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佐賀判決文(2)-アカハラ・パワハラをともなう大学の“カルト対策” 

カルト化する大学業界の人びと(13)佐賀地裁判決文②

本文末尾で、2世自殺のことを報じたパイオニアカフェの記事の間違いを指摘しました。そもそもの話。新世の社長は刑務所に収監されたことはありません!

-判決文の目次-


主文
事由及び理由
 第1・請求
 第2・事案の概要
  1:
  2:争いがない事実等(証拠により容易に認められる事実は、末尾に証拠を掲記した。)
  3:争点及び争点についての当事者の主張

 第3・争点に対する判断
  1:後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
   (1)~(21)

  2:争点(1) 3:争点(2)
  4:争点(3) 5:争点(4)
  6:争点(5) 7:争点(6)
  8:結論
 被告森と原告元学生との会話要旨

色字が今回、アップしたところ。

gakucho1.jpg
被告佐賀大学の佛淵孝夫学長


第3 争点に対する判断

1 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

(1)原告元学生は,被告佐賀大学2年生に進級した平成22年4月以降は,自宅ではなく,学舎と呼ばれるアパートの一室で,佐賀大学CARPの会員やリーダーである学舎長と共同生活を送り,また,九州大学CARP等の他の大学CARPの会員と一緒に活動したり,情報交換をしたりしていた。(原告元学生)

(2)被告佐賀大学は,「大学生活のための情報知ってますか」という冊子を新入生に配布し,その中で,「カルト的団体に用心」という項目を設け,「最初は真の姿を見せず音楽・スポーツやボランティア活動等のサークルを装って独自の団体へと引きずり込んでいく危険な組織であるカルト的団体に加入してしまうと,自分自身の大学生活が台無しになるばかりか,家族にも迷惑をかけたり悪影響を及ぼすので,これらの勧誘や被害にあった場合やそのような活動を行っている者を見かけた場合は速やかに学生生活課に知らせて下さい」旨記載し,注意喚起を行っている。(乙イ3)
 また,被告佐賀大学は,入学式後のオリエンテーションにおいて,学生生活課長から,カルト的団体からの勧誘について注意喚起を行い,教育・学生担当理事から全学生宛にカルト的団体からの勧誘に注意を呼びかけるメールを送信するといった対策を講じ,学生に対する安全教育の一環として,正体を隠し,あるいは情報開示が不十分な勧誘活動について,注意喚起を行っている。(弁論の全趣旨)

(3)被告佐賀大学は,平成21年12月3日付で,「学生の皆さんへ」と題するビラを作成し,学生に対し,カルト的宗教団体の勧誘に十分注意し,これらの勧誘や被害にあった場合や,そのような活動を行っている者を見かけた場合は,速やかに学生生活課に知らせるように注意喚起した。(甲21)

(4)CARPは,全国各大学のカルト対策に対して,平成22年,広報渉外局を設置し,各大学における情報の収集,蓄積等を行い,各大学CARPの学生が大学と交渉する際のサポートを開始した。(甲23)

(5)被告佐賀大学は,平成22年3月及び4月の教授会において,学内に複数のカルト集団が入り込み,学生に入信を勧誘しているので,すべからく教員は学生に対し注意喚起をして欲しい旨の依頼を口頭で行った。(被告森,弁論の全趣旨)
 また,被告佐賀大学のA教授(以下「A教授」という。)は,平成22年後期の授業で,「宗教に注意してください。相談がある人はいつでも来てください。最近,先生達の話し合いで,そういう話題があった。」旨発言し,当該授業を受けていた原告元学生は,A教授のその発言を聞いた。(甲18,乙イ7)

(6)CARPは,平成23年1月末,全国の19大学に対し,各大学CARP代表者名義で「大学の学生支援についての質問状」,「全国カルト対策ネットワークについての質問状」を送付し,各大学CARP代表者は各大学の担当者に面会するなどした。
 また,CARPは,平成23年3月上旬から,全国の20大学の学長宛に各大学CARP代表者名義で「大学における『カルト対策』についての要望書」を提出した。(甲16の5)
 さらに,CARPは,平成23年6月15日,CARPの公式ブログにおいて,CARP所属の学生やスタッフ等に対し,「カルト対策」が特定宗教を信じる学生の人権を侵害し,大学における信教の自由を侵害するものであることを主張し,立証する論文を募集した。
 当該論文募集の主旨として,「宗教を理由に行われるパワハラ,アカハラもテーマに含まれる」とされ,また,審査基準として,「一般的な概念としての『大学のカルト対策』ではなく,具体的にどのようなことが行われているのかを調べ,それに基づいて論じること」等を挙げていた。(乙イ13,原告元学生)

