教授の言葉を借りた説得力のある分析である。日本社会全体にも通じる記述だと思う。この分析を推し進めていけば、拉致監禁を是とする反統一教会活動家は全体主義的思考の持ち主ということになろう。
 といっても、 当人たちにはまるでピンとこないだろうが・・・
 搾取されている人民を解放するために自分たちは犠牲的精神で活動していたと、心底、信じ込んでいた(と思われる)スターリン・チャウシェスク・ホーネッカー・毛沢東たち。彼らがタイムマシンで現代に戻り、自分たちの歴史的評価(全体主義者)を知っても、ピンとこないのと同じように。

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『棄教を目的とした拉致と拘束』(人権報告-7) 

資料(16)

 今回アップする第3章は、これまで以上に長文である。
 最初から読んでいくと、辟易するはず。それは翻訳のせいではなく、私たちが欧米の人権に関する基礎的資料を目にしていないこと、また欧米、とりわけヨーロッパのグローバルな人権感覚に馴染みがないことに起因すると思われる。

 論考は、「国際法での枠組み」「関連した判例法」の2つで構成されている。
 後者は読者に馴染みやすい具体的な記述が多い。
 そこで、先に「関連した判例法」から読んだほうがいいと思う。アメリカ・ドイツ・フランス・スペイン・ロシアの具体的な判例事例を知った上で、「国際法での枠組み」を読めば、欧米と比較した上での日本の立ち位置がよく理解できるはずだ。 
   
 具体的事例にあげられているのは、「真の道」「主イエス・キリストの使徒」「サイエントロジー」「ハレ・クリシュナ運動」「統一教会」「アントイニズム」「エホバの証人」である。
 ヨーロッパでのディプログラミングについて日本語で書かれたのは、この論考が初めてだと思う。

 日本の裁判官、またリーガルプロフェッショナルで人権を強調する「全国霊感商法被害対策弁護士連絡会」に所属する弁護士たち、なかんずく「秘密めいた手紙」で懲戒請求を受けた渡辺博弁護士と彼の代理人約40人の弁護士のみなさん方が、この論考を読んでどう思われたのか。ぜひ、知りたいところである。

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『棄教を目的とした拉致と拘束』(人権報告-8-最終回) 

資料(17)

調査団から逃げた紀藤&山口(貴)弁護士!卑怯なり!

「国境なき人権」調査報告書


-日本/棄教を目的とした拉致と拘束-


論点の整理
はじめに

第1章:日本の宗教事情の概観
第2章:現地調査の報告
前文/拉致問題の監視の状況
拉致・拘束下での棄教説得(①~⑨)(⑩~⑬)後藤徹さんが失われた12年は何のためか?
第3章:強制棄教を目的とした拉致と拘束、国際法の立場

第4章:結語と勧告

* 文中の(注)は報告書に記載されたもの。は管理人の注釈。
* 改行は一字空けするなど、読みやすいように適宜、改行、行空けを行った。文中のゴチック、斜体字は原文のまま。
* ゴチックが今回アップしたところ。

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“ストーカー”裁判-オカシナ判決文(上) 

ストーカー事件の真相(13)

 再び、「ストーカー事件の真相」である。 
  宇佐美隆さんは、東京地裁の判決を不服として、東京高裁に控訴した。
 明日(19日)、その控訴審の第1回公判が開かれる。
 
 話はすぐに飛んでしまうのだが、今回の控訴審で逆転勝訴を期待する向きがある。しかし、私はそれほど期待してはいない。東京高裁で逆転判決が出る比率が低いからである。確か8%前後だったと記憶する。
 この低さに憤慨したこともあるが、一般論で言えば、プロの裁判官が下した判決を、いくら上級審に所属する裁判官といえど、そこに瑕疵を見つけて否定する-のは難しいということなのだろう。

 これに関連して、私の体験を記しておく。
 別冊宝島『モンダイの弁護士』で、医療事件では著名な弁護士・加藤良夫氏を批判する記事を書いた。加藤氏は私を名誉毀損で訴えた。結果は私の負け。当然、東京高裁に控訴した。入念な準備をして臨んだが、第1回の法廷ですぐに結審。次回の期日はもう判決の言い渡し。何だかフェイントをかけられたみたいで、気抜けしてしまった。
 

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“ストーカー”裁判-オカシナ判決文(中) 

ストーカー事件の真相(14)

「ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(上)」
「ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(中)」
「ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(下)」 

  ストーカー規制法違反の要件は「恋愛感情を充足させる目的」「待ち伏せ行為を繰り返した」ことにある。


-判決文の構成-

理由(罪となるべき事実)    (証拠の標目)省略
   (事実認定の補足説明)
     前文
     1
       (1)犯行に至る経緯等①~⑭
      
         (2)判示1の行為についての犯行状況
      (3)判示2の行為についての犯行状況
      (4)判示3の行為についての犯行状況
      (5)判示4の行為についての犯行状況
      (6)判示5の行為についての犯行状況
    2 表題なし。内容は被告側主張の検討
    3 表題なし。内容は被告側主張の検討 
  (法令の適用)
  (量刑の理由)

*1 固有名詞の一部をイニシャル表記にした。
*2 文中の下線とゴチックと赤字は私。それ以外は読みやすくするため改行と行空けを行ったが、原文のママである。下線などは私が留意したところで、メモ的なものである。
*3 今回アップするのは青字の部分である。




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“ストーカー”裁判-オカシナ判決文(下) 

ストーカー事件の真相(15)

 
福士裁判官が新たな国語辞書と奇抜な法理論を偽作した!

「ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(上)」
「ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(中)」
「ストーカー裁判-弁護人の最終陳述(下)」

 ストーカー規制法違反の要件は「恋愛感情を充足させる目的」「待ち伏せ行為を繰り返した」ことにある。

 今回はとりわけ読者に注意を促しておきたい。判決文に被告側主張を検討した記述がある。それを検討すれば、反統一教会の人たちを含め、誰しも首を傾げるはずだ。そのため、上掲の被告側の主張を再度読んでもらいたい。

 この判決文への本格的な批判は、東京高裁に提出された弁護人の控訴趣意書に譲るとして、ここでは末尾に、若干の疑問点&寸評を書いておく。間違いなく、笑えるあるいは嗤えるはずだ。


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控訴趣意書(1)-なぜ、福士裁判官は10回もの公判を入れたのか!? 

ストーカー事件の真相(16)

宇佐美氏の控訴趣意書(1)訴訟手続きの法令違反

 4月19日に、宇佐美隆さんの控訴審が東京高裁で開かれた。

 控訴審にあたって、私は4月18日付記事「“ストーカー“裁判-オカシナ判決文(上)」で、次のように述べた。

 今回の控訴審で逆転勝訴を期待する向きがある。しかし、私はそれほど期待してはいない。東京高裁で逆転判決が出る比率が低いからである。確か8%前後だったと記憶する。(略)
 私の体験は稀有なケースではなく、控訴審が1回で結審する(当然、棄却)のは珍しいことではない。だから、さほどに期待していないのだ。 

 私が予想した通り、控訴審は1回で結審し、5月24日に判決の言い渡しとなった。判決はほぼ100%控訴棄却だろう。東京地裁の福士利博判事と同じように、東京高裁の判事も「統一教会に対するある種のイメージがあったから、1回で結審となった」とは思わない。

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