(7)原告元学生は,平成23年9月頃,佐賀大学CARPの代表となり,CARPが主催する代表研修に複数回参加し,多くの大学のCARPが,大学に対して質問状を送ったり,公認申請をしたり,活動をしている旨の話を開いた。
 また,原告元学生は,CARPのこのような活動について,佐賀大学CARPの学舎長B(以下「B」という。)から指導を受けたり,CARPの会員と一緒に話をしたりメールをするなどして,関わっていた。(甲19,原告元学生)

(8)被告佐賀大学学生生活課の副課長は,平成23年9月28日,同大学生学生C(以下「学生C」という。)から,CARPを脱会することについて,面談し助言をした。
 面談において,学生Cは,同年7月初め頃,大学構内で勧誘を受けたが,CARPという名称は言われず,また,CARPの会員に統一協会の信者がいることも伝えられず,単に就職支援の会と言われたこと,その後同年7月下旬頃2泊程度の合宿に参加し,同年8月から40日間の合宿に参加したが,CARPのメンバーが統一協会の信者であるという説明は,40日間合宿の終わり頃に初めて受けたこと,時間的な拘束を嫌ってCARPをやめようと思ったことなどを話した。(甲25の1,25の2,乙イ6,9)
 学生Cは,同月29日,CARPの会員に電話で脱会する旨伝えたところ,Bは,学生Cに面会を求め,学生Cが学生生活課の副課長と面談したことや,その際の学生生活課の対応状況などを聞き出し,学生Cに無断で秘密裏に録音した。
 原告元学生は,Bから,学生Cが学生生活課でCARPからの脱会を勧められて脱会した旨の話を聞いた。(甲20の1,20の2,乙イ9,原告元学生)

(9)被告佐賀大学は,学生Cの件を踏まえて,平成23年9月30日付で,「勧誘に注意」と題するビラを掲示し,同年7月頃,カルト集団が学内において同大学の学生に対し勧誘活動をうけて取り込まれた事例を紹介するとともに,カルト集団に入会しないように注意喚起をし,その下に,統一協会及びCARP等について注意を促す全国霊感商法対策弁護士連絡会作成のビラ(以下「弁連ビラ」という。)を掲示した。
 また,被告佐賀大学は,「勧誘に注意」と題するビラと同趣旨の同年9月30日付メールを全学生宛に送信した。(甲7の1ないし7の4,13,24,25の1,25の2,乙イ1,4,弁論の全趣旨)


<注>「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連、会員は約2、300人)は、日本弁護士連合会(日弁連、3万5000人)とはまるで関係のない任意の団体である。統一教会員やカープのメンバーを拉致監禁説得することを容認している、統一教会に反対する閉鎖的でイデオロギー的な団体である。
 全国弁連にかつて所属していた弁護士は「全国弁連は人権尊重ではなく、金儲けの道具となっている」と告発している。そうした団体のビラを国立大学内で掲示するとは尋常なことではない。
【関連記事】かつて「青春を返せ訴訟」の原告代理人だった弁護士激白!!!
 

(10)統一協会の機関誌である「TODAY'S WORLD JAPAN」平成23年10月号に,同年8月に行われたW-CARPの米国研修において,W-CARPの世界会長文亨進が日本における大学のカルト対策に対して,「闘わないといけない。犠牲がどんなに出ても闘わないといけない。」旨発言したことが掲載された。(乙イ14,原告元学生)

(11)原告元学生は,平成23年11月2日,被告佐賀大学が全学生宛に送信した同年9月30日付メールについて事情を確認するために学生生活課を訪問し,約80分間にわたり,副課長及び課長と面会した。
 その際,原告元学生は,自分が佐賀大学CARPの代表であることを最初は明らかにせず,当該メールの背景事情を聞き出した後に,CARPの会員であることを明らかにし,また,副課長らとの会話を無断で秘密裏に録音し,CAR Pから受領した「財界にっぽん」の各大学のカルト対策を批判した連載記事を副課長に渡した。(甲13,16の1ないし16の6,25の1,25の2,原告元学生)

(12)被告森は,原告元学生に対して,平成23年11月3日,「(原告元学生の希望により削除)」とのメールを,同月5日,「(原告元学生の希望により削除)」とのメールを,同月20日,「(原告元学生の希望により削除)」とのメールをそれぞれ送信した。
 これに対し,原告元学生は,被告森が自分に好意を抱いていることがわかり,不快に思い,同日,「別に先生が嫌いというわけではありませんが,そんなメールをしていただくと,あまり気分がよくありません。」とのメールを返信したが,そのメールを返信することにより,被告森から嫌がらせを受けるといった不安を原告元学生は感じてはいなかった。
 これに対し,被告森は,「了解。(原告元学生の希望により削除)。またまた私。どうも相済みません。卒業までは貴女を学生の一人として扱います。」とのメールを返信した。(甲10,13,原告元学生)
 
(13)原告元学生は,平成23年12月1-5日,被告森の研究室を訪れ,基督教に関する話などをし,「聖書の中の女性(たち)」という本を借りた。(原告元学生)

(14)原告元学生は,平成23年12月22日,被告森の研究室を訪れ,被告森から借りていた本を返却した。
 そして,原告元学生と被告森は,基督教や聖書等に関して会話し,その途中,原告元学生は,自ら唐突に,CARPに加入していることを話し,さらに両親である原告父及び原告母が統一協会の信者であることなどを話した。
 これに対し,被告森は,原告元学生に対し,
「あれは邪教だ。」
「統一協会は,要するに言っとることが,でたらめだよ。」
「勝手に人,人を結婚させるわけだろ。」
「霊感商法みたいな。裁判にもなっている。嘘っぱちだと。」
「そんなとこ早く抜けた方がいいよ。」
合同結婚おかしいやん。」
「一つの商売とか金儲けのために使おうとする人がいて,それが,統一教,原理教というのはそうなんだよ。」
「まあ,でも信仰は,なんていうか個人個人の自由だから,俺がやめなって言ったって,あんたがやめなければ,それはあんたの自由なんで,まあ,そこまでは言わん。」
「まあ,危機的になったら,俺に言え。俺が助けてやる。」
「(統一協会め信者を)俺はやめたらいいと思うよ。聖書も読んだ方がいいよ。ちゃんと。」
 などと話し,原告元学生の意思を尊重する発言をしつつ,原告元学生と終始談笑しながらも,統一協会や合同結婚式を批判した。
 原告元学生は,これらの会話の内容を被告森に無断で秘密裏に録音した。(甲28の1,8の2,原告元学生)

(15)被告森は,平成23年12月23日,原告元学生に対して,
「昨日の貴女から聞いた話を繰り返して考えています。もちろん私の言った話には,嘘は全くありません。問題は私が,貴女の信じている原理教を偽物だと確信している点だな。もしか可能ならば,貴女のお父さんやお母さんも同席して,話を交わしたいです。では,よろしく調整お願いいたします。私としては,邪教である原理教から貴女を,可能ならば貴女の家族皆を救いたいんだ。」
 とのメールを送信した。(甲10)

(16)原告元学生は,平成24年1月6日,被告佐賀大学内に掲示されている弁連ビラの撤去を求め,同日付の「佐賀大学学生課に対する要望書」と題する書面を学生生活課に提出した。(甲8,13,24)
 
 原告元学生は,平成24年1月12日,要望書に対する回答を求めて,学生生活課を訪問し一学務部長,課長,副課長と面談したが,ビラの撤去を認めてもらえなかったことなどから,原告元学生は,「大学は大学自身がやりたいようにやるのか」と思い,学生支援のあり方が名ばかりであると感じ,猛烈な怒りを覚えた。
 また,原告元学生は,これらの会話の内容をらに無断で秘密裏に録音した。(甲9の1,9の2,13,乙イ5)

(17)「大学の宗教迫害」と題する本が平成24年1月31日出版され,その中で,大学のカルト対策がらみのアカハラ,パワハラを法的に止めさせる手立てについて,
 原告ら訴訟代理人福本修也弁護士による
「一番効果的な方法は,アカハラ訴訟を起こすことです。」,
「大学に授業料を払っている保護者,つまり親の賛同を得て裁判を起こせばいいのです。親の賛同は絶対不可欠です。」「訴訟に持ち込むものとして"どう考えてもこれは酷い"という案件であること。訴訟を打っただけで向こうが負けを覚悟しなければならないような,できるだけ有利な案件でやることですね。」
 旨の発言が記載されている。(乙イ15,原告元学生,弁論の全趣旨)


<注> 福本氏のアドバイスは的確である。
 カルト対策がらみのアカデミックハラスメントパワーハラスメントの実態は常軌を逸している。詳細は室生忠氏の『大学の宗教迫害』(日新報道)」を読んでもらいたいが、ネットで読めるのは次の記事。

・カルト化する大学業界の人びと(4)白昼のキャンパスで、大学教授公認の拉致監禁
・カルト化する大学業界の人びと(5)大阪大学のゲーペーウーは誰か!<注1>
・カルト化する大学業界の人びと(6)「俺は学長の椅子に座るんだ」が自慢の元ヤクザ牧師
・カルト化する大学業界の人びと(7)ハラスメントの道具は「カルト」&「マインドコントロール」
・カルト化する大学業界の人びと(8)嘘つき弁護士・山口貴士も登場!
・カルト化する大学業界の人びと(9)日本の国立大学は「憲法番外地」
・カルト化する大学業界の人びと(10)大学キャンパスに憲法の風は吹いたのか。



(18)原告元学生は,平成24年2月2日,再度,弁連ビラの撤去を求めて,学生生活課を訪問し,副課長及び課長と約30分間にわたり,面会したが,副課長らは,弁連ビラの撤去には応じなかった。その際,原告元学生は,副課長らとの会話を同人らに無断で秘密裏に録音した。(甲26の1,26の2)
 また,原告元学生は,平成24年2月6日,被告佐賀大学の副学長と面会し,学生生活課の対応について抗議した。(甲13)

(19)被告森は,平成24年2月6日,原告元学生に対し,
「ときどき研究室に来てください。私としては,原理教を邪教と考えるため,まず貴女と,そして次には貴女のご両親と胸襟を聞いて深く話したいです。ただし最近ひょっとして貴女が,わざと原理教とか持ち出したかもしれないと疑っています。(原告元学生の希望により削除)いろいろ求愛した後に失恋したからね。では,よろしくお願いいたします。もちろん,人間の内面については,私も立ち至ることは不可能たい」とのメールを送信した。(甲10)

(20)原告元学生は,平成24年2月10日被告森の研究室を訪れ,被告森としばしば談笑しながら,約1時間30分にわたり会話をし,その内容を被告森に隠して録音した。
 被告森は,その際の会話の中で,原告元学生に対し,
「やるやらんはあなたの自由やから。」
「いや,だからやめないのはあなたの自由だから。」
「一遍,外に出てみて,他の日常生活の中で他の人とも話をして,他の勉強もいっぱいして,その上でやぞ,5,6年ちゃんと勉強した上,まあ,でもう一回入りたかったらまた入ればいい。」
 旨発言をする一方で,統一協会の教義を信仰することをやめないと何度も言っている原告元学生に対して,統一協会の教義を批判すると共に,合同結婚式に関して,
「だから言いたいんだよ,あなたの親・・・会いたいんだよ,あなたの親たちに。あんたたちはおかしい結婚をしたんだよって。」
「そんな結婚は,まあ,はっきり言って犬猫の結婚だよ。」
「お父さんやお母さんみたいな生き方はしない方がいいよと。だからあなたがそういう生活したいって言うなら,そら仕方ないさ。」
「そういう犬猫の生活すればいいさ。」
「俺は犬猫としか思わんよ,はっきり言って。」
「与えられて,ただそれ,まあようするに犬猫がメスが来るとパッと来るのと同じゃん。男が与えられて,セックスして,はい子供ができてとそれと同じゃん。」
「それはごうか・・・、強姦するのと一緒なんやぞ。」
「そういう人生を送るったい。あんたがもしそのままいけば。犬猫の暮らしになるったい。」
「じゃあ,やめるべきやん。原理教なんて。」
「はっきり言ってあなたをやめさせるべきだと思ってる,原理教から。お父さん,お母さんに必要だったら会うよ。」
「お父さんお母さんに,同じこと言うよ。あなたたちは,犬猫の暮らしだって言うよ,はっきり。」
「あなたは自由をなくしてる奴隷だよ。」
「だから犬猫だって言ってるのはそこたい,奴隷なんだよ。」
犬猫の教えなんだよ。駄目なんだよ,だからそれは・・・。やめなさいって言うのはそこったい。」
「原理教をやめてって言ってる。」
 などと,繰り返し発言した。
 また,被告森は,会話の終盤に
「俺が言いたいことは言った。お父さん,お母さんにもし話すようなら,俺行く。」
「こういうこと先生が言ってるよって,言ってみたら。」
 と発言した。(甲6の1,6の2,乙ロ1,2)

(21)被告森は,平成24年2月18日,原告元学生に対して,「先週少し言い過ぎたかなあ,と考えています。もちろん,嘘や脅しはありませんが,比喩がドギツかったかもしれません。」(甲10)とのメールを送信した。


<注>(1)から(21)までの事実認定で、執拗に登場するのは原告の女子大生が「無断で秘密裏に録音した」という記述であろう。善意の読者からすれば、女子学生にも何か非があるような印象を持たれたのではないか。
 しかし、冷静に考えてもらいた。
 違法行為の証拠を掴むには、無断で秘密裏に録音する以外にないのである。「カルト対策がらみのアカデミックハラスメント」の実態報告書などを大学当局が作成しているわけがないから、当然のことである。ただし、事実認定(8)にある、カープメンバーだった学生Cに対する秘密裏の録音はいただけないが。 

 私たち記者も、当然、「無断で秘密裏に録音」する。
 マイクを突きつけて、「あなたが違法行為をしていることをしゃべってください」といったようなトンマな取材をする記者がいたら、即刻、配置転換だ。
 カープ諸君も、自己防衛のために、無断録音という事実認定に臆することなく、大学のカルト対策担当者と話すときにはレコーダーを隠して録音する必要がある。

 裁判官がことさら秘密裏の録音のことを強調したのは、損害賠償請求額を低くしたことを正当化するためと思われる。

【重要な参考記事】「カバンの脇にICレコーダーを入れていた」 石川知裕議員、検察取調べの「録音方法」を説明




-新世事件絡みの自殺のこと-

  前回の囲み記事の続きである。
 gildongさんがブログで「南東京教区で二世が自殺」 をアップした。パイオニアカフェに投稿された記事の翻訳紹介である。(全文引用しないのでクリックして読んでください)
 当然、統一教会関係業界に波紋を投げかけ、統一村、統一告発村でも食口、元食口が記事にした。

 自殺したのは、新世事件の主犯格とされた社長の息子さん、また事件当時、南東京教区の教区長だった人の妻(カフェの表記では「南東京教区長だったM1氏の夫人)、そして事件当時、同教区の婦人部長だった女性(同「新生事件が起きたその当時、南東京教区の代表部人夫長M2氏」)の3人だという。
(注)新生はママ、正しくは新世。

 社長の子息が自殺したのは間違いないが、当時のM教区長の妻は自殺していない。人を勝手に殺すなと言いたいですねえ。
 婦人部長は、今年1月の聖和式案内の公文では病死となっていたが、仄聞情報では自殺だという。鬱病を患っていたということから、精神薬の副作用(自殺企図、自殺衝動)ゆえのことかもしれない。

 ここでは、カフェ投稿記事の明らかな間違いを指摘しておく。

(1)「新生事件(松涛本部教会・警察調査)で教会の身代わりに全ての罪を覆って(ママ、被って?)

 警視庁公安の、株式会社・新世の摘発にあたっての狙いは、南東京教区の教区長の逮捕そして教団中枢に迫ることにあった。
 実際、新世の社長らを逮捕してから(09年2月)、その4カ月後に南東京教区事務所の家宅捜索を行なっている(テレビで報じられた!)。
 家宅捜索し、そして任意で教区長の事情聴取を行なった結果、教区長の刑事責任は問えないと判断した。その結果、新世の社長と営業部長だけを起訴した。
 このような事実経緯からして、社長が「教会の身代わりに(なって)、全ての罪を被った」というのは、明らかに事実に反する。
 私個人の見方では、新世が教会組織とは関係なく自分たちだけで印鑑販売していたとは到底考えられない、とみている。しかし、警視庁公安は捜査の結果、組織的関与を立件できなかった(起訴しても公判を維持する自信がなかった)。
 新世に限らず、新潟の北玄でも大阪の共栄でも和歌山のエム・ワンなどでも、本丸に迫ることができなかった。それだけのことである。 それなのに、全ての罪を被ってとは、創作にもほどがある。

(2)「新生事件(松涛本部教会・警察調査)で教会の身代わりに全ての罪を覆って(ママ)刑務所に行ったT氏・店長」(店長はママ、正しくは社長)
「自殺の理由としてこのような話が出回っている。社会から犯罪人扱いを受けて刑務所に行った父親を日本教会が知らないふりをしたためだという」

 これは、もうデタラメもいいところである。
 新世事件では組織と2人に有罪判決が下った。
・株式会社新世は罰金800万円。
・社長は懲役2年、執行猶予4年。罰金300万円。
・営業部長は懲役1年6月、執行猶予4年。罰金200万円。

 執行猶予つきの懲役刑ゆえ、社長は刑務所に入っていないのだ!
【典拠記事】「記事=瀬戸際の統一教会=以降(09年7月)の動き-刑事事件編 」(上から3番目の共同通信の記事で確認してくだされ)

 それなのに、「社会から犯罪人扱いを受けて刑務所に行った父親を日本教会が知らないふりをしたため」なんて、事実に基づかないトンデモ憶測である。
 人の死を、なんでもかんでも日本教会のせいにしようとするのは、少々吐き気を催す。
 父親は刑務所などに入っていないので、2世が自殺した理由はほかにあるはずだ。

 それにしても、である!
 新世事件が起きたのは、まだ5年前のことである。それなのに、前述した2つの間違いを平気で書けるなんて、健忘症に陥っているとしか考えられない。ネットカフェの記事を鵜呑みにしてタラタラ感想を述べている統一村・告発村のブロガーも同じである。
 判決が執行猶予付だったことを指摘するブロガーが一人もいないことに愕然としてしまった。信頼に足るブログがいかに少ないことか(泣
 
 いや、待てよ。
 健忘症ではなく、刑務所に入ったと思い込んでいることも考えられる。
 新世の社長らに有罪判決が下った(これは事実)と聞いて、「有罪判決だから刑務所に入れられる」と思った。なぜ、そう思ったのか。有罪判決=実刑判決という間違った思い込み知識のせいである。
 有罪判決でも執行猶予付きなら、実刑判決=懲役刑とはならないのだ。
 もし、思い込み知識ゆえに、新世の社長が刑務所に入ったと思っていたとしたら、無知丸出しだ。
 2世の自殺のことに言及したブロガーは10人前後。恐るべき無知集団だぁ~~
 

(3)これは間違いというより疑問なのだが。
「代表部人夫長(婦人部長のこと)は平素有能で明るい食口だったという。どれほど献金のストレスを受け自殺しただろうか想像がつく」

 婦人部長の自殺は鬱病の果てのことであり、自殺の原因を献金ストレスのせいにするのは疑問である。
 新世事件が起きてから、教区長は人事異動になった。婦人部長も当然異動となったはずだ。なぜなら、印鑑販売を中心的に担っていたのは婦人部隊(率いていたのは婦人部長)だったからだ。
 異動となっているのに、どうして自殺の理由として献金のストレスをあげることができるのか。新世事件は5年前のことである。その間、ずっと献金のストレスを抱えていたというのか?!
 また、異動となっていない場合でも、南東京教区への献金要請は少なくなった。(徳野通達を想起せよ)。それなのに、「どれほど献金のストレスを受け」などと書くことができるのか。
 
 感情が先行し、それに「事実の解釈」を勝手に合わせたというしかない。

 
<注1>この囲み記事に関する投稿は控えてください。ブログのテーマは佐賀地裁の判決ですから。
<注2>自殺の真相に関する情報があれば、非開示コメントか個人メールでお寄せください。
<注3>新たな情報が入れば、修正します。

-うれしいブログ、見っけ-

 そのブログとは「現役食口Unrestorableの不信仰告白」。記事は「私にも有り得た拉致監禁 」
 なぜ、私がうれしく思ったのかはクリックして読んでください。もし、Unrestorableさんの推測が正しければ、言論活動をやってきた甲斐があったというもんです。健忘症集団あるいは無知集団のことをあげつらっていると、気分は鬱々。でも、Unrestorableさんの記事を読んで、晴々となりましたとさ。



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コメント

うれしいブログ、見っけ

面白かったです。

お父さんが理性的で羨ましく思いました。

理性的ならまだ話し合いの余地がありますからね。

自殺していない!

 gildongさんが訳したネット記事では、新世事件当時、南東京教区長の妻が自殺したとなっていましたが、その事実はありませんでした。

 末尾の囲み記事に修正を加えました。再度、読んでいただければと願います。

Re:自殺していない!

記事に対するコメントでなくてごめんなさい。

「南東京教区で二世が自殺」とてもショッキングな記事でしたが、事実誤認の内容も含まれているとのこと。
一つの事実に対して、尾ひれがついて、死んでいない人まで自殺したことになり、米本さんの指摘されているように” 感情が先行し、それに「事実の解釈」を勝手に合わせたというしかない。”ということなのでしょう。
そうだとしても、そこには自殺という行動をとるしかなかった二世の絶望や尊厳を思いやる気持ちが感じられません。

体制派や反体制派、それぞれの考えはあるのでしょうが、私には行くべき本質を見失っているように思います。(・・・なんか、上から目線でごめんなさい。)

大学のカルト対策の危険性

 大学の“カルト対策”が「全国霊感商法対策弁護士連絡会」と密接な関係があり、過去に学内におけるCARP学生に対する拉致行為に大学関係者が協力するなど、憲法違反の人権蹂躙行為まで容認してきた‘悪の元凶’であることは間違いないと思います。
 今回の佐賀大学の責任を認めた判決は、その本質的な違法性が明らかになったという意味で画期的なものと言えるでしょう。

 記事の判決文の中には森准教授が「まあ,でも信仰は,なんていうか個人個人の自由だから,俺がやめなって言ったって,あんたがやめなければ,それはあんたの自由なんで,まあ,そこまでは言わん。」と話したことも書かれていますが、話しの流れとして実質的に脱会説得したことを認めており、大変評価できる判決文だと思われます。
 原告の元学生は両親も統一教会員であった為、拉致監禁に結び付くようなことは無かった訳ですが、もし 両親が非教会員で、全国霊感商法対策弁護士連絡会作成のビラを見て鵜呑みにしてしまったならば 拉致監禁に発展する可能性もあったのです。
そのように考えても大学の“カルト対策”は‘犯罪の勧め’を謳うような破壊的方策と言っても差し支えないでしょう。

 過去の裁判関係の記事において米本さんが言及されたように、裁判に訴えることはその犯罪行為を抑止するのに効果的であり、大学の“カルト対策”に対しても今回の判決がもつ意義はかなり大きいと思われ、大学関係者が‘信教の自由’を侵すことを裁く重要な判例となるでしょう。
 大学の“カルト対策”は不幸な結果をもたらす‘拉致監禁’に結び付く危険性が大きいことを考えても、深刻な憲法違反の大学方針であることをさらに強く訴えていく必要があると言えます。

 ただ、CARP組織に関しては、「違法な経済活動も厭わない」統一教会本部との分離、独立性は明確にする必要があると思われます。
 そうでないと、元CARP会長だった経歴を持つ徳野英治会長が「違法行為を奨励する責任者会議での発言」を行った事実を考えても、CARPは宗教、思想の研究、実践団体ではなく、反社会的活動を行う組織の一部となってしまい、CARPの問題は「信教の自由」の問題ではなくなってしまいます。
 CARPが純粋に統一原理、統一思想に対するより一層の研究を進める団体であるならば、まさしく大学にとっても立派な存在価値のあるサークルになるはずです。

 今回の記事の判決文にある統一教会の結婚は「犬猫の結婚」という森准教授の発言を読んで、昔 産経新聞の中で論評された「統一教会の中にある‘エロスの収奪構造’」という内容を思い出しました。
 つまり、統一教会の祝福結婚においては、個人のエロス求愛が否定され教会組織から収奪されているという意味で、そのように識者は述べていた訳ですが、別にその識者はそれをどうこう批判していたのではなく、統一教会員を強制脱会させる側が同じような論法で既に成立していた祝福結婚を否定していた矛盾を指摘して、統一教会と反対派の「エロスの収奪構造の同一性」と述べていたのです。
 多分、森准教授が語っていた「犬猫の結婚」とは「エロスを収奪された結婚」という意味だったのだと思います。
 しかし、典型的には文仁進氏の不倫問題においてその矛盾が表出してしまい、文先生亡き後、その祝福結婚の問題についても真剣に考えて行かなくてはならないでしょう。

 最後に蛇足で米本さんから叱られるかも知れませんが、あえて書かせていただきますと、パイオニアカフェに投稿された記事の問題はまさしく朝鮮半島文化の問題のような気がしてなりません。
 「平気で嘘をつく。虚言を述べる」同じような韓国人の発言は大統領や宗教指導者から様々な人々に至るまで数多く耳にしており、やはり民度の問題なのだと思います。

Re:大学のカルト対策の危険性

判決文3と4、そしてさっき山口貴士弁護士の判決の評価コメントへの反論を書き上げたところです。

 反論では神々の黄昏さんが前に投稿してくれたコメントが大いに参考になりました。とても感謝です。

 ところで、
>原告の元学生は両親も統一教会員であった為、拉致監禁に結び付くようなことは無かった訳ですが、もし 両親が非教会員で、全国霊感商法対策弁護士連絡会作成のビラを見て鵜呑みにしてしまったならば 拉致監禁に発展する可能性もあったのです。

 その通りだと思います。
 親が非教会員ならもっと巧妙なトークを使うはずです。

>裁判に訴えることはその犯罪行為を抑止するのに効果的であり、大学の“カルト対策”に対しても今回の判決がもつ意義はかなり大きいと思われ、大学関係者が‘信教の自由’を侵すことを裁く重要な判例となるでしょう。

 その通りです。
 明日夜あたりにアップする判決3を読んでもらえば、「やめるように話すことは信仰の自由の侵害だ」と明言されていますから。(もっとも、このことはすでに神々の黄昏さんが前の投稿で書いていたこと)

 大学の教員が学生に脱会説得トークを使うのは違法行為と判じたことは、水面下で、ハレーションを呼んでいるでしょう。

 山貴さん以外の人が沈黙しているのがその証左でしょう。

>今回の記事の判決文にある統一教会の結婚は「犬猫の結婚」という森准教授の発言を読んで、昔 産経新聞の中で論評された「統一教会の中にある‘エロスの収奪構造’」という内容を思い出しました。

 とても興味深い話です。
「判決4」にエロスがふんだんに出てきます。そこに投稿していただけたらと願います。
 愚考では「生殖としての性」と「快楽としての性」とを対峙させる形で若干の検討を加えました。

>多分、森准教授が語っていた「犬猫の結婚」とは「エロスを収奪された結婚」という意味だったのだと思います。

 この指摘には疑問があります。
「エロスを収奪された結婚」という意味が「快楽としての性」を否定し、「生殖としての性」のみを肯定するということなら理解できますが、森先生の●●クス満載発言を考えると、どうも違うような・・・。

「判決4」のときにコメントいただけることを希望しています。


 なお、パイオニアカフェの誤報記事については、この判決シリーズが終わったあとに書く予定です。はっきりしたわけではありませんが。
 そこに投稿していただけたら幸いです。
 留意すべきは、あの投稿記事を韓国人が書いたとかどうかは判然とはしていないということです。
 証拠はまるでないのですが、何か裏があるような気がしてなりません。

神々の黄昏さんの指摘が正しい

神々の黄昏さん
>多分、森准教授が語っていた「犬猫の結婚」とは「エロスを収奪された結婚」という意味だったのだと思います。

 改めて考えてみたのですが、この指摘は正しいと思うようになりました。

 ただ、森准教授が女学生に求愛していたといった変数があって、犬猫の意味が混乱してしまいます。

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